JETMAN エピソード ガイド3


第13話 愛の迷路 第14話 愛の必殺砲 第15話 高校生戦士 第16話 紙々の叛乱 第17話 復活の女帝 第18話 凱、死す!


第13話、愛の迷路

Story

 今日は竜の26歳の誕生日。基地ではそのバースディパーティーが開かれていた。
ずらりとテーブルに並んだご馳走はみんな香の手作りだ。
 「今日のために一ヶ月前からお料理の特訓してきたんだもんね。健気じゃの〜」とアコ。
 「うまい!これなら香もいいお嫁サンになれるよ。」と竜に言われて香は大喜び。
 「そんなこと言わないで、竜がもらってあげればいいじゃない。」と言うアコの言葉に、香はもう有頂天だ。
そんな香の様子を凱は複雑な思いで見つめていた。

 数日後、凱は竜をバー・ゴールデンゲートへ呼び出した。
「何の用だ?」と訝る竜に、凱は香のことをどう思っているのかと問い詰めた。
「知らねぇとは言わせないぜ!香はもうずっと前からお前に惚れてる。どこがいいのかわからんがな。」
しかし、竜は「俺も香も戦士だ。ただそれだけだ。」とあくまで戦士としての姿勢を崩そうとしない。
そんな竜に凱は激昂して叫んだ。
 「なぜ本音を吐かねぇ!俺たちは戦士である前に人間だ!男と女だ!」「…」
 「それとも何か、お前今まで一度も女に惚れたことがねぇってのか」「…」
凱の言葉が、竜の中にある面影を呼び起こした。リエ…だが凱はそんな竜の胸中を知る由もない。
 「だがこれだけは言っておく。俺は香に惚れてる。必ず香を落としてみせる。誰にも邪魔はさせねぇ。お前にもな!」
吐き捨てるようにそう言うと凱は竜を残して店を出ていった。
 そんな凱を見送りながら、竜は心の中でつぶやいた。「凱、お前にはわかるまい。俺だって…」
竜の脳裏にリエとの幸せだった日々が甦る。カウンターに座り、注文したホットミルクを手にした竜の耳に、リエの弾く
ピアノのメロディが聞こえてきた。リエの傍らでホットミルクを飲みながら、そのピアノに耳を傾けた幸せだった日々…。
「何故死んだんだ、リエ。もう一度、お前のピアノが聞きたい…」竜は心の中で叫んでいた。

 その頃、街では異変が起きていた。写真を撮ろうとしていた人が次々と消えていく…。それはマリアが作った新しい
次元獣カメラジゲンの仕業だった。カメラジゲンのビームを浴びた人々はアルバムの中に幽閉されてしまうのだ。
バイラムの魔城バイロックでは、マリアがそのアルバムを手に、
 「やがてジェットマンもこのアルバムを飾ることになる」
と満足気に眺めていた。しかしそんなマリアに、ラディゲは
 「まだ判らんのか、たとえジェットマンを倒したとしても、お前の運命はこの私の手の中にある」
と謎めいた言葉を投げかける。反発するマリア…
そんな二人をよそに、グレイは一人ピアノの前に座り、つたないメロディを奏でていた。
 「変な奴だよな。ロボットのくせに音楽を愛するなんて…」
トランの言葉にグレイが腹をたてて立ち上がる。が、そのグレイの弾くピアノの音がマリアの中の
何かを呼び覚ました。引き寄せられるようにピアノの前に座ると、マリアは何かに憑かれたようにピアノを引き始めた。
それを黙って聞き入るラディゲ、グレイ、トラン…。そのメロディはかつてリエが弾いていた曲と同じだった。

