往年のジャズ 全般


★★★★★
Stan Getz and J.J. Johnson "At the Opera House" (Verve : POCJ-2469)
Billie's bounce my funny valentine crazy rhythm blues in the closet (1-4 =stereo takes) Billie's bounce my funny valentine crazy rhythm yesterdays it never entered my mind blues in the closet
Stan Getz (ts) J.J. Johnson (tb) Oscar Peterson (p) Herb Ellis (g) Ray Brown (b) Connie Kay (ds)
この盤は正直申し上げて,曲を聴くようなアルバムではありません。ユニゾン・オンリーの単純なバップ・アレンジは工夫ゼロ。おまけにライヴ録音でモノラルと悪条件が重なり,伴奏も良く聞き取れない有様。しかしこの盤,好いのですよ。演奏が。なかなか巷では挙がってこない穴盤ですが,ゲッツの最高作はと問われて,小生が真っ先に挙げたくなるのは,実のところこの盤。当時を代表する技巧派の両雄に,これまたテイタム譲りの剛腕ピーターソンが激しく激突。怒濤の技巧百花繚乱。にも拘わらずいずれも聴き応えのあるソロが続きます。圧巻はモノラル・テイクの『クレイジー・リズム』におけるゲッツの神懸かり的ソロ,まさしく畢生の出来映えと申せましょう。

★★★★1/4
The Horace Silver Quintet "Horace-Scope" (Blue Note : ST-84042)
strollin' where you at? without you Horace-scope yeah! me and my daddy Nica's dream
Horace Silver (p) Blue Mitchell (tp) Junior Cook (ts) Gene Taylor (b) Roy Brooks (ds)
ファンキーの代名詞,と,ホレスさんは呼ばれているそうで。本人もそれを自覚しているのか,はたまたそれを好いことに儲けてやろうと思っておられるのか,中にはかなり嫌みなファンキー・アルバムもあり,小生は正直,あまりこの御仁の作品を買ったことは御座いません。そんな中,数少ない秀作として心に残るのがこの作品。確かにファンキー調も含まれているのですが,△鯢頭に恐ろしく統率の取れたグループ・エクスプレッションが素晴らしく,かっちりと作られていて粋この上なし。B級ハード・バップ盤としては,これは第一級の内容であると思います。

★★★★1/2
Zoot Sims "Goes to Town" (Vogue-BMG : BVCJ-37034)
night and day tenorly crystal Zoot&zoot don't worry about me slingin' hasch I understand the big shot
Zoot Sims (ts) Jerry Wiggins (p) Pierre Michelot (b) Kenny Clarke (ds)

ズートがベニー・グッドマン楽団のメンバーとしてフランスを楽遊した当時,ヴォーグに残した初期の名演奏。ズートという人は,その優れた演奏家としての資質の割に,あまり脇役に恵まれなかったように小生は思うのですが,そこへ行くと,この盤は脇を務めるジェリー・ウィギンスが珍しくズートに充実した演奏環境を提供してくれた好盤。これで俄然ズートが乗りました。この盤の白眉は冒頭の『ナイト・アンド・デイ』におけるレスター直系らしく流麗なズートのソロで,これを聴くだけでも元の取れる一枚と申せましょう。

★★★★3/4
Horace Parlan "Happy Frame of Mind" (Blue Note : ST-84134)
home is Africa a tune for Richard back from the gig dexi kucheza blues happy frame of mind
Horace Parlan (p) Johnny Coles (tp) Booker Ervin (ts) Grant Green (g) Butch Warren (b) Billy Higgins (ds)

ジャズ界には小児麻痺のピアニストというのが少なからずおりますが,西の代表をカール・パーキンスとすれば,東の代表格はさしずめ,このホレス・パーランになりましょう。何しろ酷いハンデを負っているため,いきおい彼は演奏するのに,自由の利く右手をソロにもコード打ちにも充てねばならず,演奏も舌足らずなうえにドロドロしたファンキー調を帯びることになります。そのため,彼の作品はなかなか一般にお薦めできないのですが,唯一の例外がこれ。作編曲が素晴らしく,またバックの漆黒集団の助演が素晴らしく良い。△離哀蝓璽鵝きイ離◆璽凜ンのソロなど,白眉と言うべきものでしょう。ホレスまで乗せられていつになく饒舌なソロを展開,実に品位の高いファンキーな作品となっております。

★★★★
Buddy DeFranco "Gone with the Wind" (Verve : POCJ-2608)
oh, lady be good Buddy's blues gone with the wind sweet Georgia brown get happy Cairo pennywhistle blues samia shuffle just one of those things street of dreams carioca easy living the way you look tonight sophisticated lady love come back to me I got it bad
Buddy DeFranco (cl) Kenny Drew (p) Jimmy Raney (g) Teddy Kotick, Curley Russel (b) Art Taylor, Art Brakey (ds)

吹くのが滅法難しいクラリネットは,その惚けた音色も相俟って,モダン・ジャズ以降はほとんど見向きもされなくなってしまいますが,中には素晴らしいテクニックを身につけて,モダン・ジャズ以降のスピードに見事,対応しきった逸材もおりました。デフランコはまさにそうした一人。この盤は有名な『バディ・デフランコ・カルテット』に隠れて目立ちませんが,全体に短い曲の中でオイシイフレーズを凝縮しようという気持ちが,密度の高い演奏に結びついた好内容盤でございます。

