踊らん哉 Shall We Dance
公開:
1937年
踊らん哉
製作:
RKOスタジオ

パンドロ・S・バーマン
監督:
マーク・サンドリッチ
原作:
リー・ローブ

ハロルド・バックマン
脚本:
アラン・スコット

アーネスト・パガーノ
撮影:
デビッド・アベル
音楽:
ナサニエル・シルクレット
出演:
フレッド・アステア

ジンジャー・ロジャース

エドワード・エヴァレット・ホートン

クラシック・バレエに、タップ・ダンスや社交ダンスなどのモダンなステップを組み合わせようとするアメリカ人バレエ・ダンサーのペトロフ。 彼はパリで魅惑的なアメリカ人ミュージカル・スター、リンダと出会い、彼女に一目惚れしてしまう。 ペドロフは彼女を追って豪華客船に乗り込み一路ニューヨークへ。リンダのハートを射止めるためあの手この手を尽くすのだが・・・。 ガーシュウィン兄弟の音楽と、7度目の共演となったフレッド・アステアとジンジャー・ロジャースの踊りが見事に融合した小粋なダンス・ミュージカル

後に『王様と私』(56)『サウンド・オブ・ミュージック』(65)などのヒット・ミュージカルを手掛けるリチャード・ロジャースは、 ローレンス・ハートと共にクラシック・バレエとモダン・ジャズの融合を試みるダンサーを主人公にした映画用の脚本を執筆。 二人はアステアに主演を依頼するが、彼は自分のトレードマークともいえるトップ・ハットに燕尾服を着て踊るシーンがないと観客は映画を観に来ないと考え出演を辞退した。 その後、ロジャースとハートはニューヨークに戻り、このストーリーを舞台ミュージカル化して『On Your Toes』のタイトルでブロードウェイで上演。 この舞台が大きな成功を収めると、アステアも考えを改めて出演に乗り気になった。 RKO社の製作者パンドロ・S・バーマンは、アステアとジンジャー・ロジャースの共演作として『On Your Toes』を映画化権の獲得を試みるが、 権利は既にワーナー・ブラザーズ社が獲得しており、ワーナーは39年にエディ・アルバートとヴェラ・ゾリーナ主演で映画化した。 そこでバーマンは、同じバレエの世界を舞台にしたリー・ローブとハロルド・バックマンのシナリオ『Watch Your Step』をもとにした新しいミュージカル映画を企画。 アラン・スコットとアーネスト・パガーノに脚本の執筆を依頼する。 出来上がったストーリーは、ミュージカル・ナンバーを手軽なストーリーに織り交ぜるという過去のアステア=ロジャース映画のパターンに沿ったものだったが、 へイズ・オフィスは未婚の女性が妊娠するという筋書きに難色を示し、適切でない台詞などを含めて19箇所の変更を命じた。 共演者にはエドワード・エヴァレット・ホートンとエリック・ブロアといったアステア=ロジャース映画の常連俳優が起用され、映画に適度な笑いを提供。 また、アステアのバレエ・シーンのために『巨星ジーグフェルド』(36)のバレエ・ダンサー、ハリエット・ホクターが起用された。 最初アステアはバレエを踊ることに乗り気ではなかったが、役柄上必要だったために仕方なく同意した。 バーマンは、アステアと姉のアデールがコンビを組んで好評を博した舞台『レディ・ビー・グッド!』と『ファニー・フェイス』の曲を手掛けたアイラとジョージのガーシュウィン兄弟に今作の作詞、作曲を依頼。 ガーシュウィンは10万ドルのギャラを望んだが、バーマンはこの作品で5万5000ドル支払い、次回作で7万ドルを支払うという条件で契約を結んだ。 脚本の書き直しによってガーシュウィン兄弟の曲は物語にうまく溶け込まなかったものの、 アステア=ロジャースのミュージカルを初めて手掛けた二人は、今作のために映画のタイトル・ソング「Shall We Dance?」など7曲を提供。 その中でも、ハリエット・ホクターとのダンスでアステアが歌う「They Can't Take That Away from Me」は大ヒットしただけでなく、兄弟に唯一のアカデミー歌曲賞へのノミネートをもたらし、49年のアステアとロジャースの最後の共演作『ブロードウェイのバークレー夫妻』でも効果的に使われた。 目新しい踊りを模索していたアステアは、「Let’s Call the Whole Things off」のナンバーで振付師ハミーズ・パンのアイディアによるローラー・スケートのダンスを採用。 2分30秒程のスピード感溢れるダンス・シーンは、この4日かけて撮影された。 通常、アステアとロジャースのダンスは初めから終りまで1カットで撮影されていたが、 このシーンではリアルな感じを出すために床にはコンクリートの板が張られていたため、撮影中にキャメラが転倒する危険を考慮した結果、例外として複数のカットで構成されることになった。 ラストのプロダクション・ナンバー「Shall We Dance?」のために、ロジャースは顔に石膏を塗って15時間かけて顔型をとったマスクを製作。 同じ衣装を着てロジャースのマスクを付けた女性ダンサーたちの中に、本物のロジャースが隠れているという展開のナンバーだったが、 ロジャースは出来上がったマスクが不気味だと感じてこのシーンを嫌っていた。 ガーシュウィン兄弟の曲をもってしても『有頂天時代』(36)から落ち込みはじめたアステア=ロジャース・コンビの人気と興行収益を盛り返すことは出来ず、 二人は『気儘時代』(38)と『カッスル夫妻』(39)を最後にRKOでのコンビを解消した。


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