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劇団PITのジオ掲示板

「Intimacy と Bath」
Icon しこう - 2002年04月20日 08時27分50秒


 久しぶりに、友人のくれた Intimacy by Hanif Kureishi を読み返してみる。
 初めてこれを読んだとき、延々と繰り返される愚痴の数々が鬱陶しくて、ただただ面倒臭い印象を持っていたのだけど、僅か半年あまりで印象が変わるとは思わなかった。

曰く、
"If we dropped out to become carpenters and gardeners it was because we wanted to share the experience of the working class."
「僕らがドロップアウトして、もし大工・庭師になったとしても、労働者階級と経験を分かち合いたいためなんだと、理由付けしていた。」
"If Marx had been our begetter, the ideologue of the century's first half, Freud was our new father, as we turned inwards. "
「もしマルクスが僕らの生みの親、20世紀上半期におけるイデオロギーだったとしたら、フロイトは僕らの新しい父(ゴッド)だった。そして、僕らは内側へと向かった。」

 抑えられない笑みが、思わずニヒルにこぼれてしまう。ニヒルという言葉がネガティブに聞こえるなら、困った笑いとでも言い換えよう。余りにも卑近で、素直に笑うのが憚られる。単純に、自分の中で比較できるサンプルが増えたせいかと思う。

 それから更に、延々と続く愚痴を読み返してみる。単語の係り具合、転び方が延々と続いて、作者の言葉遊びを密かに楽しんでいる様が見えてくる。どうしようもない愚痴なのに、楽しくなってくる。それで、読み返してみて、ある疑念が確信に近いものへと変わるのを感じた。筆者のクレイシは、絶対、笑いながらこの暗い話を延々と書いている。書いている内容を見て、とんでもなく落ち込んでしまう奴もいるに違いないのだが、こいつは延々笑い続けているのだ。コイツ、人間としちゃどうしようもないな。
 でもこの国に居ると、不思議にそれでいいと思えてしまう。それが、どこかヒューモアの感覚に似ているからだろう。そういう思想なんだと言い換えてもいい。どんなに行き詰まったときでも、全ては笑い飛ばされなければならないと言う、一種の思想――真剣さと隣り合わせの。
 友達になれたら、面白いかも知れない。ただ――ただ、この国の中でだけか。

 閑話休題。
 Bath に行って来た。
 ローマ時代に開かれた都市でお風呂(bath)の語源となる街だ。
 知り合いに先導されて歩いた街は、思ったより大きく、多少戸惑った。もっとこじんまりとした陰気な街を想像していたからかな。比較的大きな川が街の周囲で大きく畝って、取り囲み、少しばかり増えたツーリストが、中を埋め尽くしている。昼時に到着したから、着いてすぐにサンドイッチ屋を探し、店先をひやかし、いくつか購入する。ひやかして気付いたんだけど、物価は比較的高い。ワシの住んでる街ほどではないにしても。
 住んでいるらしい日本人達が、あちこちで歩いている。歩けばすぐ日本人に出くわすのは、今の時期なら当たり前かも知れないが、知り合いに訊いてみると、確かに在留日本人が多いのだそうだ。simon の言ってた通りだね。こんなに小さな街で、買い物して楽しい通りも限られているから、どうしたって日本人に出くわしてしまいそうだ。シンドイと余計腹が立つ。
 ギルド・ホールを回りこんだ所の、プチ・コベントガーデンを覗く。それから丘の上に上り散歩して、衣装博物館に入り、思わず日本語で記帳する。
「ガイド・フォンを聞いていたらいつまで立っても終わらないから、さっさと見るだけ見て立ち去るべし。若かりし頃の女王の写真を見てびっくりした。by Shikou」
 そこから少し下がった所の大陸系カフェで一休み。そこでこんな文章を書いたというオチ。
 そんなところで、ではまた。

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