往年のジャズ F箪検Д汽奪スもの名盤選



★★★★1/2
Don PULLEN & George ADAMS Quartet "Song Everlasting" (Blue Note: CDP 7 46907- 2)
sun watchers serenade for Sariah 1529 Gunn Street warm up sing me a song everlasting another reason to celebrate
George ADAMS (tenor sax) Don PULLEN (piano) Cameron BROWN (bass) Dannie RICHMOND (drums)

個人的な感情を吐露して恐縮ながら,ジャズという良く知らない音楽へ,私が心から惚れこむきっかけを作ってくれた懐かしい作品(1987年)です。ベースのC.ブラウンがその後どうなったかは良く分かりませんが,この盤の主人公4人のうち3人は,今や故人となってしまいました。もともとは前衛的で激しい演奏をしていた彼等も,このころになると前衛的な演奏はあくまでアクセントとして使うようになります。ソロに入り徐々に乗ってくると,次第に右手がグギョッグギョと鍵盤をのたうち回るお馴染プーレンの炸裂ピアノ,ブヒーブヒーと絶叫するアダムス。しかし,前衛を聴いているような晦渋さは微塵もなし。それは彼等が単なる前衛というデタラメではなく,南部アメリカの土着音楽の確固たるルーツの上に演奏していたことを何よりも雄弁に語ります。6曲は全てが良く書けており,痛快で楽しいジャズの醍醐味満載。プーレン&アダムス・カルテットのラスト作にして,永遠の代表作です。

★★★★★
Zoot SIMS & Bob BROOKMEYER "Tonight's Music Today" (Tokuma Japan: TKCB- 71282)
Mr. Moon I hear a rhapsody the chant blues Zoot’s tune how long has this been going on Bobby’s tune blue skies
Zoot SIMS (tenor sax) Bob BROOKMEYER (trombone) Hank JONES (piano) Wyatt RUTHER (bass) Gus JOHNSON (drums)

またまた個人的なことで恐縮ながら,Z.シムズは,ジョージ・コールマンと並んで,小生の最も好きなテナー吹きの一人です。彼はレスター・ヤングの系譜に連なる,クールなトーンとフレージングが持ち味ということになっておりますが,興に乗ったときのドライヴ感,いなせな音色,他の追従を許さない節回しの心憎さは,他のクール派とは一線を画したもの。彼の傑作は1950年代後半から10年ほどの間に集中しますが,本盤はトロンボーン奏者ブルックマイヤーと,目立たぬながら3枚の録音を残した双頭コンボにおける代表傑作。H.ジョーンズの趣味の良いバックに支えられ,ズート絶好調。こうなるともう手のつけようがありません。

★★★★★

Cannonball ADDERLEY Quintet "Them Dirty Blues" (Landmark- Victor: VDJ- 1598)    
dat dare (take 5) dat dare (take 3) del sasser soon work song (take 3) work song (take 4) Jeannine easy living them dirty blues
Cannonball ADDERLEY (alto sax) Nat ADDERLEY (cornet) Bobby TIMMONS (piano, on 1-5) Barry HARRIS (piano, on 6-9) Sam JONES (bass) Louis HAYES (drums)

コルネット吹きナット・アダレイと兄弟で,彼等が1960年を挟んで結成したアダレイ・クインテットは,ファンキーの代名詞として,当時もっともヒップ(死語)でトッポイ最先端のジャズでした。この作品は,キャノンボールの「イン・シカゴ」や「イン・サンフランシスコ」といった有名盤の間に録音されたためかあまり目立たず,取り上げられることの少ない一枚ですが,作品としての完成度は「イン・サンフランシスコ」をも凌ぐ出来映え。パーカーの系譜にあり,抜群のテクニックと明るい音色を持ったキャノンボールは,テクを振りまわす散漫なソロを取ることも多いのですが,この作品でのソロはどれも驚くほど緊密です。

★★★★1/4
Teddy EDWARDS Octet "Back to Avalon" (Contemporary: CCD 14074- 2)     
Avalon (version 1) the cellar dweller you don’t know what love is steppin’ lightly sweet Georgia brown our last goodbye good gravy (under) a southern moon and sky Avalon (version 2)
Teddy EDWARDS (tenor sax) Nathaniel MEEKS (trumpet) Lester ROBERTSON (trombone) Jimmy WOODS (alto sax) Modesto BRISENIO (baritone sax) Danny HORTON (piano) Roger ANDERSON (bass) Larance MARABLE (drums)

