グレン・ミラー物語 The Glenn Miller Story
公開:
1954年
グレン・ミラー物語
製作:
ユニヴァーサル・スタジオ

アーロン・ローゼンバーグ
監督:
アンソニー・マン
脚本:
バレンタイン・デイビス

オスカー・ブロドニー
撮影:
ウィリアム・H・ダニエルズ
音楽:
ジョセフ・ガーシェンソン
出演:

音楽に情熱を燃やす青年グレン・ミラーは苦しい生活を強いられ、商売道具のトロンボーンを質屋に入れたり出したりする生活を続けている。 やがてミラーはバンド・メンバーに選ばれて演奏旅行に参加。大学時代の友人へレンと再会する。 やがて二人は結婚し、ミラーは愛する妻のサポートを受けて自分のバンドを結成。 独自の演奏スタイルを作り上げて続々とヒット・ソングを手掛けてゆくが、44年、軍隊慰問の最中に飛行機事故に遭い帰らぬ人となる。 40年代のバンド時代のアイコンの一人で、ジャズの歴史に新しいスタイルを確立して世界中のジャズ・ファンに愛されているトロンボーン奏者グレン・ミラーの生涯の描いた伝記ミュージカル映画。

ユニヴァーサル社は、「真珠の首飾り」などのスィング・ジャズの創始者として知られるグレン・ミラーの伝記映画を企画。 ミラー役には、彼の容姿にソックリでマネー・メイキング・スターの一人として活躍していたジェームズ・スチュワートが起用される。 ミラーを信じて全ての面で彼を支える妻ヘレン役には、シカゴ・ホワイト・ソックスの投手モンティ・ストラットンを描いた伝記映画『甦る熱球』(49)で スチュワート扮するストラットンの妻を演じて新境地を開拓した、ハスキーな声が魅力のジューン・アリソンが抜擢される。 監督には『ウィンチェスター銃’73』(50)、『怒りの河』(52)、『裸の拍車』(53)などスチュワート主演の西部劇を手掛けたアンソニー・マンが起用される。 マンは過去にB級ミュージカルを多数手掛けた経験を生かして、「真珠の首飾り」、「茶色の小瓶」、「ペンシルバニア65000」、「ムーンライト・セレナーデ」といった、ミラーの 親しみの持てるスタンダード・ナンバーをドラマやエピソードのふさわしいシーンに巧みに挿入してストーリーを盛り上げた。 編曲は、後に『ティファニーで朝食を』(60)や、『シャレード』(63)などの音楽を手掛けるヘンリー・マンシーニが担当した。 また、ルイ・アームストロング、ジーン・クルーパ、ベン・ポラック、フランセス・ラングフォードといった往年のミュージシャンたちが特別出演しており、彼らの演奏は今作の見所の一つとなっている。 トロンボーンの演奏はジョー・ユークルの吹き替えによるものだったが、スチュワートが見せた誠実で温厚な演技は高く評価され、 アリスンのおだやかで力強い演技と相まって夫婦愛のストーリーに更なる感動を与えた。 スチュワートとアリソンは、55年のマン監督による戦争映画『戦略空軍命令』で3度目の共演を果たし、スクリーン上ではいつも思想的なおしどり夫婦ぶりを披露していたので、2人が本当に結婚していると信じていた観客も少なくなかった。 映画はオーケストラ指揮者の半生を描いた伝記映画の中でもひときわ高い評価を獲得し、観客から熱狂的な支持を受けて、54年度の興行成績第3位を記録。 50年代に公開されたミュージカル映画の中では8番目の高収益を上げる大ヒット作となった。 第27回アカデミー賞ではオリジナル脚本賞、ミュージカル映画音楽賞、録音賞の3部門にノミネートされ、録音賞を受賞した。

今作のヒットを受けて、ユニヴァーサルは55年に『ベニイ・グッドマン物語』を製作。 今作の脚本を手掛けたヴァレンタイン・デイビスが脚本と演出を担当し、テレビの人気司会者スティーブ・アレンがタイトル・ロールを、『素晴らしき哉、人生!』(46)のドナ・リードが彼の妻を演じたが、今作ほどの評価と成功を得ることは出来なかった。 また、グレン・ミラー本人は『銀嶺セレナーデ』(41)と『Orchestra Wives』(42)の2本の映画に出演しており、これらの作品では彼の演奏を楽しむことが出来る。


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