泥棒成金 To Catch a Thief
公開:
1954年
泥棒成金
製作:
パラマウント・スタジオ

アルフレッド・ヒッチコック
監督:
原作:
デヴィッド・ダッジ
脚本:
ジョン・マイケル・ヘイズ
撮影:
ロバート・バークス
音楽:
リン・マーレイ
出演:
ケーリー・グラント

グレース・ケリー

ジェシー・ロイス・ランディス

かつて"キャット"と呼ばれた凄腕の宝石泥棒ジョン・ロビー。 今は引退した身だったが、高級ホテルで彼の手口を真似た事件が多発する。 事件の容疑をかけられたジョンは真犯人の解明に乗り出し、 好奇心旺盛なアメリカ人令嬢フランシーの母親が持っている豪華な宝石を餌にして偽キャットをおびき出そうとするが・・・。 名匠アルフレッド・ヒッチコックが得意とする無実の人間の逃走を描いた軽妙かつ華やかな犯罪映画。

パラマウント社はデヴィッド・ダッジの小説『To Catch a Thief』が出版されると映画化権を獲得。 54年のはじめ、スタジオは契約中のアルフレッド・ヒッチコック監督に映画化の話を持ちかけ、仕事をしながら楽しめるチャンスだと考えたヒッチコックは依頼を承諾。 ヒッチコックは『裏窓』(54)の脚本を手掛けてその才能を高く買っていたジョン・マイケル・ヘイズに脚色を依頼し、 ヘイズが映画の舞台となる南フランスに一度も行ったことがないのを知ると、土地の感触をつかませるためにスタジオの金でヘイズを南フランスに行かせた。 ヘイズは得意の軽妙でウィットに富んだ会話と大人のユーモアをふんだんに盛り込んで、コメディとサスペンスを見事に融合させた脚本を完成。 ヒッチコックは出来上がった脚本に満足したが、脇役の描写は控えさせて、大胆な会話をさらに強調させた。 ブリーン・オフィスは脚本に難色を示して、浜辺のシーンではビキニ姿の女性を映すことを禁じ、 カジノのシーンではロビーが女性の胸にチップを入れる時に女性の胸を強調せず、彼が女性の胸を触っているようにも見えないように撮影することを要請。 また、ロビーとフランシーのラブ・シーンもブーリン・オフィスによって変更を余儀なくされたが、 ピクニックや花火の場面でのセックスを暗示させる台詞やきわどい洒落の多くは検閲をまぬがれた。 ヒッチコックはフランシー役に『ダイヤルMを廻せ!』(54)と『裏窓』(54)に続いてグレース・ケリーを起用したが、 彼女は既に他社の3本の映画に出演することが決まっていたので、彼女の体が空くまで半年ほど待たなければならなかった。 ロビー役は『断崖』(41)と『汚名』(46)で一緒に仕事をしたケーリー・グラントに打診。 引退を表明していたグラントは最初依頼を断ったが、彼の出演を熱望するヒッチコックに説得されて考えを改めた。 ジョン・ウィリアムズやジェシー・ロイス・ランディスといったヒッチコックお気に入りの俳優たちが脇を固め、現地のフランス人俳優も多数出演。 ダニエル役のブリジット・オーベールをはじめ、フランス人俳優の中には慣れない英語での演技に苦労する者も多く、 ロビーの戦友ベルタニに扮したチャールズ・ヴァネルは最後まで英語が喋れず、彼の台詞は撮影後すべて吹き替えられた。 屋外のシーンの撮影は南フランスのリヴィエラで行われ、ヒッチコックは撮影スタッフもキャスティング同様、 これが5度目の仕事となった撮影監督のロバート・バークスをはじめ、以前仕事をしたことのある気心の知れたスタッフを起用。 撮影にはパラマウントが開発した新しいワイドスクリーンビスタビジョンが採用され、 ヴィスタビジョンの鮮明な映像を強調させるため、スタジオはヒッチコックにクローズアップの撮影では背景をぼかさずに撮影するよう指示していたが、 彼はスタジオの意見など気に留めずに自分の思い通りに撮影した。 衣装デザイナーののイーディス・ヘッドは、ヒッチコックと色やデザインなど細部まで綿密に話し合って衣装をデザイン。 クライマックスの仮装舞踏会シーンでは、ヒッチコックは金のドレスをまとったケリーをひきたてることに夢中になり、撮影に一週間以上をかけた。 完璧なキャスティング、演出、脚本によってヒッチコックお得意の洒落た追跡劇として完成したこの映画は、アメリカだけで450万ドルを稼ぐ大ヒットを記録。 第28回アカデミー賞ではカラー撮影、カラー美術監督・装置、カラー衣装デザイン賞の3部門にノミネートされ、カラー撮影賞を受賞した。


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