北北西に進路を取れ North By Northwest
公開:
1959年
北北西に進路を取れ
製作:
M-G-Mスタジオ

アルフレッド・ヒッチコック

ハーバート・コールマン
監督:
脚本:
アーネスト・レーマン
撮影:
ロバート・バークス
音楽:
バーナード・ハーマン
出演:
ケーリー・グラント

エヴァ・マリー・セイント

ジェームズ・メイスン

ごく普通の男ロジャー・ソーンヒルは彼をアメリカの諜報部が作り上げた架空のスパイと間違えた敵のスパイに誘拐され、間一髪で逃げ出したものの国連大使殺しの犯人に仕立て上げられて警察からも追われる羽目になり、嫌々ながらも巨大な陰謀の世界に巻き込まれてゆく。アルフレッド・ヒッチコック監督が42年に手掛けた『逃走迷路』(42)との類似点が多い作品ながら、主人公が追われながら真犯人を追うという彼が最も得意とする二重の追跡を堪能することができる娯楽映画の傑作。

カクテル・パーティで知り合った新聞記者から聞いた政府が作り上げた架空のスパイの話と、かねがねヒッチコックが撮影を希望していたラッシュモア山にある大統領の顔の上でのチェイス・シーンのアイディアを基に、ヒッチコックと脚本家のアーネスト・リーマンは1年以上かけて脚本を書き上げる。最初、ヒッチコックは『めまい』(58)で一緒に仕事をしていたジェームズ・スチュワートがソーンヒル役に最適と考えて彼に出演をオファーしようとするが、脚本が進むうちに主役はケーリー・グラントの方が最適だと考えるようになる。ヒッチコックは『めまい』の撮影中スチュワートには新作のことは秘密にしておき、スチュワートが他の映画への出演の契約を決めるとすぐにグラントへ出演をオファーする。グラントとヒッチコックは、最初ヒロインのイヴ・ケンドール役にグラントの恋人だったこともあるソフィア・ローレンを希望するが、彼女は『ふたりの女』(60)に出演する為にこの申し出を断ったので、ヒッチコックは自分の好みを尊重してブロンドの美女であるセイントを起用する。ちなみに、スタジオはソーンヒル役にグレゴリ−・ペック、ケンドール役にシド・チャリースを希望していた。グラントの母親を演じたジェシー・ロイス・ランディスは実はグラントと同じ年で、彼より10ヶ月若かった。タイトルは『Breathless(息切れ)』、『In a Northwesterly Direction(北西の方角)』、『The Man on Lincoln’s Nose(リンカーンの鼻に立つ男)』など様々なタイトルが提案されるが、最終的にシェークスピアの『ハムレット』のセリフ“I am but mad north-by north-west.”からとられる。ヒッチコック自身このタイトルを気に入っていなかったが、他にいいタイトルも無かったのでこのタイトルを採用するが、このセリフと映画の内容に深いつながりはないとヒッチコックは明言している。ソーンヒルが農薬散布の飛行機に追われるシーンで、二度目の突進をしてきた飛行機を避けて地面に伏せたグラントが、真に迫った恐怖の表情を見せるショットがあるが、これは飛行機を恐れたのではなく彼の手を這う巨大な蜘蛛を見たことによる反応だった(グラントから緊張した演技を引き出すために、ヒッチコックがこの蜘蛛を放したともいわれている)。クライマックスのラッシュモアでは暴力シーンの撮影許可が下りず、ヒッチコックはM-G-Mのサウンドステージにラッシュモア山のセットを組んで撮影を行う。


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