往年のジャズ Α柄竿漫



★★★★1/2
Branford MARSALIS "Random Abstract" (CBS-Columbia : CK 44055)
yes and no crescent city broadway fools Lon Jellis I thought about you lonely woman steep's theme yesterday's Crepuscile with Nellie
Branford MARSALIS (ts) Kenny KIRKLAND (p) Delbert FELIX (b) Lewis NASH (ds)

新伝承派の頂点に君臨したウイントンの兄,ブランフォード・マルサリスのリーダー作です。かつて共に新伝承派を牽引した両雄,相撲で言えばさしずめ若貴兄弟なわけですが,実際この両者は性格のうえでも正反対。頭でっかちで生真面目なウイントンを貴乃花とすれば,ブランフォードはやんちゃな若乃花。そうしたやんちゃぶりが最も良い形で出ているのが,来日記念盤でもあるこの作品。構えた録音ではなかったからでしょうか,旅先でのリラックスした空気が,グループから伸び伸びとしたソロの応酬を引き出す事に成功しました。分けてもショーターの「イエス・オア・ノー」をいただいた冒頭,和臟力。トレーンの向こうを張ってのシーツ・オブ・サウンド。怖いもの知らずの若武者による怒涛の吹き倒しに思わず喝采を叫びたくなる力演。これを聴くだけでも価値があります。

★★★★★
John LEWIS "Grand Encounter" (Pasific Jazz-EMI : CDP 7 46859 2)
love me or leave me I can't get started easy living two degrees east, three degrees west skylark almost like being in love
John Lewis (p) Bill PERKINS (ts) Jim HALL (g) Percy HEATH (b) Chico HAMILTON (ds)

モダン・ジャズ・クァルテットは黒人ジャズ・コンボでありながら,室内楽を聴いているような上品さと垢抜けした味わいが魅力です。その魅力の大きな部分を占めているのがピアニストのジョン・ルイス。ブルース好きのミルト・ジャクソンが不承不承「ブルース・オン・バッハ」などというアルバムに手を貸すのは,ひとえにバロック狂のジョン・ルイスの賜物なのです。そうした彼の淡白にして上品なタッチが楽しめるこの盤は,昔からジャズ好きの間では秀逸作として有名。い良限蠅示す通り,パーキンスやハミルトンら西海岸きっての人気演奏家を迎えたこの作品は,西海岸ならではの淡白なブルース感に乗せ,上品なルイスの魅力が十二分に溢れた傑作です。分けても聴きものはパーキンスのテナー。バラード主体のしっとりとした情緒の中に,パーキンスの乾いた情感溢れるソロが溶け合って,得も言われぬ香りを醸し出します。

★★★★1/4
Freddie REDD Quartet "Music from 'The Connection' " (BlueNote : CDP 0777 7 89392 2 1)
who killed cock Robin wiggin' music forever time to smile theme for sister salvation Jim Dunn's dilemma O.D.
Freddie REDD (p) Jackie McLEAN (as) Michel MATTOS (b) Larry RITCHIE (ds)

フレディ・レッドはピアニストであると同時に作曲家としても鳴らした人。作品数は多くないので一般的な知名度にはとうとう恵まれないままでしたが,彼がブルーノート時代に残した2枚の代表作,本盤と「シェイズ・オブ・レッド」は,作曲家としての彼の魅力が良く出た好内容盤です。この盤はB級映画「ザ・コネクション」のために書かれた,いわばサントラ作品。しかし,B御用達の調子っ外れアルト吹き,マクリーンの参加で俄然価値が上がりました。凝ったハード・バップ調のレッドの作品を素材に,調子外れでファナティックな「マクリーン節」が縦横無尽。

★★★★
J.R. MONTEROSE " J.R. Monterose" (BlueNote : BLP-1536)
Wee-Jay the third Bobbie Pin Marc V ka-link beautious
J.R. MONTEROSE (ts) Ira SULLIVAN (tp) Horace SILVER (p) Wilbur WARE (b) Philly Joe JONES (ds)

J.R.モンテローズはベース界の巨人とされるチャールス・ミンガスのグループに在籍したこともあるテナーマン。もともとはクラリネットを吹いていたというだけに,人を食った中にも艶っぽい節回しが持ち味です。有名な「直立猿人」の参加で知られた人ですが,意外にもリーダーとしては知名度薄。有名なのはトミフラを迎えた「ストレイト・アヘッド」で,事実そちらも好内容盤なのですが,ブルーノートへ残したこの録音も,なかなかに捨て難い魅力を持った作品です。内容はハード・バップ調ですが,共演するアイラ・サリヴァンもひと癖あるねっちりとしたラッパを吹く人。両雄の個性がねっとり絡み合って,B級ならではのアクの強い世界を醸し出します。