西海岸=白人系軽めのジャズ,というのは一般的な言説。ただ何事も「例外のない法則はない」ものです。ラッパのハワード・マギーとの双頭コンボで知られるエドワーズは,西海岸でホットなバップ・ジャズをやることに拘り続けたテナー吹き。当然そのスタイルは,西海岸ジャズとはおよそ不似合いのソウルフルなものでありました。お蔭でまるで成功とは無縁だったエドワーズ。人知れず製作した8重奏団によるコテコテ・ジャズの本盤は,「西海岸に漆黒の王土楽土を築く」という彼の見果てぬ夢を目一杯形にした永遠のB級ジャズ金字塔。ちなみに,ドラムスは名手「ローレンス・マラブル(Lawrence Marable)」の誤植と思われますが真相は藪の中です。

★★★★1/2
Paul DESMOND "Bossa Antigua" (RCA: BVCJ- 7340)  
bossa antigua the night has a thousand eyes o gato samba cantina curacao dolorso a ship without a sail alianca the girl from east 9’th street
Paul DESMOND (alto sax) Jim HALL (guitar) Gene WRIGHT (bass) Connie KAY (drums)

ビ・バップ以降=モダン・ジャズとなったことで,殊サックスの世界では,好むとこのまざるとに関わらず,誰しもパーカーの影響を受けずには演奏もできないというほどに,バップとモダン・ジャズとは切っても切れない関係になってしまいました。ア●ナミンのCMでかつて大ブレイクした「テイク・ファイヴ」のアルト吹き,ポール・デスモンドは,そんなモダン・ジャズの世界で,バップ・イディオムから最も独立した位置にあった孤高の名匠。そして実際海の向こうでは,ダウン・ビートの人気投票で常に一位を獲得していたほどの大物なのです。ゆらゆらと甘美,奇を衒わない上品な彼のアルトが最もいい形で表れたのが,ギターのジム・ホールと残した一連のRCAへの吹きこみ。室内楽的ペーソスに飛む大人のジャズです。ボサノバ尽くしの本盤は,中でも傑作の1枚。

★★★★★
Eastern REBELLION "Eastern Rebellion" (Timeless: SJP 101)    
Bolivia Naima 5/4 thing bittersweet mode for Joe
George COLEMAN (tenor sax) Cedar WALTON (piano) Sam JONES (bass) Billy HIGGINS (drums)

日本でも大人気のテナーマン,エリック・アレキサンダー。彼をキャアキャアもてはやすファンのうち,果たしてどれほどの人が人選にまで気を配るでしょうか。仮にハロルド・メイバーンに気を留めたファンのうち,果たして何人が。なぜ彼がしつこくハロルド・メイバーンに拘っているのか考えたことがあるでしょうか。1980年代までは不遇だったメイバーン。豊富な脇役歴があるにも拘わらず,絶頂期の彼を捉えたリーダー盤は十指にも及びません。そんな彼の盟友であり,数少ないリーダー盤ではほとんど常にサイドメンとして起用していた人物。それがジョージ・コールマン。エリック君のアイドルであり,同郷メンフィスの大先輩なのです。エリック君がそうであるように,海の向こうでのコールマンに対する仲間達の尊敬ぶりは尋常じゃありません。実際,いま一番光っているもう一人のテナーマン,シーマス・ブレイクのプレイを聴けば,彼もまたコールマンから多くを学んでいることがお分かりになるでしょう。ブッカー・リトル,マイルス,ハービー。いずれの代表作にも,コールマンの名は見出すことができました。しかし,分を弁えた彼の演奏は,ともすれば過少に見積もられがち。初リーダー作は1978年。キャリアに比してあまりに遅い。損な人だと思わずにはいられません。1975年に吹き込まれた本盤は,シダー・ウォルトンがリーダーなのですが,不遇に置かれてきたこのテナーマンの脂が乗りきった時期に,最良の人選によりワン・ホーン吹き込みの機会をもたらした点で,事実上コールマンの最高作と呼んで遜色ない秀作。モードを消化したスムースな吹け上がりと,適度な臭みが好ましく同居した彼の,最良の姿をお聴きになれば,誰しもこの過小評価の人に同情の涙を禁じ得ないことでしょう(2004. 4. 18 補訂)。

★★★★1/4
Jimmy HEATH "The Quota" (Riverside: OJCCD- 1871- 2)    
the quota lowland lullaby thinking of you bells and horns down shift when sunny gets blue funny time
Jimmy HEATH (tenor sax) Freddie HUBBARD (trumpet) Julius WATKINS (french horn) Cedar WALTON (piano) Percy HEATH (bass) Albert HEATH (drums)

