「新春架空対談、ブチャラティVS花京院」
 

(音楽「初流乃もとい春の海」)
チャン、チャララララララン♪

花京院がソファに座っている。
ブチャラティが入って来ると、花京院は立ち上がり会釈しながら、ブチャラティと握手をして、向かいのソファをすすめる。

花京院「今日は憧れのブチャラティさんに会えてとっても嬉しいです。」
ブチャ「なに言ってるんだ、君の方が古いし、大活躍したじゃないか。」

花「読んで下さったんですか?第3部。」
ブ「ああ、スタンド関係の本は大抵読んだし、やっぱり君達の旅と戦いはなんと言ってもスタンド史における金字塔だからね。」

花「そんな、僕らはただ、ホリィさんを救いたかっただけです。」
ブ「そこなんだ。たった一人の女性、しかも血がつながってもいないし恋仲に有った訳でも、世話になった訳でもない。しかし彼女を放って置けなかったところが、君と俺の大きな共通点だと思ったんだ。」

花「ど、同感です!あなたがトリッシュを奪回するために決めた『覚悟』! 僕すっごく解るんです。そこには『守りたい』という感情とともに『これを許す自分が許せない』っていうのが有ったんでしょう?」
ブ「その通りだ。俺は今まで『麻薬』が許せなかったくせに、『組織』に逆らう度胸を持 てずに悶々としていた。しかし、トリッシュがさらわれた時自分の進む道が見えたんだ、今までの自分は正しくない。嫌な事は自ら変えて行かなくてはならない。自分を変える為の道、それが彼女を助けボスに反旗を翻すという事だったんだ。」

花「僕の場合はDIOに屈服して、肉の芽に操られていた自分が許せなかった。 あの冒険は、それを克服し自分を取り戻す旅だったという事が出来ます。」
ブ「そう、自分を偽って生きていく事こそ、本当の『悪』かもしれん。」

花「しかし結局僕の場合、承太郎の存在も大きかったですね。彼が命を張って肉の芽を抜いてくれたから、自分を取り戻す気になったと言える。」
ブ「その視点からいうと、俺の場合ジョルノとの出会いが有ったなあ、あいつは何かをやるという『気迫』を俺に見せてくれた。それに触発されて、自分を変える方向をおぼろげながら見たというか、『あいつなら俺をこの状況から脱出させてくれるハズミになるかも』なんて思ってしまったたった15才のガキに」

花「なんていうか、彼はやっぱりDIOの血を引いているせいか、『カリスマ』が感じられますね。それも『有無をも言わさぬ強引さ』じゃなくって『控えめな説得力』って感じの。ジョースターの血の影響かも知れないけど。ジョースターの人間ってホラ、人を巻き込んじゃうんですよ。」
ブ「巻き込まれたのかあ、俺も。(笑)」

花「ブチャラティさんが笑うのって久しぶりに見ました。今それどころじゃ 有りませんものね。でも、初登場の時の笑い方って、何か別のキャラクター入って居ませんでした?。」
ブ「君の初登場の時だって、ミョーな雰囲気出してたよ。(笑)」

花「あれは『肉の芽』のせいだったと思って下さい。(笑)ブチャラティさんも何に取り付かれて居たんですか?」
ブ「ボスからの指令だっていうんで、極度に緊張してたのかも。しかしさっきのジョルノに巻き込まれたって話、まったくだ。でも後悔する事は無かったな。あいつをチームに入れてから、苦しい戦いの連続だったけど、その中での俺は、いつだって後ろめたさのかけらも持たずにいられた。チンピラをやってた時の何倍ものパワーが出せるんだ。信じるものの為に戦うってこんなに素晴らしい事かと思った。親父をかばって殺人をした時以来だ。」

花「お気の毒でしたね。」
ブ「君もつらかったろう、ご両親と別れて旅に出て、そのまま帰れなくなって。」

花「いえ、いいんです。僕の『生かされる』場所はあそこには無かった。ただスタンドを隠し、心を閉ざし、両親に心配かけていたあの頃の僕を思うと腹立たしくって、死んだ方がマシだなんて思うんですよ。(笑)」
ブ「ホントに?」

花「いや、ちょっと恋も結婚もしないで死んだのは惜しいかな、なんて。(笑)ブチャラティさんは、恋人とか、居なかったんですか?」
ブ「ギャングは、まともに恋人なんか作れないよ。巻き込むのはチームだけでたくさんだ。」

花「そうですね。フーゴ君の件、残念でした。彼はなんとなく、肉の芽植えられた頃の僕に似てます。臆病で打算的で、生きるのに必死だが、生きる目的を見失ってる。」
ブ「彼の事は言わないでくれ、あれでいいんだ。」

花「すみません。でも、彼にあなたの『正義』が伝わらなかったのは、僕としても、歯がゆくって。」
ブ「ありがとう。」

花「ところで傷の具合はいかがですか?胸を貫かれたようですが、DIOにやられた僕の傷まで、うずく様です。」
ブ「おんなじようなやられ方だったな。ジョルノが完全に治してくれたよ。もし3部にも彼のような能力の仲間がいたら、君も若い命を落とす事は無かったろうに」

花「ハードな戦いですね。でもせっかくスタンドの正体を知る事が出来たん だから、勝機は有りますよ!」
ブ「いや、かえって絶望を感じたね、あの能力には。まともに戦える相手じゃ無い。それに俺には時間が」

花「わかっています。ここでこうして僕としゃべっているって事が、どういう事を意味してるかでも、希望は有りますよ。ジョースターの人達は必ず困難を克服して来たんです。そして、我々の力は、必ずそこにつながって行く事が出来るんです、単なる『犠牲』じゃ終わらない。」
ブ「それ以上は言わなくていい。俺には分かる。そしてこれを読んでいる全てのジョジョファン達も、信じてくれてるハズだ。」

花「そうですね、本当の『大団円』を描くまで、僕たちの世界は消えない。」
「何者にも邪魔されたりはしない。『敵』にも、それ以上の『我々の世界を支配している』力にも屈服したりしない。」

花「応援していますよ、本当の『物語の終わり』を見る日を待ってます。そしてあなたに安らぎが訪れる事を私はここで待ってます。」

ブチャラティ、立ち上がり再び花京院と固く握手を交わし、去ってゆく。花京院、それを見送っている。その姿はやがて、琴の妙なる調べと共にかき消されるように見えなくなっていった。

《終わり》