上流社会 High Society
公開:
1956年
上流社会
製作:
M-G-Mスタジオ

ソル・C・シーゲル
監督:
チャールズ・ウォルターズ
原作:
フィリップ・バリー
脚本:
ジョン・パトリック
撮影:
ポール・C・ボーゲル
音楽:
コール・ポーター

ソウル・チャップリン
出演:

社交界の華トレイシー・ロードはわがままぶりが災いして、幼馴染で人気ジャズ・ミュージシャンのC・K・デクスター・ヘブンと離婚。トレイシーは堅物のジョージとの再婚を間近に控えていたが、彼女の事を忘れることが出来ないデクスターはゴシップ誌『スパイ』の記者マイクとリズと連れてきて、彼女の再婚を妨害しようとする。しかし、マイクもトレイシーに恋してしまい、一人の女性と、三人の男性の複雑な恋愛ゲームの幕が開ける。 グレース・ケリー最後の出演作にして、ビング・クロスビーとフランク・シナトラの二大人気歌手が歌うコール・ポーターの名曲をふんだんに散りばめた大ヒット・ミュージカル。

M-G-M社は1939年にキャサリン・ヘプバーン主演でブロードウェイで上演され、翌40年にヘプバーン、ケーリー・グラントジェームズ・スチュワートの共演で映画化して大ヒットしたフィリップ・バリー原作の『フィラデルフィア物語』をミュージカルとして再映画化することを企画。 再映画化に際して、舞台はフィラデルフィアからニューポートに変更され、主人公の一人C・K・デクスターは社交界の名士から地元のジャズ・フェスティバルを主宰するミュージシャンに変更される。それ以外にも、いくつか場面設定の変更や新しいシーンが追加されたが、基本的な筋立てはそのまま生かされた。 ヒロインのトレイシー役には、演劇学校での上演で主役を務めたこともあり、撮影終了後にはモナコ王国のレーニエ大公との結婚が控えていたグレース・ケリーが起用され、共演者には歌手と俳優の両方で成功を収めていたビング・クロスビーとフランク・シナトラを起用。ジャズ界の大御所ルイ・アームストロングも本人役で登場している。 主な撮影はロードアイランド州のニューポートにある邸宅クラレンドン・コート周辺で行われ、この建物は後に映画『運命の逆転』(90)で描かれた富豪クラウス・フォン・ビューロウが所有する事になる。 ケリーが王妃になるということもあって、撮影開始時の彼女には近づきがたい雰囲気があったが、ケリーは監督のチャールズ・ウォルターズに役作りのために本物の結婚指輪をはめたいと申し出て、翌日ダイヤとルビーをちりばめたグリマルディ家に代々伝わる指輪を持参。 ケリーがこの高価な家宝の指輪を「かわいい指輪」と言ったことが話題となって撮影現場の雰囲気は和らぎ、以後和気あいあいとした雰囲気の中で撮影は行われた。 作詞と作曲には映画音楽は8年ぶりとなるコール・ポーターが起用され、彼はクロスビー、シナトラ、アームストロングらの才能に刺激された「これがジャズだ」、「トゥルー・ラブ」などロマンティックでリズミカルな9曲を提供。 クロスビーが回想場面で歌う「トゥルー・ラブ」では、ケリーはクロスビーの歌にあわせてハミングすることになっていたが、歌手としての経験がないケリーの歌声に疑問を持った音楽担当のジョニー・グリーンは彼女が歌うことに反対する。グリーンはケリーのパートは吹き替えにするつもりでいたが、これを聞いたケリーは自分の歌を使うよう強く主張してスタジオを説得。何ヶ月も歌のレッスンを受けてクロスビーとの素晴らしいデュエットを披露する。 映画はその年最もヒットした映画の一本となり、「トゥルー・ラブ」はシングルとアルバム共に100万枚以上売り上げて、ポーターの曲の中では最大のヒット曲となる。 アカデミー賞では脚本(原案)賞、ミュージカル映画音楽賞、歌曲賞(トゥルー・ラブ)の3部門にノミネートされるが、候補作品が決まった後、脚本は『フィラデルフィア物語』の焼き直しである事が判明したために、最終投票では除外されてしまう。

87年にはナターシャ・リチャードソン、スティーブン・レイの主演でロンドンで舞台化され、98年にはブロードウェイでも上演された。クロスビーとシナトラは、今作以外にも62年の『ミサイル珍道中』と64年の『7人の愚連隊』で共演を果たしている。


MAIN | FILMS | STARS & MAKERS | DICTIONARY | HISTORY | BBS | OTHRES