 一方基地では、香が竜に数日遅れのバースディプレゼントを渡していた。真赤な手編みのベストだ。
それは香が慣れぬ手つきで何日もかけて編み上げたものだった。香の指にはいくつも針の傷跡がある。
それを見ながら竜は複雑な面持ちで
 「受け取れないな…。」
と香にベストを返した。二人の様子を見守っていたアコ、雷太、凱も驚いて竜を見つめる。
 「すまない。でもどうしても受け取れないんだ。」
竜から突き返されたベストを手に呆然とする香…。
 「私、忘れてました。ちょっと友達と約束が…」
ベストを雷太に押し付けると、香は基地を飛び出した。それを追う凱…。
 「どういうつもりなんだ、竜!香さんを傷つける奴は僕が許さない!」
雷太が珍しく激昂して竜に詰め寄る。そんな仲間の様子に
 「もう、みんなどうしちゃったの…」と戸惑うアコ。

 「香ー!」基地を飛び出した香を凱が追いかける。凱が追いついた時、香の顔は涙で崩れていた。
 「前にも言ったはずだ。惚れるんなら俺に惚れろってな!」
泣きながら立ちつくす香を前に、凱の想いも爆発する。
 「俺を見てくれ、俺を見ろ!お前に惚れてる男はここにいる!」
思わず香を抱きしめ、キスしようとする凱。しかし香はそんな凱の頬を打った。
 「何故俺の気持ちがわからねぇ」
涙に濡れた香の顔を凱はやりきれない想いで見つめる…。
しかし、凱もう一度香を抱きしめようとした時、突然バイラムの攻撃が…!
 「お邪魔だったかしら、ジェットマン…」
マリアが不敵な笑みを浮かべながら言った。そして、多数のグリナム兵とカメラジゲンが凱と香に襲いかかった。

 その頃基地では香の残したベストを手に雷太がため息をつく。
 「つらいもんですね、アコさん。自分の好きな人が他の誰かを好きだなんて…」
 「えー?もしかして雷太も香のことを…」

 執拗に襲いかかるバイラムを前に、凱と香は苦戦していた。
 「逃げるんだ。俺たち二人じゃ勝てない」
と言う凱に対し、香はなおも戦おうとする。凱は基地へ連絡して応援を頼むが、二人は次第に追い詰められていった。
そしてもはや絶体絶命となった時、ようやく竜たちが駆けつけた。二人に逃げるよう促す竜。凱が香を連れて逃げようと
したその時、マリアのネクロッドが香をさらった。そして、そこへカメラジゲンのレンズビームが…。
 「香!」ビームを浴びて倒れる香を凱が受け止める。しかしその腕の中で香は煙のように消えてしまった。
 「こ、これは!!」
驚く凱たちの前で、マリアがゆっくりとアルバムを開いた。そこには幽閉されてしまった香の写真が…。
「香ー!」凱の叫びが空しく響く。はたして香は…。

凱語録

 

感想

 「戦うトレンディドラマ」の一つの頂点といえます。香の手編みのベストを受け取れない竜。もちろん、これはリエを
どうしても忘れることができないからでしょう。香が自分を愛しているのはうすうす解っている、でもリエは捨てられない、
という竜の葛藤は、後々まで尾を引きましたね。凱の「なぜ本音を吐かねえ!俺達は戦士である前に人間だ!男と
女だ!」というせりふは、人一倍惚れた女にはとことん惚れ込む凱の切なる気持ちがよく現れているといえます。
かたや竜の、「俺達は戦士だ。ただそれだけだ」という言い訳は、 正直、言い訳になっていません。
しかし、リエと香との葛藤で苦しむ竜としては、この程度の言い訳が精一杯だったのでしょう。恋愛でチームワークが
乱れるのはJM前半の名物ですが、この回を「爆発する恋」、22話を「爆発する恋2」としてもそんなに差し支えは
なかったでしょう。香のために必死な凱の感情が痛いほど悲痛に、 シリアスに描かれていました。
                                                         (byメガシルバさん)


第14話 愛の必殺砲

Story

 カメラジゲンのビームを浴びて写真の中に幽閉されてしまった香…。
残された4人は基地に戻るが、香を思ってみな押し黙ったままだ。
「惚れた女一人守れないとは、なんてざまだ。」香を守リ切れなかった自分を責める凱。
「よせ、お前の責任じゃない」竜が声をかけるが、「つまらない慰めを吐くんじゃねぇ!」と凱は吐き捨てるように言う。

