殺人者 The Killers
公開:
1946年
殺人者
製作:
マーク・ヘリンジャー・プロ / ユニヴァーサル・スタジオ

マーク・へリンジャー
監督:
ロバート・シオドマク
原作:
アーネスト・ヘミングウェイ
脚本:
アンソニー・ヴェイラー
撮影:
ウディ・ブレデル
音楽:
ミクロス・ローザ
出演:

とある安ホテルで、元ボクサーのスウェードが二人組みの殺し屋に殺害された。 彼の謎めいた過去を調べる保険調査員リアダンは、スウェードの知人たちから話を聞いていくうちに、一人の美女に魅せられて、 大金の強奪計画に荷担した挙げ句に、彼女に裏切られて生きる気力を無くした一人の男の悲しい生き様を暴いてゆく。 文豪アーネスト・ヘミングウェイの短編小説を基にして、悪女に人生を狂わされた男の半生をドラマティックに描いたフィルム・ノワールの傑作。

製作者のマーク・へリンジャーは、殺し屋に殺されることを待つ男の姿を背景や動機などを排してハードボイルドなタッチで描いたアーネスト・ヘミングウェイの短編小説『殺し屋』の映画化を企画し、アンソニー・ヴェイラーとジョン・ヒューストンに脚本の執筆を依頼。 二人は短い原作ををふくらませて、殺害される男を犯罪に手を染めた元ボクサーという設定にして、『市民ケーン』(41)でも使用されたナタラージュを駆使して男の謎めいた過去を人々の回想を通して明かしてゆく脚本を書き上げる。 ヒューストンは脚本だけでなく監督も希望したが、へリンジャーと衝突したために監督を務めることは出来なかった。 このヘリンジャーとの確執が原因で、ヒューストンの名前は脚本家のクレジットから外されてしまうが、ヒューストンが当時他のスタジオと契約していた事が原因だとも言われている。 監督にはドン・シーゲルやロバート・シオドマクにオファーされるが、最終的に『幻の女』(44)のシオドマクが起用される。 主演のスウェード役には、サーカスのアクロバット師として活躍していたユニークな経歴を持つ新人のバート・ランカスターを抜擢。 ヘリンジャーは『Whistle Stop』(46)に出演していたエヴァ・ガードナーに注目し、彼女がスウェードを悪の道に誘うキティ役にうってつけだと考えてスクリーン・テストを受けさせる。 ランカスターとのスクリーン・テストの結果が良かったのでガードナーは役を獲得するが、彼女と専属契約を交わしていたM-G-M社は彼女の貸し出しに反対した。 貸出料に問題があると考えたヘリンジャーは、ユニバーサルの幹部にかけあって週給350ドルのガードナーを借り受けるためにM-G-Mに週給1000ドルを支払うことを同意させる。 映画は批評家から絶賛を浴び、原作者のヘミングウェイも大いに気に入って、自作の映画化の中で心から賞賛できる作品だと評した。 これが映画デビューとなったランカスターと、それまで端役に甘んじていたガードナーは今作での好演によって人気に火がつき、大スターとしての道を歩み始める。 第19回アカデミー賞では監督賞、脚色賞、劇・喜劇映画音楽賞、編集賞の4部門にノミネートされるが無冠に終り、ガードナーは『ルック』誌の47年度最優秀新人賞を受賞した。

64年にはドン・シーゲル監督がリー・マーヴィンとアンジー・ディキンソンを起用して、よりバイオレンスを強調した『殺人者たち』としてリメイクした。


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