往年のジャズ


★★★★
Coleman Hawkins "The Hawk Flies High" (Riverside : OJCCD-027-2)
chant juicy fruit think deep Laura blue lights sancticity
Coleman Hawkins (ts) J.J. Johnson (tb) Idrees Sulieman (tp) Barry Galbraith (g) Hank Jones (p) Oscar Pettiford (b) Jo Jones (ds)
スイング時代から第1線で活躍していたホーキンスは,バップ期には既に大御所になっていましたが,進歩的な態度を捨てることなく,積極的に若手を登用し,中間派的な好盤を幾つか残します。これはその中でも強力な手練れを揃え内容の濃い一枚。大先輩に囲まれアイドリース・スリーマン大はしゃぎの大爆発。必死に取りなすハンク・ジョーンズの品の良さも際立ちます。どちらかというと主役より脇役の助け船の効果が大で,全員一丸のΔ呂舛腓辰箸靴震庄藾奸

★★★★★
Rob Van Bavel Trio "Just for You" (Atelier Sawano : AS 007)
in walked Bud both worlds if I should lose you for Anne just for you hopeless
Rob Van Bavel (p) Marc Van Rooij (b) Hans Van OoSterhout (ds)
すっかり有名になった澤野商会のCD群。落ち着いた感じのものが多かったシリーズ中,異彩を放っていたのが本トリオ作です。マイナー盤を発掘していながらミュージシャンの人となりについてはまるで無頓着なこのレーベル。この場を借りて主役の経歴に触れておきましょう。リーダーはベルギー絡みの録音も多いのでベルギー人と思われているようですが,実はオランダ出身。1984年,まだ大学生だった時分にトリオを結成。1988年,ロッテルダム音楽院卒業の翌年に吹き込んだ本盤が【欧州若手ジャズ芸術家賞】を受賞して一躍知られるようになりました。1990年にはオランダで最も権威あるエジソン賞も受賞。彼の地での評価を確立しています。ベースのルイージとは音楽院の学友で,太鼓のウスターフートとは師弟関係。それだけ見込まれたのでしょう。本盤は,一躍彼をスターダムにのし上げたのも頷ける丁々発止の熱演盤。あの癖のある主題を堂々自分色に染め変えるモンクの の昭螢罐縫哨鵑筌船奪奏法など,あらん限りの技巧を詰め込んで疾走するΔ覆鼻つ阿所満載。ベースが音程悪くペラペラで・・などというちっぽけな難点を遠く超えて,日の出の勢いが充満した主役のハード・エッジなピアニズムに快哉を叫びます。やたら褪めたピアノ弾きが増えてしまった欧州勢の中で,今なお異彩を放つ快心の一枚といえましょう(2004. 3. 1補筆)。

★★★★1/4
Jackie and Roy "Jackie and Roy" (Storyville - Tokuma Japan : TKCB-70560)
says my heart let's take a walk around the block spring can really hang you up the most mine Bill's bit lover tiny told me you smell so good lazy afternoon dahuud listen little girl I wish I were in love again
Jackie Kain (vo) Roy Kral (vo, p) Barney Kessel (g) Red Mitchell (b) Shelly Manne (ds)
おしどり夫婦の白人デュオが残した代表作と聞けば,残る顔ぶれからもう音が予測できる方も多いでしょう。西海岸を代表する手練れを従え,洒落た編曲で外連味のない歌とピアノ。アドリヴがどうのというような代物ではなく,清廉な声にアクのないピアノと,堅実なリズム隊の伴奏が醸し出す心地よい時間を,のんびりくつろいで楽しむというCDです。

★★★★
J.R. Monterose "Straight Ahead" (Xanadu : CRCJ-5002)
straight ahead violets for your furs chafic I remember Clifford green street scene you know that short bridge
J.R. Monterose (ts) Tommy Flanagan (p) Jimmy Garrison (b) Pete La Roca (ds)
J.R.モンテローズはリーダー作僅少のテナーマンですが,その中でもこの盤は人気の高い一枚。↓い覆疋潺妊アム・テンポ以下のバラッド曲における武骨で男臭い歌い回しが心憎い一枚。ブスッ,ブスッとぶっきらぼうかつ訥々とした語り口のサックスは,高倉健にも似たダンディズムがあります。サイドメン超豪華で,アドリブもモンテローズにしては驚くほど緊密です。