 バイロックでは、香が幽閉されたアルバムを手にしたマリアが、ラディゲたちを前に
「やがて残りのジェットマンもこのアルバムを飾ることになる」と勝利を確信していた。だが、ラディゲは
「たとえお前が何をしようと、この俺を超えることは出来ない」と不思議な余裕を見せるのだった。

 マリアは街に出で、次々に人々を写真の中に幽閉していった。その前に現われる凱…。
「香を、香を元に戻せ!」凱の叫びにマリアは勝ち誇ったように「それが人にものを頼む態度か」と笑みを浮かべた。
そんなマリアを前にどうすることも出来ない凱は、ついにはマリアの足元に土下座して頭を下げた。
「頼む!香を元の姿に!」しかし、マリアはそんな凱を足蹴にする。それでもなお懇願する凱…。
そこへ、竜たち3人が現われた。「よせ!そんな言葉が通じる相手か!」凱の姿を見て竜は思わず叫んだ。
しかしマリアはそんな凱たちの心を弄ぶように「香を助けたかったら、レッドホークの首を差し出せ!」と残酷な提案をする。
凱の脳裏に、香を抱きしめようとして拒否されたやりきれない想いが甦った。そしてその香の想いを拒否した竜…。
凱は思わず竜に掴みかかる。「よせ凱!俺を倒してもバイラムが約束を守ると思うのか!」竜に一喝されて凱も我に返った。
そんな凱たちめがけてカメラジゲンのビームが炸裂する。

 基地に戻って傷の手当てをする4人。凱は居ても立ってもいられず、香を助けるためなら何でもすると綾に詰め寄った。
そんな凱を制しながら綾は、カメラジゲンがレンズビームを放つ際、開いたシャッターから内部を破壊すればあるいは
倒せるかもと、冷静に分析する。

 「もはや私の前に立ちふさがるものは何も無い」と勝ち誇ったように街を攻撃するマリアとカメラジゲン。そこへ変身した
ジェットマン4人が舞い降りた。レンズビームを浴びせるカメラジゲンに対して、綾の作戦通り、4人は一斉にバードブラスター
を発射する。そして、狙い通りバードブラスターのビームがレンズビームを推し戻そうとしたその時、突然グレイが現われた。
グレイは自らの体を盾にビームを跳ね返すと、逆にグレイキャノンで4人を攻撃した。その強烈な攻撃に4人は変身が解けて
地面に叩きつけられた。そこへカメラジゲンのビームが…!避ける間も無く雷太とアコがそれを浴びてしまった。
「こ、これは…!逃げるのよ!竜!凱!」基地のモニターで様子を見ていた綾は必死で叫んだ。

 「何故?何故私に手を貸した?グレイ…」マリアは何故グレイが自分の危機を救おうとしたのか理解できなかった。
ジェットマンを倒した者がバイラムの頂点に立つ…それゆえ4幹部は互いにライバルであり、助け合うことなど無い
はずだった。「マリア…お前のピアノは素晴らしかった…」問い詰めるマリアにグレイは一言そう告げた。

 香ばかりか雷太、アコまで写真の中に幽閉されてしまったジェットマン。
基地に戻った竜と凱は必死でジェットストライカーの改造に取り組んでいた。
「残された手段はこれしか無い!グレイを弾き飛ばし、なおかつカメラジゲンを粉砕できる必殺武器を作る…!」
そう言って、モニター越しに竜と凱に改造の指示を与える綾。ところがそのモニターにマリアの姿が映し出された。
「バ、バイラム!!」マリアは香の写真を火にかざして、竜と凱を誘き出そうとする。
「やめて!キャー!」凱の耳に香の悲鳴が聞こえた。
「香!」思わず基地を飛び出していく凱。後を追おうとした竜に綾が鋭く叫んだ。
「追っちゃダメ!竜!一刻も早くファイヤーバズーカを完成させるの!…それ以外に勝ち目は無い!」

