汚名 Notorious
公開:
1946年
汚名
製作:
RKOスタジオ

アルフレッド・ヒッチコック

バーバラ・キオン
監督:
原案:
脚本:
ベン・ヘクト
撮影:
テッド・テツラフ
音楽:
ロイ・ウェブ
出演:

父親がナチスのスパイ容疑で逮捕されたことによって、売国奴のレッテルを貼られてしまった娘のアリシア。 FBIの捜査官デブリンは彼女にブラジルのナチス一派を調査を依頼し、アリシアは父親の友人だったセバスチャンと偽装結婚する。 任務を通してアリシアとデブリンは恋に落ち、2人はナチスの恐るべき秘密を知ってしまうが、アリシアの正体を知ったセバスチャンは母親と共謀してアリシアの毒殺を画策する。 全編手に汗握るスリルと甘いロマンスが見事に融合した名匠アルフレッド・ヒッチコック監督による傑作娯楽サスペンス。

製作者のデイヴィッド・O・セルズニックは、1921年に「サタデー・イブニング・ポスト」誌に掲載された短編『ドラゴンの歌』の映画化を、『白い恐怖』(45)の撮影中だった監督のアフルレッド・ヒッチコックに提案。 ヒッチコックは素人の女性を訓練してスパイに仕立て上げる物語に興味を示して監督を承諾。脚本家としてベテランのベン・ヘクトが『白い恐怖』に続いて起用される。 ヘクトはヒッチコックと共に脚本化を進めるが、ドイツ人たちがブラジルにいる理由が問題となり、宝石の鉱山や貴金属の発見が考えられたが、ヒッチコックの提案で原爆の原料であるウラニウムの鉱石に決定する。 ヒッチコックはカリフォルニア工科大学のロバート・A・ミリカン博士を訪ねてリサーチを行うが、この訪問はFBIを動揺させて、ウラニウムの利用を予言したヒッチコックはFBIの監視下におかれたと言われている。 しかし、これはセルズニックがアメリカ諜報員の映画を海外で公開する際には国務省の認可を得る必要があるという警告の手紙を FBIから受け取った事を聞いたヒッチコックの作り話で、実際は広島と長崎に原爆が投下された後の45年10月の撮影開始直前に書き加えられていた。 セルズニックは最初この映画を自ら製作するつもりでいたが、ウェスタン大作『白昼の決闘』(46)の製作で忙しかったため、RKO社に80万ドルと興行利益の50%を受け取るという条件で俳優、監督、脚本をセットにして映画化権を売り渡す。 デブリン役には『断崖』(41)に続いてヒッチコックと2度目の顔合わせとなったケーリー・グラントが起用され、 セルズニックがアリシア役に望んでいたヴィヴィアン・リーはヒッチコックに拒否されてしまい、 代わって前作『白い恐怖』で一緒に仕事をしたヒッチコックお気に入りの女優イングリッド・バーグマンが起用される。 セバスチャン役にヒッチコックは『ローラ殺人事件』(44)のクリフトン・ウエッブを希望していたが実現せず、『カサブランカ』(42)のクロード・レインズが起用される。 レインズは共演のバーグマンよりも背が低かったため、彼女との共演シーンでは身長をバーグマンに合わせるため台の上に立って演技しなければならなかった。 スタジオはセバスチャンの母親役をエセル・バリモアにオファーしたが断られてしまい、戦前のドイツの大女優で、これが最初で最後のハリウッド映画出演となったミルドレッド・ナトウィックが抜擢される。 当時のプロダクション・コードには「キス・シーンは3秒まで」という規定があり、3秒以上の口づけを映画で見せることは禁じられていたが、 ヒッチコックはこの規定を逆手に取り、バーグマンとグラントがバルコニーで愛し合うシーンでは、二人に3秒以内の短いキスを何回も続けさせる。 その結果、このキス・シーンは2分半にも及ぶ官能的なものとなるが、個々のキスは3秒以内だったため検閲を無事にパスした。 また、この映画の撮影を通して、バーグマンに対するヒッチコックの感情は次第に複雑なものとなり、彼女を独占したいという思いを強める事となった。 映画が公開されると批評家からは絶賛され、観客もこの映画に魅了されて興行的に大ヒットを記録。 第19回アカデミー賞ではレインズの助演男優賞と脚本賞の2部門にノミネートされるが、無冠に終わった。


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