影なき狙撃者 / 失われた時を求めて The Manchurian Candidate
公開:
1962年
影なき狙撃者
製作:
MCプロ / ユナイテッド・アーティスツ

リチャード・シルバート

ジョン・フランケンハイマー
監督:
ジョン・フランケンハイマー
原作:
リチャード・コンドン
脚本:
ジョン・フランケンハイマー

ジョージ・アクセルロッド
撮影:
デビッド・アムラム
音楽:
ライオネル・リンドン
出演:
フランク・シナトラ

ローレンス・ハーヴェイ

ジャネット・リー

朝鮮戦争時、アメリカ軍の1部隊が中共軍に捕まって洗脳される。戦後、部隊のリーダー、レイモンドはヒーローとして帰国するが、彼は洗脳によって暗殺者に仕立て上げられており、レイモンドは共産主義の手先となって暗殺を繰り返すが、部隊の仲間マロイは彼の功績に疑問を持ち捜査を始める。朝鮮戦争での共産主義者による洗脳をテーマにして、それまで明確だった冷戦期のハリウッド映画でのヒーロー(民主主義)と悪役(共産主義)の対立を曖昧にして共産主義者だけでなく反共産主義者をも非難したスパイ・サスペンス映画の傑作。

監督のジョン・フランケンハイマーと脚本家のジョージ・アクセルロッドは『ティファニーで朝食を』(61)の製作のためパラマウント社に雇われるが、3ヵ月後フランケンハイマーはプロジェクトを離れて、59年に発表されたリチャード・コンドンのベストセラー小説『The Manchurian Candidate(満州の候補者)』に興味を示す。彼はアクセルロッドを誘い、二人は資金を出し合ってコンドンの小説の映画化権を購入し、シナトラを主演に迎える事に成功する。物語の鍵を握る重要な役であるレイモンド・ショウには何人もの俳優の名前が挙がるが、ニューイングランド訛りの英語を喋るジョン・F・ケネディがアメリカ35代大統領に就任したことから、訛りのある英語を喋る俳優も観客に受け入れられると考えた二人はイギリス訛りの強い英語を喋るハーヴェイを起用する。シナトラはレイモンドの母親にテレビ・ドラマ『ルーシー・ショー』で知られるルシル・ボールの起用を希望するが、ランズベリーの起用を希望するフランケンハイマーは、シナトラに彼が監督したランズベリーが出演する撮影が終了したばかりの映画『All Fall Down』(62)を観る事を薦め、この作品を観たシナトラは即ランズベリーの起用に賛成する。しかし、ランズベリーは彼女の息子を演じたハーヴェイよりも3歳だけ年上だった。撮影は主にロサンゼルスで行われるが、幾つかのシーンは映画の舞台であるニューヨークで行われた。ハーヴェイがセントラル・パークの池に飛び込むシーンもニューヨークで撮影され、彼はスタッフが氷を取り除いたマイナス9度の池の中に飛び込んだ。また、ハーヴェイから冷や汗をかくほど緊張した表情を出させるために、フランケンハイマーは撮影現場でおもちゃの大砲を発砲した。シナトラがヘンリー・シルヴァと格闘するシーンは十分なリハーサルを行わずに撮影が行われ、撮影中シルヴァが動く場所を間違ったためにシナトラは間違って本物の机を素手で激しく叩いてしまい、右手の指を骨折する。映画は50年代に吹き荒れた赤狩りを非難した最初の映画の一本として高い評価を得るものの、63年にジョン・F・ケネディが暗殺されると公開を自粛し、87年にリバイバル公開されるまでの間映画の公開は一切行われなかった。


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