 「何処にいるバイラム!出てきやがれ!」バイクで街を探し回る凱。そこへマリアとカメラジゲンが現われた。
凱はカメラジゲンの攻撃をかわしてマリアに迫る。だが、香の写真を手にしたマリアが変身しようとした凱を制した。
「待て!香がどうなってもいいのか」「香!」立ちすくむ凱…。

 一方竜は一人必死でジェットストライカーの改造に取り組んでいた。そして試行錯誤の末、ようやくそれを完成させた。
だがその頃凱は、マリアたちの攻撃の前に変身することもできずに追い詰められていた。
そして改造したジェットストライカーで竜が駆けつけたその時、ついに凱もカメラジゲンのビームを浴びてしまった。
ジェットストライカーを改造して作った新たな必殺武器ファイヤーバズーカ。カメラジゲンに照準を合わせながら、竜は心の中
でつぶやいていた。
 「一人でファイヤーバズーカの衝撃に絶えられるか…凱、香、雷太、アコ…みんなの命俺が預かった!ファイヤー!!」
いちかばちか、竜はファイヤーバズーカをカメラジゲンに向けて発射した。すさまじい衝撃に竜自身も後方へ吹き飛ばされる。
その時カメラジゲンの前にグレイが現われ、盾となって立ちふさがった。
しかしファイヤーバズーカの炎のビームは、グレイもろともカメラジゲンやマリアを弾き飛ばした。
人々を閉じこめていたアルバムも衝撃で飛ばされ地面に落ちる。…と次の瞬間、アルバムが消滅し閉じ込められていた人々
は元に戻ることができた。凱、香、雷太、アコも元に戻り、やっと5人そろったジェットマン。
バイラムへの怒りの反撃が始まった。グレイ対竜、マリア対香、アコ、そしてカメラジゲン対する凱と雷太の連続攻撃。
その猛攻にグレイは片腕を落とし、マリアも気を失った。
そして巨大化したカメラジゲンはイカロスハーケンのジェットフェニックスによって倒されたのだった。

 「ありがとう竜。竜がいなかったら今頃僕たちは…」戦いの後、雷太が竜に向かって礼を言った。
 「私ずっと信じていました。きっと、きっと竜が助けてくれるって。」香も紅潮した面持ちで竜に告げる。
竜は戸惑ったように 「いや、俺だけの力じゃないんだ。」と凱の方を振り返った。
凱は4人に背を向けたまま、湖に小石を投げていた。「大丈夫か、傷の方は…」そんな凱に竜が近寄る。
ハンカチを差し出そうとした竜を凱が鋭く制した。香を助け出そうとして果たせず、結局は自分自身も竜に助けられる結果と
なってしまった凱の胸中は複雑だった。そんな凱の想いを知ってか知らずか、香は竜に向かってきっぱりと告げた。
 「あなたが私のことをどう思おうと、やっぱり私はあなたが好きです。」
 「ひゃぁ〜、衝撃の告白!」
アコは茶化したが、竜は戸惑いを隠せない。が、それ以上に衝撃を受けたのは凱だ。居たたまれないようにバイクに
駆け寄ると、ヘルメットを放り投げたまま走り去ってしまった。
やりきれない想いを振り切るようにバイクのスピードを上げ、そのままバイクごと土手に倒れこむ凱…。
「香…、何故だ、何故俺の気持ちが通じねぇ。」地面を叩きつけながら、凱はうめくようにつぶやいた。

 その頃、意識を取り戻したグレイは自らの腕をつけ直し、意識を失ったままのマリアを抱き上げてその場を去って行った。

凱語録

 「つまらねえ慰めを吐くんじゃねえ!」
 「香を、香を元に戻せ!」
 「なぜだ、なぜ俺の気持ちが通じねえ!」

感想

 ファイヤーバズーカ登場の回ですが....それよりも凱の切なさがこれでもかと言うほど伝わってきました。前回、香を
助けられなかったことを悔み、マリアに土下座してでも彼女を助けようとしていましたが、それほど凱の香に対する気持ちは
真摯なものだったのでしょう。一刻も早くファイヤーバズーカを完成させなければならないはずなのに、マリアの脅しを見て
いられず飛び出す凱。最後で香が竜に「あなたが私のことをどう思っていようと、私はあなたが好きです」と言った時の
凱の気持ちはどんなものだったのでしょうか。「なぜだ、なぜ俺の気持ちが通じねえ!」のせりふが痛いほど悲痛に聞こえた
のは私だけではないでしょう。肉体的にも(前回、今回と凱はマリアに相当いたぶられていました)精神的にも満身創痍の
ところで、自分の胸に深く突き刺さる言葉を聞いたのですから....。 (byメガシルバさん)