★★★★1/4
Clifford JORDAN Quartet "Glass Bead Games" (StrataEast-Bomba : BOM 528)
powerful Paul Robeson glass bead games prayer to the people Cal Massey John Coltrane Eddie Harris biskit sholders bridgework maimoun Alias Buster Henry one for amos
Clifford JORDAN (ts) Cedar WALTON, Stanley COWELL (p) Bill LEE (b) Billy HIGGINS (ds)

クリフォード・ジョーダンは,テナーマンとしては珍しいほど穏やかな味わいを持ったプレイを持ち味とし,玄人受けするタイプの代表格といえましょう。彼のリーダー作品と言うと,有名どころはブルーノートに残した初期の録音群か,アナログ派御用達の「イン・ザ・ワールド」が挙がるものと思われます。しかし,穏健な彼のスタイルに怒涛の黒人独立レーベル,ストラタ・イーストのイメージが合わないからでしょうか。意外に知られていないのがこの録音。オリジナル主体で短めの演奏となっており誰にでも聴きやすい上に,玄人筋も唸る味わい深い役者も揃えたこの盤,放っておく手はありません。最近ワン・フォー・オールらによってもカバーされ再び脚光を浴びているイ忙代を感じるものの,ストラタ・イースト盤とは思えないほど穏健で歌に溢れたこの盤,ジョーダンの落ち着いた音色溢れる秀逸盤です。ちなみにこのCD,ストラタ・イーストから出ている輸入盤は原盤に従って二枚に分売されています。ご注意を。

★★★★1/4
John TAYLOR "Pause, and Think Again" (FMR : CD24-L1295)
pause white magic and think again awakening / eye to eye interlude / soft winds
John TAYLOR (p) John SURMAN (ss) Kenny WHEELER (tp) Stan SULZMAN (as) Chris PYNE (tb) Chris LAURENCE (b) Tony LEVIN (ds) Norma WINSTONE (vo)

ジョン・テイラーは1970年代にヨーロッパのシーンへ浮上してきたイギリスの俊腕ピアニスト。アメリカでは新主流派のジャズが1960年代のジャズのイニシアチブを握り,チック・コリアなどの新しい才能がその世界をさらに拡張させつつあった時代です。そうした新しいジャズの波が,確実に欧州へも広がっていた事を示すのがこのテイラー盤。良く聴くとこの盤の構成,ジャズ・ロック風の8ビートに凝ったアンサンブルを積み上げる,ら,急速調の◆も堊枦なを経て,前衛風のぁず埜紊暴情的なイ箸いΨ舛鬚箸辰討り,まるっきりあのハービー・ハンコックの名盤「処女航海」と同じ。その後の欧州ジャズはキースらの影響も咀嚼しつつ,独自の音楽性を開拓してゆきますが,この作品は初期欧州ジャズのアメリカへの憧憬と,アメリカからやってきた新たな音楽のうねりに対するヨーロッパ新世代流の解答を鮮やかに示した作品として,落とすこのできない一枚といえましょう。ゥ・CCGもないご時世,ジャケットに浮いているプチトマトはどうやって浮かせていたんでしょう?良く見ると,トマトから上のほうに,微かな糸状のものがゥB

★★★★1/4
Hal McKUSICK "Hal McKusick Quartet" (Bethlehem-Columbia : COCY-78657)
taylor made you don't know what love is they can't take that away from me lullaby for Leslie minor matters blue-who by-lan what's new interwoven give 'en Hal
Hal McKUSICK (as, cl) Barry GALBRAITH (g) Milt HINTON (b) Osie JOHNSON (ds)

ハル・マキュージックは一般にはほとんど名前を知られていないように思うのですが,同じく職人肌の名手,ポール・デスモンドやバディ・コレットあたりを彷彿させる流麗で上品なプレイで,通好みの代表格ともいうべき存在です。そしてまた,ポール・デスモンドの代表作が,ジム・ホールとの一連の共演盤であったように,マキュージックも,アタックの強いピアノよりギターのような柔らかい音色をバックに回したほうが,その消え入りそうに柔らかい音色の魅力を良く味わえます。そこへ行くとこの盤はまさにおあつらえ向きの布陣。コニッツほど鋭角的でなく,デスモンドほど艶っぽくもなく,バディ・コレットほど小洒落てもいなかった彼ですが,ただただ,内容本位で楽しむ耳を持つ方なら,この盤の持つ穏健な寛ぎに必ずや時を忘れるでしょう。