★★★★1/2
Frank Morgan "Frank Morgan" (GNP - Crescendo : GNPD 9041)
Bernie's tune my old flame I'll remember April Neil's blues the champ chooch the nearness of you whippet Milt's tune get happy crescendo blues HUH! autumn leaves well you needn't B.T.
Frank Morgan (as) Wardell Gray, James Cray (ts) Wild Bill Davis (org) Jack Scheldon, Conti Candoli (tp) Howard Roberts (g) Carl Perkins, Bobby Timmons (p) Leroy Vinnegar (b) Lawrence Marable (ds) and percussion
フランク・モーガンは雨後の竹の子の如く溢れたパーカー系アルト吹きの一人ですが,この一枚を残してぱったりと姿をくらましてしまったため,幻のアルト吹きと化していた人物です(その後ちゃんと復帰しました)。録音は悪いうえ,妙に下品かつ脳天気なコンガとオルガンが入るので,「なんじゃこりゃ!」と絶叫してしまいますが,よくよく聴くとアドリヴはバピッシュで,その上異様に歌っている。オオッと思いつつメンバーを見ると,おやまあ,実は何気にB級名手大集合。凄い顔ぶれじゃあないですか。成る程これなら幻の名手にもなる筈だと納得させられなくもないCD。アドリヴ一発勝負のアヤシイラテン系ビ・バップ裏名盤です。余談ながらワーデル・グレイはこれが遺作。

★★★★1/4
Kevin Eubanks "Opening Night" (GNP : GNPD 9520)
opening night shades of black the navigator thought about thinking in flight from Omelas a place before you've been Vera's isle to be continued
Kevin Eubanks (g) Branford Marsalis (ts) Kent Jordan (fl) Kenny Kirkland (p) Buster Williams, David Eubanks (b) Marvin Smith, Tommy Campbell (ds) Big Black (conga)
すっかり最近評判が悪いウィントン・マルサリス。しかし,現在のアコースティック・ジャズ隆盛の礎は間違いなくこの人が作りました。というと,演奏家としての側面ばかりが注目されるのですが,有望な新人への育成や援助の面でも,彼は陰で少なからぬ貢献をしました。この人もウィントンに恩恵を受けた一人。その後フュージョンへと向かったため多くのファンから無視されているようですが,この盤は穴盤。マルサリス一派の豪華な若手(当時)の達者な助演を受けアコースティック・ジャズ真っ向勝負。若手らしいフュージョン風の爽やかな作編曲に乗って,デビュー直後の外連味のない技巧を縦横無尽に駆使。颯爽とした快作となっております。短いながらケント・ジョーダンのフルート,抜群です。

★★★★1/2
Charles Lloyd Quartet "Dream Weaver" (Atrantic : AMCY-1010)
autumn sequence - autumn prelude: autumn leaves: autumn echo dream weaver - meditation: Dervish dance bird flight love ship sombrero Sam
Charles Lloyd (ts, fl) Keith Jarrett (p) Cecil McBee (b) Jack DeJohnette (ds)
この夢のような顔触れのロイド・グループは短期間で消滅しましたが,彼はその後瞑想生活をするためジャズをあっさり辞めてしまうような,イカニモ,ベトナム世代の音楽家らしい人でした。この作品の魅力はもちろん若いキースとジャック・ディジョネットの鬼気迫る演奏にありますが,モード,フリー,民族音楽など,コルトレーン以降の雑多な「オドロオドロシイ」ジャズ・イディオムをどろどろに溶けこませたこの作品,ジャズが苦悩の中,それでもまだ辛うじて同時代性を保っていた幸福な時期の,最後の輝きを鮮やかに捉えた作品の一つとして,一聴の価値はあります。´は秀演。

