往年のジャズ ぢ膩織灰鵐棔織咼奪亜Ε丱鵐斌照彖


★★★★★
Music INC. "Music Inc. and Big Band" (Strata-east: SECD 9010)
Ruthie's Heart brilliant circles abscretions household of saud on the Nile departure
Charles TOLLIVER (tp) Stanley COWELL (p) Cecil McBEE (b) Jimmy HOPPS (ds) : Richard WILLIAMS, Virgil JONES, Larry GREENWICH, Danny MOORE (tp) : Jimmy HEATH, Clifford JORDAN, Bobby BROWN, Wilbur BROWN (reeds; fl) : Howard JOHNSON (tba; bs) : Garnett BROWN, Curtis FULLER, John GORDON, Dick GRIFFIN (tb)

1960年代の終わりに公民権運動がピークを迎える中,気鋭のピアニスト,スタンリー・カウエルとともに「ミュージック・インク」を率いていたトランペッター,チャールス・トリヴァーは,黒人による黒人のためのジャズを標榜した自主製作レーベル「ストラタ・イースト」を設立します。この作品はその記念すべき第一作。黒人ジャズの可能性を探求すべく,彼等が持てる情熱の全てを注ぎ込んだ,壮大な野心作です。このグループはその後,両雄のエゴがぶつかり合う事により短期間で消滅しますが,それだけに,この一枚には黒人ジャズの見果てぬ地平を模索していた彼等の創作活動のピークが,紛れもなく刻印されております。

★★★★★
Bill HOLMAN "Big Band in a Jazz Orbit" (V.S.O.P.: #25 CD)
kissin' bug the man I love goodbye you go to my head after you've gone far down below no heat theme and bariations #2 aura
Bill HOLMAN (ts, arr) Al PORTINO, Ed LEDDY, Jack SHELDON, Conte CANDOLI (tp) Frank ROSOLINO, Carl FONTANA, Ray SIMS (tb) Charlie MARIANO, Herb GELLER, Richie KAMUCA, Charlie KENNEDY, Bill HOOD (sax) Vic FELDMAN (p) Buddy CLARK (b) Mel LEWIS (ds)

ビル・ホルマンは,マーティ・ペイチやショーティ・ロジャースと並んで,西海岸ジャズ黄金時代を代表する作編曲家/バンド・リーダー。テナーマンとしても達者なのですが,やはり彼の魅力は,単旋律を主体とする対位法的な様式を効果的に使う編曲の巧さにあります。西海岸を代表する名手を一堂に集め,1958年に録音されたこの作品は,彼のみならず西海岸ジャズ全体を総括する意味で落とす事のできない重要作。通説では,西海岸ジャズの隆盛期は1950年代前半までとなっていますが,スタン・ケントンやウディ・ハーマンのセカンド・ハードに源を発する西海岸ジャズが,真の意味でその主体性を確立したのは,むしろ1950年代後半ではありますまいか?この後に紹介するマーティ・ペイチ盤と並び,ホルマン独自の翳りを帯びた編曲の妙が心惹く本盤は西海岸ジャズ運動を総括する記念碑的作品といえましょう。

★★★★
Zoot SIMS "The Bossa Nova Sessions" (Westside: WESM: 584)
recado bossa nova Maria ninguen cano canoe sem saudades da voce ciume cantando a orquesta barquinho de papel instant samba Bernie's tune they call the wind Maria poquito cantando lonesome road lover come back to me reaching for the moon don't fool with love tickle toe nature boy
Zoot SIMS (ts) Jim HALL, Kenny BURRELL, Barry GALBRAITH (g) Spencer SINATRA, Jerry SANTINO, Phil BODNER, Sol SCHLINGER, Ronnie ODRICH (fl, cl, reeds) Phil WOODS, Gene QUILL (cl, as) Milt HINTON, Art DAVIS (b) Sol GUBIN (ds) Ted SOMMER, Willie RODRIQUEZ, Tommy LOPEZ (perc)