ジミー・ヒースを一言で形容するなら,いわば実直なサラリーマン。この人がいまだにロクな評価を受けていないのは,そういう彼の律儀さが地味で面白みがないと思われてしまうからでしょう。実際,この人の作品を大きく取り上げたHPや書評,まるで見たことがありません。損な人です。しかし裏を返すと,彼にはお水系の山師的なところは微塵もないということ。訥々とした節回しにしても,整然と歌に徹しているのです。作編曲も綿密周到を極め手抜き皆無。こういうシュアな人,もっと評価されて欲しいものです。マイルスは偉かった。トレーンが抜けた後,彼がヒースを散々誘っていたという事実,わが国でどれだけの人に知られているのやら。

★★★★3/4
Benny Golson and the Philadelphians "And the Philadelphians" (Blue Note: 7243 4 94104 2 8)
you’re not the kind blues on my mind stablemates Thursday’s theme afternoon in Paris Calgary blues march I remember Clifford moanin’ stablemates (2’nd version)
Benny GOLSON (tenor sax) Lee MORGAN (trumpet, on 1-6) Ray BRYANT (piano, on 1-6) Percy HEATH (bass, on 1-6) Philly Joe JONES (drums, on 1-6) Roger GUERIN (trumpet, on 7-10) Bobby Timmons (piano, 7-10) et al.

ベニー・ゴルソンとジミ−・ヒースは蓋し,ジョー・ヘン対G.コールマンと並ぶジャズ界の金閣・銀閣かも知れません。リー・モーガンの初期を代表する銘盤「リー・モーガンvol.3」の作編曲を一手に握っていた彼の手腕が,あの銘盤を生み出したと言っても過言ではありますまい。きっとモーガンは,同作の成功をもたらしたゴルソンに恩返ししたかったに違いありません。┐虜同蕕魎泙爐海離乾襯愁麋廚蓮い修Δ靴織癲璽ンのお礼参り的効果が見事な演奏に昇華された知られざる秀逸作。3管編成を生かし,ハード・バップを基調にファンキーな味付けも巧みでイヤ味がなく,名手ブライアント以下の出来も出色です。

★★★★1/2
Lee KONITZ Quintet "Figure and Spirit" (Progressive- Century: CECC 00367)    
figure and spirit dream stepper smog eyes April feat herbed dig it
Lee KONITZ (alto and soprano sax) Ted BROWN (tenor sax) Albert DAILEY (piano) Rufus REID (bass) Joe CHAMBERS (drums)

コニッツは本盤で共演するT.ブラウンともどもトリスターノ門下の優等生で,もともとは緊張感に富んだクール・ジャズを演奏していました。その後1950年代半ばになると,徐々に彼はクール・ジャズの排他的な理論に限界を感じ,スタイルを変えていきます。一方ブラウンはその後次第にジャズから遠ざかり,一介のサラリーマンに。1976年に録音されたこの作品はそんなブラウンの復帰作でもあり,一面かつての門下生同士によるクール再訪の体裁を取ります。しかしその実,片や演奏生活の中から,片や広い実社会での経験を通じてクール・ジャズをより間口の広い音楽へと拡張した2人による,「ユニバーサルなクール」の提示がはかられております。A.デイリー以下新主流派寄りの面々の参加も,何より2人の懐が格段に豊かなものになっていることを如実に反映しているのです。

★★★★1/2
Seldon POWELL "Seldon Powell Plays" (Roulette- EMI: TOCJ- 6297)    
go first class why was I born love is just around the corner someone to watch over me count fleet autumn nocturne Swingsville, Ohio summertime
Seldon Powell (tenor sax) Jimmy NOTTINGHAM (trumpet) Bob ALEXANDER (trombone) Billy BAUER (guitar) Tonny ALESS (piano) Freddie GREEN (guitar) Arnold FISHKIN (bass) Don Lamond (drums)

モーツァルト奏者として名高いフリードリヒ・グルダは,クラシック界にいながらジャズ演奏もたしなんだ最初期の巨匠です。彼のジャズ奏者としての代表作「アット・バードランド」は,アイドリース・スリーマン,フィル・ウッズらバップ系の豪華な顔ぶれが並んでいましたが,それら豪華メンバーの間で目立たずテナーを吹いていたのがこのセルドン君。リーダー作も少なく過小評価の極みのような人ですが,どうしてどうして,巧いですよ,この人は。スタイルはレスタ−系で,いなせな節回しで良く歌うところなど,ズートの弟分のようなタイプ。その割には中間派のフレディ・グリーンを脇役にしてみたり,グルダ盤ではバップ寄りも演奏してしまう器用さが仇になったのかも知れません。でも,スタイルなんて関係ない。要は内容が良ければいいのです。知名度にこだわらない貴方に。