キング・コング King Kong
公開:
1933年
キング・コング
製作:
RKOスタジオ

メリアン・C・クーパー

アーネスト・B・シェードサック
監督:
メリアン・C・クーパー

アーネスト・B・シェードサック
原作:
エドガー・ウォレス
脚本:
ジェームズ・アシュモア・クリールマン

ルース・ローズ
撮影:
エドワード・リンデン

バーノン・L・ウォーカー

J・O・テイラー
音楽:
マックス・スタイナー
出演:
フェィ・レイ

ロバート・アームストロング

フランク・ライチャー

人跡未踏の絶海の孤島スカル・アイランドにやって来た映画の撮影隊は、原住民たちが神と崇めている身長18メートルの巨大なサル「キング・コング」に遭遇する。原住民は撮影隊の紅一点アンをコングの生贄に捧げるが、一行は間一髪でアンを助け出してコングを生け捕りにする。コングはニューヨークに連れて行かれて見世物にされるるが、カメラのフラッシュに驚いて逃げ出しアンを奪還してニューヨーク中を縦横無尽に暴れまわる。巨大怪物もののはしりともなった、恐ろしいけど愛嬌のある巨大なサルが大都市ニューヨークを暴れまわる痛快な冒険映画。

ニューヨーク探検家クラブのメンバーだったメリアン・S・クーパーは、自然主義者で探検家のW・ダグラス・バーデンから、彼が東インド諸島のコモド島とウェーター島を探検して、何百万年も前に絶滅したはずのコモド大トカゲを発見した冒険談を聞く。この話に触発されたクーパーは、探検隊が巨大ゴリラと遭遇する『ザ・ビースト』というタイトルの冒険映画の製作を企画。クーパーは本物のゴリラを使って映画を撮る事を考えていたが、ウィリス・H・オブライエンがストップモーション・アニメーションを手掛けた生命の始まりと発展を描く未完の企画『クリエーション』のリアルなモデルに感銘を受ける。この方法で撮影すれば巨大なサルを映像化することができるだけでなく、本物の動物を使う危険もなく、実際にロケに行くよりも安く作れると考えたクーパーは、オブライエンにテスト用としてコングが木の幹の橋揺さぶって探検隊を奈落の底に落とすシーンと、コングと恐竜の決闘シーンの製作を依頼。このテスト・フィルムは出資者達に好評を博して映画製作の許可を得る。オブライエンは企画の段階でコングのスケッチを数点描き、それをもとにしてマルセル・デカルドに試験的なモデルの製作を依頼。それを元にして身46センチのコングのミニチュア・モデルが6体製作される。撮影にはミニチュアだけでなく、高さ6メートル80センチの頭と肩だけのコングの実物大のバスト・モデルや、ヒロインのフェイ・レイを掴むシーンのために長さ2メートル40センチの機械仕掛けのコングの腕も製作された。コングの鳴き声は録音したライオンとトラの鳴き声をスローで逆再生したものを合わせて製作される。1年の制作期間と65万ドルの制作費をかけて映画は完成し、クーパー曰く「ハリウッドで最も背が高く凶悪な主演男優」キング・コングが大暴れする今作は批評家からはこき下されたものの、美女を片手にニューヨークのエンパイアステイト・ビルのてっぺんによじ登り、襲いかかる戦闘機を叩き落とすコングの勇姿が大不況で落ち込んだ人々を熱狂させて一大センセーションを巻き起こして、興行収入の新記録を樹立。この記録は『風と共に去りぬ』(39)が登場するまで破られることはなかった。また、孤島では神聖な神様も大都会ニューヨークではただの見世物というシニカルな「文明論」は観る者を引き付け、コングは当時の経済的大不況の恐怖の形象化、または人間の根源的な性的衝動の象徴といった解釈までなされた。オブライエンの手による滑らかで人間味あふれるリアルなコングのキャラクターはストップモーション・アニメーションの素晴らしさを観客に認識させ、映画の中でのSFX(特殊効果)の需要を高めただけでなく、後にストップモーション・アニメーターとして『猿人ジョー・ヤング』(49)や、『アルゴ探検隊の大冒険』(63)で特殊撮影を手掛けるレイ・ハリーハウゼンにも多大な影響を与える。RKOは1938年の再公開では、劇中最も暴力的なコングがスカル島の原住民を踏み潰すシーンとニューヨーカーを食らうシーン及び、コングがレイの服を脱がせて溺愛する性的なシーンをカットしようとした。『キング・コング』はアドフル・ヒットラーのお気に入り映画といわれており、彼は映画を観終わるや否やこの暴力的な怪物映画を激賞した。また、ヒットラーはウォルト・ディズニー製作の長編アニメーション『白雪姫』(38)も好んで観ていたと云われている。

今作のヒットを受けて同年には続編『コングの復讐』が製作され、76年にはイタリア人製作者のディノ・デ・ラウレンティスによって、ラストの舞台をエンパイアステイト・ビルから世界貿易センター・ビルに変更してリメイクされるが、着ぐるみを使って撮影されたためかオリジナル版にあった繊細さと迫力に欠けており、作品の評価も低かった。


MAIN | FILMS | STARS & MAKERS | DICTIONARY | HISTORY | BBS | OTHRES