1960年代の初頭,ジャズ界に爽やかな風を吹きこんだのがボサノヴァのブーム。いち早くそれに乗ったスタン・ゲッツのボサノヴァ盤は有名です。しかし,僅かに遅れて録音されたこのズート盤は余り顧みられる事もない作品。もちろん,既にブームになったボサノヴァで一攫千金を目論んだ版元のコルピックスの製作方針は売れ線狙いで,ギター・トリオのみによるシンプルな伴奏のゲッツ盤に比べると些か部が悪いのは確かです。しかし,全てを救ったのはやはりズートのテナー。ボサノヴァ初体験とは思えないほど肩の力の抜けた,スイスイと軽やかな吹きぬけと洒脱なフレージングは,いかなる状況におかれてもベストなプレイをしてのけた絶頂期ズートの,並外れた至芸を余すところなく示すのです。

★★★★★
John KIRBY and His Orchestra / His Onyx Club Boys "1938-1939" (Classics: 750)
rehearsin' for a nervous breakdown from A flat to C pastel blue undecided by the waters of Minnetonka it feels so good effervescent blues the turf dawn on the desert Anitra's dance sweet georgia brown drink to me only with thine eyes minute waltz front and center royal garden blues opus 5 fantasy impromptu blue skies rose room I may be wrong et al.
John KIRBY (b) Buster BAILEY (cl) Charlie SHAVERS (tp) Russel PROCOPE (as) Billy KYLE (p) O'Neal SPENCER (ds)

ベーシスト,ジョン・カービー率いるオニックス・クラブ・ボーイズは,1937年NYに開店した「オニックス・クラブ」専属のバンドとして発足したコンボです。ラッキー・ミリンダー楽団のラッパ吹きとして鳴らしたシェイバース,フレッチャー・ヘンダーソン楽団で活躍したカービー,バド・パウエルにも影響を与えた幻の名手カイルら当代きっての名手を揃えたこの楽団は,一部の隙もなく編まれた3管の緻密なリフとアンサンブルを特徴とし,時代の10年先を行く,まさにドリーム・チームでした。オーケストラ編成が当たり前だった当時,これだけ小さい編成で,これだけ斬新かつ緻密な作編曲を行なったバンドは,後にも先にもありませんでした。にも拘らず,今日この楽団を知る人は滅多にいません。彼らのそのあまりの先取性,それが仇になったのです。彼らが追い求めたものがようやく支持されたのは,この録音から15年近くも後,ハード・バップの確立によってでした。そう,彼等はあまりに早すぎたのでした。彼らの録音は現在,この盤を出したクラシックスから3枚に分売されていますが,中でもこの第1集は彼らのあらゆる至芸が詰まった永遠の名作。スイング ・ジャズは単調な二拍ノリで詰まらないと思っているモダン・ジャズ・ファンは,ぜひご一聴を。

★★★★★
Art FARMER and the Orchestra "Listen to Art Farmer and the Orchestra" (Mercury: 314 537 747-2)
street of dreams rain check rue prevail the sweetest sounds my romance fly me to the moon Naima ruby
Art FARMER (flh) Oliver NELSON (arr, cond) Ray COPELAND, Rolf ERICSON, Bernie GLOW, Ernie ROYAL, Paul SERRANO, Clark TERRY, Snooky YOUNG (tp) Jimmy CLEVELAND, Urbie GREEN, Tommy MITCHELL (tb) Paul FAULISE, Tony STUDD (btb) Ray ALONGE, Jimmy BUFFINGTON, Robert NORTHERN (flh) Danny BANK, Ray BECKENSTEIN, Phil BODNER, Walt LEVINSKY, Romeo PENQUE, Stan WEBB, Phil WOODS (reeds) Tommy FLANAGAN (p) Barry GALBRAITH, Jim HALL (g) George DUVIVIER (b) Charlie PERSIP (ds) Ray BARRETTO, Willie RODRIGUEZ (perc)

バップ世代から活躍するトランペット兼フリューゲルホルン吹き,アート・ファーマーは,もともとホットなプレイを得意にしていました。しかし1960年代に入ると,次第に中低域を活かしたデリカシー溢れる演奏をするようになり,表現もより深みを増したものになります。この作品はその嚆矢をなすもので,名匠オリヴァー・ネルソン率いるビッグ・バンドをバックに,朗々とバラードを吹ききった名盤です。にも拘らず,この盤は意外なほど知られていません。よくファーマーには決定打がないという言葉を耳にしますが,そういう方にはまさしく目から鱗の一枚となりましょう。