★★★★1/2
Randy Weston "Tanjah" (Verve : 314 527 778-2)
hi-fly in memory of sweet meat Jamaica east sweet meat (alt.) the last day sweat meat(alt.) little niles
Randy Weston (p, ep) Julius Watkins (f-hrn) Ray Copeland, Jon Faddis, Ernie Royal (tp, flgh) Al Grey (tb) Jack Jeffers (btb) Norris Turney (as, pcclo) Billy Harper (ts, fl) Budd Johnson (ts, ss, cl) Danny Bank (bs, bcl, fl) Ahmed Abdul-Malik (Arabic narr) Ron Carter (b) Azzedlin Weston (cga, kakabar) Candido Camero (cga, Spanish narr) Omar Clay (mrmba, timp) Taiwo Yusve Divall (ashiko d) Earl Williams (perc) Rudy Collins (ds) Delores Ivory Davis (vo) Melba Liston (arr, cond)
同様に民族音楽へと走っていながら,上のチャールス・ロイドのストイックな音楽性に比べ,ウェストンの音楽の何と開放的で,垢抜けなくて,惚けていることよ。ひたすら胡散臭い親父の掛け声に乗り,エンヤトット集団円舞する土人の如く陽気なアフリカ・リズムと中近東風の旋律が縦横にピーヒョロ乱舞。ジャズを超えた壮大なカオス・ワールドにただただ呆気に取られること必定。これぞストレートにルーツ回帰を成功させた野心作だと小生は思います。カッコマンの某巨人崇拝の皆さんに,ぜひ聴いていただきたい。本当のルーツ回帰とはこうやるのです。しかしロン・カーターのベースにこんな使い道があるとは・・(苦笑)

★★★★★
Zoot Sims - Bucky Pizzarelli "Elegiac" (Storyville : STCD 8238) 
Lester leaps in willow weep for me limehouse blues don't blame me in a mellow tone I got it bad and that ain't good satin doll take the A train Fred Jean stompin' at the savoy memories of you softly as in a morning sunrise the girl from Ipanema
Zoot Sims (ts, ss) Bucky Pizzarelli (g)
ズート晩年のライヴ音源。マイクが好くないのか音質は決して誉められたものではなく,これで演奏も並以下なら救いようがないところ。何しろ全盛期は遠い昔のことなので,実のところ全く期待せずに購入したのですが,聴いてみて吃驚。これは滅法好いです。確かにズートのテナーはお年のせいか音量こそ落ちたようですが,もともとレスター系のテナーなので音量よりコントロール重視なうえ,録音のせいでそれがほとんど目立たない。その録音がさらに悪戯をして一気にタイム・スリップ1960年代初頭。ズートも思わず童子返りしたか大爆発。冴え渡るフレージングは絶頂期に迫る完成度。この日の彼に何が起きたのか,良く分からぬものの神が降りていたのは間違いなく,その浮かされたようなプレイに顔面蒼白まさしく最期の燃焼と言うべきものです。傑作。

★★★★★
Al Haig Quartet "Al Haig Quartet" (Period-Venus : TKCZ-79501)   
sweet Lorraine tea for two you go to my head you stepped out of my dream undecided the man I love woodin' you Stella by starlight someone to watch ovr me
AL Haig (p) Teddy Kotick (b) Phil Brown (ds) Benny Weeks (g)
アル・ヘイグは,クラシック流にいえばバップ期におけるミケランジェリ。つまりは異常なまでの潔癖・完璧主義者。バド・シャンク・グループのベース奏者ドン・プレルがオーディションで「帰れ」と一刀両断にされたほど伴奏には煩く,徹底してタイム・キープだけを要求したそうです。そんな彼が最も演奏家として脂の乗った時期の録音としては,有名なトリオ録音『アット・エソテリック』がありますが,こちらはその裏盤でギターの入った四重奏。くだんのトリオ盤に比べ知名度薄ながら,内容は負けていません。ドイツもコイツも下手っぴなバップ・ピアノ界にあって,メカニカルですらあるフレージングが,トリオ盤に比して秀逸な録音でさらに磨かれ,ヘイグの左手もこちらの方が屈強で聴き易い。古盤入門にも最適で,飽きのこない一枚です。

(2001. 7. 10)