★★★★1/2
Jimmy FORREST "All the Gin is Gone" (Delmark : DD-404)
all the gin is gone Laura you go to my head myra caravan what's new sunkenfoal
Jimmy FORREST (ts) Harold MABERN (p) Grant GREEN (g) Gene RAMEY (b) Elvin JONES (ds)

ジミー・フォレストはスイング時代から活躍したテナー・マンであり,同時期に栄華を分け合ったコールマン・ホーキンスやベン・ウェブスターなどと同様,バップ期以降のモダンな演奏よりは,ソウルフルなスタイルを生かした中間派的(ないしはR&B的)色彩の強い演奏で知られた人。実際,有名な作品は「アウト・オブ・ザ・フォレスト」,「モスト・マッチ」や「ナイト・トレイン」など,どれも彼のソウルフルなテナーに大きくスポットを当てたものばかりです(例えば,オルガンやコンガを加えている)。しかし,コールマン・ホーキンスがかつてハード・バップに理解を示し,数多くの無名の若手を登用したように,フォレストも積極的に若手を登用し,新しい音楽へチャレンジしていました。このデルマーク盤はまさにそうしたフォレストのメイン・ストリーム・ジャズ宣言ともいうべき秀作。もともと演奏は超一流です。その気になればこういうバップ系も余裕綽綽。これまで「フォレストのソロは好きなんだけど,伴奏がどうも泥臭くってヤダ」と思っていたあなた!ぜひこの盤で欲求不満を解消してください。この後ジャズの前線で活躍する事になるグラント ・グリーンにエルヴィン・ジョーンズ(!!)という,信じられない顔触れの共演が楽しめる裏盤です。エルヴィンの煽りの強力なこと!

★★★★3/4
Jimmy RANEY "Two Jims and Zoot" (Mainstream-Sony : SRCS 9399)
hold me a primera vez presente de natal morning of the carnival este seu olhar betaminus move it all across the city coisa mais Linda how about you
Jimmy RANEY (g) Zoot SIMS (ts) Jim HALL (g) Steve SWALLOW (b) Osie JOHNSON (ds)

スタン・ゲッツの初期の作品群,ヴォーグやスイングなどのヨーロッパ盤における録音など,すでに1950年代にはバリバリの一線級でありながら,なぜか主役に回るとあまり知名度に恵まれないカワイソ〜なオジさん,ジミー・レイニー。しかし,豊富な共演歴が物語るように,ジミではあっても確かな技量を持ち,いかなるドラマにも外せない名脇役のような存在であったのです。この盤はそんな彼が,同様にギター界の小林稔侍ともいうべき「外せない脇役」ぶりを誇る名手ジム・ホールと,ひと癖もふた癖もある2ギターを披露した異色の名盤。主役にこれまた寅さん風テナーマン,ズートを持ってきたのがこの盤の最大の成功要因となりました。リーダーにより周到に書き込まれた脚本をもとに,2ギターが醸し出す薄暗い地下室のライトに照らされて踊るズートは,さながら地方のドサ回りが座長大会のライトの下で見せる儚く淫靡な輝きを放つのです。

★★★★1/2
Lou DONALDSON "Blues Walk" (BlueNote : CDP 7 46525 2)
blues walk move the masquerade is over play Ray autumn nocturne callin' all cats
Lou DONALDSON (as) Herman FOSTER (p) Peck MORRISON (b) Dave BAILEY (ds) Ray BARRETTO (cga)

パーカー派から出発したルー・ドナルドソンはしかし,その後じわじわとソウルフルなプレイを身上とするようになります。バップをルーツに持ちながら,濃い〜い世界に足を踏み外したアルト吹きの,千鳥足にも似た危ない足取りが記録されたのがこの盤。ゴスペル風ピアノにチャカポコ・コンガというこってり系の伴奏に乗せ,妙に艶っぽいビブラートで迫るこの盤の趣向は確かにソウルフル。なかなか普通のバップ・ファンには手を出しにくい代物です。しかし,内容は真っ当。バップ出身らしく,くどい反復フレーズ控え目なのが奏効したのでしょう。歌に徹する彼のアルトの出来が秀逸で,こってり系なのを感じさせません。