トムとエレンのボウエン兄妹は、ブロードウェイで人気のダンス・コンビ。彼らはイギリス王女のご成婚記念としてロンドンの舞台に招かれる。ロンドンへ向かう船の中でエレンはイギリス紳士でプレイボーイのブリンデイル卿と恋に落ち、トムもイギリス人ダンサーと恋に落ちる。二人は舞台を無事成功させ、エリザベス王女の結婚と同じ日にめでたく結ばれる。
M-G-Mミュージカルの立役者たちが、1947年11月のエリザベス王女とフリップ・マウントバッテンとの結婚の話題をからめて製作した良質のミュージカル映画。
フレッド・アステアの新作映画の題材を探していた
M-G-Mの製作者アーサー・フリードは、ブロードウェイで『ブリガドーン』や『ペンチャー・ワゴン』を手掛けた脚本家のアラン・ジェイ・ラーナーにアイディアの提供を依頼。
ラーナーは、アステアとイギリス人貴族チャールズ・アーサー・キャヴァンディッシュ卿と結婚した彼の姉アデールの人生を基にして、エリザベス女王とエジンバラ公との結婚を絡めたストーリーを作り出す。
監督には『イースター・パレード』(48)と『ブロードウェイのバークレー夫妻』(49)でアステアと組んだチャールズ・ウォルターズが起用され、
アステアの妹役にはジューン・アリスンが配役されるが、彼女はリハーサル途中で妊娠が発覚したため、出産に備えて映画を降りてしまう。
アリスンに代わって、『イースター・パレード』でアステアのパートナーを務めたジュディ・ガーランドが起用されると、
彼女の起用に喜んだラーナーは脚本と歌をガーランドに合うように変更を加えて、彼女のために新しい歌「Too Late Now」を提供した。
しかし、前作『サマーストック』(50)で情緒不安定なガーランドのために過酷な撮影強いられたウォルターズは、彼女と続けて仕事をするのは無理だと判断して監督を降板。
ウォルターズに代わって『カバー・ガール』(44)と『踊る大紐育』(49)をジーン・ケリーと共同で演出し、これが監督ソロ・デビュー作となったスタンリー・ドーネンが抜擢された。
アステアと恋に落ちるイギリス人ダンサー役に、フリードはイギリス製バレエ映画『赤い靴』(48)の主演女優モイラ・シアラーを考えていたが、アステアは彼女の素晴らしさは認めたものの、バレエ・ダンサーとは踊れないと反対したためフリードはこの考えをあきらめた。
フリードはシアラーに代わって、踊りの経験はほとんどなかったが、演技を気に入っていたウィンストン・チャーチルの娘サラ・チャーチルを起用した。
パウエルが恋に落ちる若いイギリス貴族役には、イギリス上流階級出身のピーター・ローフォードが起用されるが、彼の出番は短かったうえに、パウエルとのデュエット曲「Every Night at Seven」は編集段階でカットされてしまった。
ガーランドはアステアとダンス監督のニック・キャッスルと共にリハーサルを開始するが、1週間後には偏頭痛と吐き気を訴えて遅刻するようになり、遅刻癖は日増しにひどくなって、撮影開始直前になるとスタジオに行く事さえ拒否してしまう。彼女の態度に業を煮やしたスタジオはガーランドを解雇。
フリードはジェーン・パウエルをピンチ・ヒッターとして起用し、脚本はパウエルに合わせて再び書き直された。
長年、帽子掛けとも踊れるといわれていたアステアは、今作で初めて帽子掛けを相手に華麗なダンスを披露。
「Open Your Eyes」のダンスは、アステアが初めて大西洋を渡った時に嵐の中でアデールと踊った経験を基にしており、アステアとパウエルが揺れる船内の中で右往左往しながら踊る姿が笑いを誘うコミカルなものとなった。
また、「You Are All the World to Me」では、アステアはホテルの部屋を壁から天井まで重力を無視して縦横無尽に動き回りるダンスを披露。
このナンバーの撮影のために「アイアン・ラング」と呼ばれた360度回転可能な部屋のセットを製作。
キャメラと照明、机や本などの部屋の小道具は全て回転しても落ちてこないようにセットに固定され、アステアのダンスに合わせて部屋とキャメラは回転して、あたかもアステアが天井を歩いているような視覚効果を作り出した。
制作費160万ドルかけた今作は好評を博して、400万ドル以上の利益を生み出す大ヒット作となり、
イギリスではご成婚のドキュメンタリーと間違えないよう、タイトルは『ウェディング・ベルズ』に変更された。
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