★★★★1/2
Joe HENDERSON "Mode for Joe" (Blue Note: CDP 784227 2)
a shade of jade mode for Joe black black (alt.) Caribbean fire dance granted free wheelin'
Joe HENDERSON (ts) Lee MORGAN (tp) Curtis FULLER (tb) Bobby HUTCHERSON (vib) Cedar WALTON (p) Ron CARTER (b) Joe CHAMBERS (ds)

1960年代に入ると,ジャズは印象主義や中世音楽などを採り入れて,単なる借り物ではない,よりオリジナルなフォーマットを身に付けるようになります。この時代を代表する人物といえば,ハービー・ハンコック,ウェイン・ショーター,フレディ・ハバードといった名前がすぐ連想されます。有名な「処女航海」や「スピーク・ノー・イーヴル」などは,まさに新主流派を代表する「顔」であり「表通り」といえましょう。しかし,表通りの脇には路地裏があるもの。路地裏のない街は面白みがないものです。この盤は,ちょうどそうした路地裏の面々が残した,新主流派のもうひとつの金字塔といえる作品です。ハービーやショーターの名盤が,印象主義の知的で内省的な側面を前面に出したものであったのに対し,裏通りの作品である本盤が,当時隆盛を極めつつあった公民権運動を思想的背景として,新主流派のホットな側面を志向する作品になっているというのは,真に興味深いと思われるのですが如何でしょう。この観点から前者を「ヨーロッパに接近し自らを“文明化”して変えようとする」背伸びしたジャズだと位置づければ,まさにこの盤は「ヨーロッパ文明の音楽 的成果に相対し,改めて自らのアイデンティティを模索する」より黒人の現状に即した等身大のジャズ,と位置づけることも可能といえるかも知れません。

★★★★
Dave PELL Octet "I Had the Craziest Dream" (Capitol Jazz: CDP 7243 4 95445 2 9)
I had the craziest dream jazz wagner Mike's peak poopsie star eyes klump jump my heart belongs to daddy on the good ship lollipop the way you look tonight nap's dream time after time crescendo dae people in love the way you look tonight the man I love love is just around the corner play, fiddle, play
Dave PELL (ts) Bob GORDON, Ronny LANG (bs) Don FAGERQUIST (tp) Ray SIMS (tb) Tony RIZZI (g) Paul SMITH (p) Joe MONDRAGON, Ralph PENA, Rolly BUNDOCK (b) Jack SPERLING (ds) Roy HARTE (bongo)

華やかな西海岸ジャズといえども,やはり裏盤は存在します。このデイヴ・ペル盤はまさに,B級西海岸ジャズ名盤の筆頭格。アンサンブル主体で曲は皆4分弱と短めというハンデを抱えながら,少ないチャンスを目一杯活かしていいものを作ろうというB級野郎の熱い想いが生み出した快作です。この作品を語る上でどうしても外す事ができないのは,リーダーとレス・ブラウン・バンド時代からの朋友,ラッパで参加のドン・フェガークィスト。全く無名な彼の,小粒ながら素晴らしく唄うソロは,紛れもなく本作品のハイライトを形作る優れたものです。

★★★★★
Marty PAICH Big Band "Moarnin'" (Discovery: DSCD-962)
moanin' it don't mean a thing no more love for sale violets for your furs what am I here for / cottontail warm valley things ain't what they used to be it's all right with me I've grown accustomed to her face I've never been in love before I love Paris too close to confort younger than springtime if I were bell lazy afternoon just in time
Marty PAICH (p, arr) Conte CANDOLI, Al PORTINO, Jack SHELDON, Frank BEACH, Stu WILLIAMSON (tp) Bobby ENVOLDSEN, George ROBERTS (tb) Bill HOOD, Art PEPPER, Bill PERKINS, Jimmy GUIFFRE (sax) Vince DeROSA (f-hrn) Russ FREEMAN (p) Victor FELDMAN (vib) Joe MONDRAGON (b) Mel LEWIS (ds)

