波止場 On the Waterfront
公開:
1954年
波止場
製作:
ホライズン・ピクチャーズ / コロムビア

サム・スピーゲル
監督:
原作:
バッド・シュールバーグ
脚本:
バッド・シュールバーグ
撮影:
ボリス・カウフマン
音楽:
レナード・バーンスタイン
出演:
マーロン・ブランド

エヴァ・マリー・セイント

リー・J・コッブ

暴力と腐敗が渦巻くニューヨーク港。 ボクサーくずれのテリーは、兄のチャーリーが沖仲仕を仕切るギャングのボス、ジョニーの指示で仲間のジョイを殺害するのを目撃してしまう。 ジョイの妹イディの悲しむ姿に心を動かされたテリーは、ジョニーのやりかたに疑問を持ち始め、イディに事件の真相を告白。 ジョニー一味に襲われ、チャーリーを殺されたテリーはジョニーの悪事を法廷で証言するが・・・。 名匠エリア・カザンのセミ・ドキュメンタリー・タッチの力強い演出のもと、マーロン・ブランドをはじめとする個性派俳優たちが迫真の演技を披露してアカデミー賞に輝いた傑作社会派ドラマ。

脚本家のバッド・シュールバーグは、サン誌に連載されたマルコム・ジョンソンのピューリッツアー賞受賞作『Crime on the Waterfront (波止場の犯罪)』の権利を獲得。 それをもとに『The Bottome of the River (川底)』というタイトルのシナリオを書き上げる。 脚本を読んだエリア・カザンは映画化に興味を示し、シュールバーグは実際に映画の舞台となるホーボーケンに住みながら、波止場やバーに通って港湾労働者たちのリサーチを行い、カザンと共に映画の構想を固めてゆく。 2人はかつては埠頭の雇用を仕切るボスだったが、河岸地区犯罪委員会に仲間の不正を密告したトニー・マイク・デヴィンセンツォから話を聞き、 シュールバーグはマイクの体験とリサーチの結果をもとにして『Golden Warriors (黄金の戦士)』というタイトルの脚本を書き上げる。 出来上がった脚本を、かつて『紳士協定』(47)や『ピンキー』(49)などのカザンが演出した社会派作品の製作を手掛けた20世紀フォックス社の製作主任ダリル・F・ザナックに見せるが、 カザンらの予想に反してザナックは港湾労働者が主役の映画に興味を示そうとはしなかった。 ワーナー・ブラザーズ社やパラマウント社といった他のメジャー・スタジオからも映画化を見送られた後、独立プロデューサーのサム・スピーゲルが映画に興味を示して製作に乗り出す。 ホーボーケン出身で完璧なホーボーケン訛りを喋るフランク・シナトラが主人公のテリー役に興味を示し、 シナトラと会ったカザンも彼が適役と考え、2人は衣装についての相談までしたが、スピーゲルはシナトラよりも興行価値の高いマーロン・ブランドに話を持ちかける。 最初ブランドは、カザンが非米活動委員会で仲間を裏切ったことから、彼と一緒に仕事をする事に躊躇していたが、 毎日午後4時に仕事を終えてニューヨークの精神分析医の診察を受けにいくという条件つきで出演を承諾したため、シナトラの出演は却下された。 スピーゲルは、以前2度『波止場』の映画化を見送ったコロムビア社に映画の製作を同意させ、シュールバーグには何度もシナリオの練りなおしと書きなおしを主張して完璧なシナリオを仕上げさせる。 撮影は映画の舞台となるホーボーケンで行われ、撮影クルーと俳優たちは厳しい冬の寒さと悪天候に耐えながら撮影に臨んだ。 撮影中には地元のギャングたちが周囲を取り巻いて、撮影スタッフがすることを監視していたうえに、映画に難癖つける人々も少なくなかったため、カザンは警察署長の弟をボディーガードとして雇った。 ギャング役にはリー・J・コッブやロッド・スタイガーといった演技派の俳優だけでなく、プロのボクサーたちも起用されていたが、素人の彼らに演技をつけるのはカザンにとって大変な仕事だった。 また、映画をリアルに見せるために本物の港湾労働者たちがエキストラとして雇われ、彼らには港湾労働を同じ賃金が支払われていたが、 賃金が支払いの時間になっても届かなかったときには、怒った労働者2人が助監督のチャーリー・マグワイアを埠頭の脇の海面の上にぶら下げて脅したこともあった。 ブランドはこの映画でも天性の俳優としての才能を遺憾なく発揮。 共演のエヴァ・マリー・セイントが落とした手袋をブランドが自分の手にはめる印象的なシーンは、セイントが偶然落とした手袋を使ってブランドが即興で演じたものだった。 スピーゲルは撮影クルーのコストなど可能な限りの経費を削減して、ブランドのギャラ10万ドルとカザンのギャラ10万ドルを含めて、わずか88万ドルという低予算で完成させた。 映画に携わっただれもがこの映画はヒットしないと考えていたが、公開されると批評家からは絶賛され、観客からも絶大な支持を集めて制作費の10倍以上の960万ドルを稼ぎ出す大ヒットを記録。 アカデミー賞では10部門で12のノミネート(助演男優賞にリー・J・コッブ、カール・マルデン、ロッド・スタイガーの3名がノミネート)を受け、作品賞、主演男優賞(ブランド)、助演女優賞(セイント)、監督賞、オリジナル脚本賞、白黒撮影賞、白黒美術監督・装置賞、編集賞の8部門を受賞。 ニューヨーク批評家協会は、作品賞、主演男優賞、監督賞の3部門にこの映画を選出した。


MAIN | FILMS | STARS & MAKERS | DICTIONARY | HISTORY | BBS | OTHRES