バージニア・ウルフなんかこわくない Who's Afraind of Virginia Woolf?
公開:
1966年
バージニア・ウルフなんかこわくない
製作:
ワーナー・ブラザーズ・スタジオ

アーネスト・レーマン
監督:
マイク・二コルズ
原作:
エドワード・オルビー
脚本:
アーネスト・レーマン
撮影:
ハスケル・ウェクスラー
音楽:
アレックス・ノース
出演:
エリザベス・テイラー

リチャード・バートン

ジョージ・シーガル

大学教授夫妻ジョージとマーサは結婚生活23年目を迎えたが、2人の間に愛はなくお互いに対して深い幻滅を抱いていた。 ある夜、二人は生物学教授のニック夫妻を自宅に招いてパーティを催すが、二人は若い招待客の面前で激しく互いを罵りあい、論争の焦点は彼らの死んだ息子に及ぶが・・・。 夫婦関係の危機に直面した人々の葛藤を描いてセンセーションを巻き起こしたブロードウェイ・ヒット舞台の映画化。

エドワード・オルビーの処女長編戯曲『バージニア・ウルフなんかこわくない』は、1962年10月にアーサー・ヒルとユタ・ヘイゲンの主演でブロードウェイで初演され、当時の常識を越えた過激な言葉づかいと暗いテーマは演劇界に一大センセーションを巻き起こした。 同舞台のパリ公演ではヒロインのマーサ役はヴィヴィアン・リーにオファーされたが、ブロードウェイ公演版を観たリーは芝居が単調だと感じて出演を断った。 ワーナー・ブラザーズ社の総帥ジャック・ワーナーはこの話題を呼んだ戯曲の映画化権を50万ドルで獲得し、エリザベス・テイラーに出演をオファー。テイラーは110万ドルの出演料プラス総収益の10%を受け取る条件で出演を承諾する。 テイラーの夫リチャード・バートンは彼女がマーサ役に相応しいと思わず、彼自身も大学教授のジョージ役をやる気にはなれなかったが、撮影スタッフとキャストの起用に関しての絶対的な権限を与えられていたテイラーは、製作と脚本担当のアーネスト・レーマンにバートンをジョージ役に推薦。 レーマンはバートンの高い出演料と強すぎる個性の問題、それにテイラーとバートンの共演では豪華すぎると考えて初めは彼の起用には乗り気ではなかったが、ワーナーは75万ドルの出演料でバートンの起用を許可する。 若夫婦役にはジョージ・シーガルと、これが映画初出演となったサンディ・デニスが抜擢され、監督にはジョン・フランケインハイマーが候補に挙がっていたが、テイラーはブロードウェイの舞台監督として注目を浴び、これが映画デビュー作となった当時34歳のマイク・二コルズに白羽の矢を当てる。 当時32歳のテイラーが52歳という設定のマーサ役を演じるには若すぎたので、彼女は役作りのためにインスタント食品を食べて70キロにまで体重を増やし、酔っぱらったようなしわがれ声で喋るように務めた。 また、テイラーの外見を変えるためにメイク担当のシドニー・ギラロフは、ボサボサの白髪と黒髪が入り混じったカツラをデザインし、化粧を最小限に押さえて、目の周りにマスカラを塗り、その下に隈を書き加えることによって醜悪な中年女性のイメージを作り上げた。 出演者たちは二週間出演料なしのリハーサルに参加し、そのまま舞台に出ても大丈夫なまでリハーサルを繰り返してから撮影に臨んだ。実生活のバートンとテイラーは、彼らが演じたジョージとマーサと同じように大酒を飲み、所構わず口論していたので、二人の演技は現実と空想が入り混じった生々しいものとなった。 オルビーは最初テイラーがこの映画に出演することを疑問視していたものの、次第に彼女の演技に満足するようになったが、彼女がマーサ役には若すぎるという考えだけは変わることがなかった。 美術監督のリチャード・シルバートは壁や床が自由に移動できるよう設計したセットを製作。撮影担当のハスケル・ウェクスラーはハンド・キャメラを駆使して俳優たちのリアルな葛藤をフィルムに収めた。 屋外ロケーション撮影はマサチューセッツ州のスミス・カレッジのキャンパス内で行われたが、問題が生じて撮影が延び、あるシーンではテイラーが歯を折ってしまったために撮影が遅れてしまう。 その結果、撮影は35日間も延びてしまうが、テイラーとバートンは100万ドル近い超過手当てを請求せずに撮影に協力した。 500万ドルの制作費を掛けて映画は完成するが、プロダクション・コードの規定を超える内容のため映倫は公開の認可を出そうとはしなかった。ワーナーはセリフは舞台のままであり、観客のわいせつな感情を刺激することはない事を請合って公開の承認を得る。 映画が公開されると、舞台同様過激な性表現やスラングが横行する内容がキリスト教夫人連盟などからの批判にあい、ナッシュビルでは劇中にわいせつな描写があるとして、警察が上映プリントを押収し、劇場の支配人を逮捕するという事件が起こるなど様々な物議を醸した。 しかし、これらの事件が話題を呼んで最終的に1,500万ドルを稼ぎ出す大ヒットとなり、後のハリウッド映画のセリフ表現を大きく変える切っ掛けとなる。 テイラーはニューヨーク批評家協会賞の主演女優賞に選ばれ、アカデミー賞では作品賞を含む13部門にノミネートされる。テイラーは『バターフィールド8』(59)に続いて2度目の主演女優賞を獲得し、それ以外にも助演女優賞(デニス)、白黒撮影賞、白黒美術監督・装置賞、白黒衣装デザイン賞の全5部門を獲得する。 今作はテイラーが初めてその演技力を評価された作品となり、この作品は『緑園の天使』と共にテイラーのお気に入りの出演作となった。


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