マーティ・ペイチは言わずと知れた西海岸ジャズの司令塔。アート・ペッパーもそのリーダー盤ではお世話になった大御所中の大御所です。彼には幾つものリーダー作がありますが,1959年にディスカバリーへ吹き込まれたビッグ・バンド録音はその頂点をなす傑作です。ここにご紹介する作品はその2枚「アイ・ゲット・ア・ブート・オブ・ユー」と「ブロードウェイ・ビット」をカップリングした徳用盤。余計な解説は不要なほど壮々たる演奏陣を迎え,自慢の編曲の才を存分に振るったこの作品,紛れもなく西海岸ジャズ黄金期のコーダを奏でるに相応しい傑作と言えましょう。作品全体を包む,ホルマンやショーティにはない気品と透明感は,紛れもなくペイチ独自のものです。

★★★★1/4
Jimmie NOONE "Apex Blues" (Decca: MVCR-2002 1)
I know that you know sweet Sue four or five times every evening ready for the river forevermore apex blues my Monday date blues my nayghty sweetie gives to me oh! sister, ain't tht hot! ing Joe sweet Lorraine it's tight like that Chicago rhythm my daddy rocks me off time el rado scuffle deep trouble so sweet san
Jimmie NOONE (cl) George MITCHELL (cor) Fayette WILLIAMS (tb) Bill NEWTON (tba) Joe POSTON (as, cl) Eddie POLLACK (sax) Earl HINES, Alex HILL (p) Bud SCOTT (g, banjo) Johnny WELLS (ds) et al.

今日でこそジャズの花形楽器はサックスですが,スイング期までジャズの花形楽器はクラリネットでした。バディ・デフランコと並び,クラリネット史上最高の演奏家として知る人ぞ知る名手,それがこのジミー・ヌーンです。白眉の,暴弧鵑気譴襦ぅラシックの演奏家をも唸らせた超絶技巧を持ちながら,スイング時代以降の彼は不遇をかこって世を去ります。おりしも,ジャズの花形楽器は次第にトランペットやサックスに移りつつあったのでした。近年,ジャズにおけるアンサンブルの意義を再評価する傾向の中で,クラリネットの重要性も再認識されつつあります(例:デイヴ・ダグラス「スターゲイト」)。今一度,古くて新しいクラリネットの魅力に触れるのもいいかも知れません。

★★★★1/2
The Mike BARONE Big Band "Live at Donte's, 1968" (V.S.O.P.: #103 CD)
tumbling tumbliweeds deedle-dydle I got it band and that ain't good my melancholy baby the masquerade is over juss messin' around put your arms aroud me, honey by candlelight the non-Viennese waltz blues flupp my heart belongs to daddy
Mike BARONE (tb, arr) Larry McGUIRE, Buddy CHILDERS, Gary BARONE, Steve HUFFSTETER (tp) Jim TRIMBLE, Charlie LOPER, Pete MYERS, Vince DIAZ, Ernie TACK (tb) Lou CIOTTI, Bill HOOD (ts) Met FLORY, Bill PERKINS (as) Jack NIMITZ (bs) Mike WOFFORD (p) Jim HUGHART (b) John GUERIN (ds)

何事も大事なのは時機という奴でございます。過ぎたるは及ばざるが如しという言葉がありますが,早過ぎるは遅過ぎるが如し,ということも,ジャズのような音楽ではまた然り。1960年代の後半に,ジャズクラブ「ドンテズ」を根城に活動した本盤のリーダー,マイク・バロンはまさに,遅過ぎたウェスト・コースターでありました。ウエスト・コーストのスタイルをベースによりモダンな編曲法を取り入れた彼の,優れた編曲の才が縦横に溢れたこの作品は,かつて西海岸ジャズで輝かしい歴史を刻んだビル・パーキンス,ジャック・ニミッツ,メット・フローリー,ビル・フッドらも加わった豪華な顔触れによるホットなライヴ。これがもしあと10年早ければ,間違いなく数多くのジャズ・ファンに知られるところとなったでありましょうに。世がアフリカ回帰に燃えた混沌の1970年を前に百花繚乱のジャズ界。その片隅に咲いた月見草は,心あるファンにしか見ることのできない,日陰の愛花だったのかも知れません。