★★★★1/4
Dick Johnson "Most Likely..." (Riverside-Victor : VICJ-2144)
Lee-antics it's so peaceful in the country aw C'mon hoss Stella by starlight me'n' Dave it's bad for me the end of the love affair folderol the loop
Dick Johnson (as) Dave McKenna (p) Wilbur Ware (b) Philly Joe Jones (ds)

ペッパーとパーカーとのちょうど中間あたりに位置したアルト吹き,ディック・ジョンソンは,程なくスタジオ・ミュージシャンとしての活動が多くなり,一線から退いてしまったため,あまり大きな評価を受けることなく終わってしまいましたが,聴いてみれば,これがなかなかに巧く,無名のままにしておくのは勿体ないような御仁。絶頂期に残したこの作品では,そうした実力肌の彼らしい魅力が全編に溢れます。分けてもバラード演奏のГ禄┛錣琉豸譟ぅ僉璽ーとペッパーのいいとこ取りしたようなクールな熱情を秘めたアルトで切々と謳います。

★★★★★
John Lewis and Sacha Distel "Afternoon in Paris" (Atrantic : AMCY-1160) 
how deep is the ozone floating #1 andre traction avant J.S.what wassily solar floating #2 amaxonia blues as you please
John Lewis (p) Sacha Distel (g) Barney Wilen (ts) Percy Heath, Pierre Michelot (b) Kenny Clark, Connnie Kay (ds)

以前ご紹介した銘盤にして名盤『グランド・エンカウンター』は,西海岸と東海岸の名手が一堂に会した豪華なセッションでしたが,こちらはまさにその裏盤的一枚。同じ編成で,ギターとベース,ドラムがフランス陣営と,「アメリカ対欧州」という顔ぶれで,銘盤を超えようとの意欲に満ちたセッション。もともとルイスもヒースも垢抜けした欧州的な演奏をする人なので,水があったのでしょう。見事に双方が溶け合って,こちらも稀に見る名作となりました。分けても,素晴らしい出来映えのバルネ・ウィランのサックスは聴きものです。

★★★★
Shorty Rogers and His Giants "Re-Entry" (Tokuma-Japan : TKCB-70937)
the goof and I powder puff for the love of art short stop not really the blues the girl friend walk don't run bunny re-entry
Shorty Rogers (fgh) Bobby Shew (tp) Bill Watrous (tb) Bud Shank (as) Bob Cooper (ts) Bill Parkins (sax) Pete Jolly (p) Monty Budwig (b) Shelly Manne (ds)

西海岸の重鎮として活躍したラッパ吹き,ショーティ・ロジャースはその後,半ば引退同然の生活をしていましたが,1980年代に堂々カムバック。亡くなるまでほんの数年ながら往時を彷彿させる作品を遺します。これはその中でも最右翼作というべきもの。全員お年を召されてかつての切れはないものの,代わって好々爺が楽しんで作ったという空気が全編に溢れ,好ましい仕上がりとなっております。

★★★★★
Zoot Sims Quartet "That Old Feeling" (Chess : GRD-807)
9:20 special the man I love 55th and state the blue room Bohemia after dark Gus's blues that old feeling woodin' you blinuet the trouble with me is you zonkin' noshin' minor-minor pegasus
Zoot Sims (sax) John Williams (p) Knobby Totah (b) Gus Johnson (ds)

小生の最も愛好するテナー奏者ズートのプレイが,最もその輝きを増したのは,蓋し1950年代の後半から1960年代の前半までの数年間で,この間にはいわゆる銘盤が集中して録音されております。その中でもアーゴ盤の『ズート』はやはり落とせない一枚で御座いましょう。このCDはそのアーゴ盤に,珍しい『プレイズ・アルト・テナー&バリトン』を加えた徳用盤。もちろん,『ズート』だけ入った正規盤を買っても宜しいと思います。白人バッパー,ジョン・ウィリアムスを加えたこのカルテットは,彼の長い経歴でも最も脂ののった演奏を聴ける,まさしく黄金のカルテットと言えましょう。ちなみに,彼には『ズート!』という,殆ど同じ題の別盤があるので,ご購入の際はご注意を。

★★★★1/4
Buddy Collette "Nice Day with Buddy Collette" (Contemporary : OJCCD-747-2)
a nice day there will never be another you minor deviation over the rainbow change it moten swing I'll remember April blues for Howard fall winds buddy boo
Buddy Colette (cl, sax) Don Friedman, Dick Shreve, Calvin Jackson (p) John Goodman, Leroy Vinnegar (b) Bill Dolney, Shelly Manne (ds)

いつの時代も職人気質の裏方さんは流行らないものですが,バディ・コレットもまた,その典型的な一人と申せましょう。独特の洒落っ気に満ちたクラリネットがこの人の一番の特徴で,野球で言えばさしずめ中日の星野投手。「ホェ〜っ,ホェ〜ッ」と一癖もふたクセもある変化球を投げ込むのが持ち味です。その旨さと来たら!一度はまると抜けられない玄人芸の妙味があります。彼の残した作品も割に大きめの編成のものが中心ですが,これは珍しいカルテット編成。彼のソロ至芸が充分に活かされ,小粒ながら充実した作品となっております。『サークル・ワルツ』でお馴染み,ドン・フリードマンがかつてこんな演奏をしていたのかと目から鱗の特典付き。