第15話 高校生戦士

Story

 

凱語録

 

感想

 高校生としてのアコが描かれる、貴重な回でした。ターボやメガではあれほど苦労したのに....。
まあ、それはさて置いて、アコとキョウコの友情はよかったですね。「アコはアコでしかないじゃない」の台詞は、メガ17話
「みくはみくでしかないじゃない」と同じような感触を覚えました。また、高校生としての描写が薄かったアコですが、まあ
アコが主役のエピソードはどれもバラエティに富んでいるのでその点はいいでしょう。
 それにしても、今回一番の見せ場はアコとキョウコの友情よりもやはり雷太の女装でしょう。問答無用で。
さすがにボイスジゲンも吐き気がしてましたが、あれは本当、「うげえっ!」の一言でした。これだけを見るとコメディ編と
いえますね。10、11、46話といい、雷太はコメディ編では目立っている傾向が強いですが....。
                                                      (byメガシルバさん)
お勧め
名場面
雷太が芸者に変装して、ボイスジゲンを罠にはめる、あのシーンがすべてでしょう。(byメガシルバさん)
15話の「声が・・声が元に戻った・・」に続いてアコが名乗りを挙げるシーン。(byてるさん)


第16話 紙々の叛乱

Story

 

凱語録

 

感想

特に変哲はない1話完結のエピソードですが、間吹周一郎と静子がどこと無く悲しげに描写されてましたね。
絵が実体化して現れるシーンは恐ろしかったです。この回のもの悲しさを描写するように。
ところで、竜、いきなり竦ヮq!」ってのはちょっと....。  (byメガシルバさん)


第17話 復活の女帝

Story

 裏次元の彼方から何かが近づきつつあった。途方もないエネルギーを持った何かが…。 

 その日5人は都内のデパートにいた。香とアコのショッピングに竜たち3人が付き合わされているのだ。
楽しげに水着を選ぶ香とアコとは対照的に、「女の子の買い物には付き合うもんじゃないな」とうんざりする雷太と竜。
だが凱だけは別の想いでそれを見つめていた。突然香の手を取ると、凱は強引に香を連れ出した。驚いた雷太たち
も後を追ったが、凱は香と二人でエレベーターに乗り込んでしまった。
 「何事ですの?」突然の事に戸惑う香。
 「別に…。ただ突然あんたと二人っきりになりたくなった…。ただそれだけの事だ。」
そう言って凱は香を見つめる。

 一方竜、雷太、アコの3人も慌てて隣のエレベーターに乗り込んだ。
「凱の奴、いったいどういうつもりなんだ!」凱の身勝手な行動に雷太は怒りを隠さない。

 だかまさにその時、宇宙の彼方から謎の隕石が落下した。そして、そこから発せられる強力なエネルギーによって
都心全体の電気が消えた。車や電車はストップし、綾のいる基地の電気さえ消えてしまう。
凱と香を乗せたエレベーターも暗闇の中で止まってしまった。凱はポケットからマッチを取り出して火をつけた。
ぼんやりとしたその灯りに香は安堵の表情を浮かべたが、凱はすぐにそれをかき消した。香の顔に緊張が走る…。
 「ガキの頃ママに習わなかったか?男は狼だって…な」
 「いやですわ、凱ったら。真剣な顔しちゃって」
香はわざと声を立てて笑ってみせたが、凱はそんな香を鋭く見つめ返す。香の顔から笑顔が消えた。
 「俺の気持ちは判ってるはずだ。答えてくれ、俺のことが好きか、嫌いか…」

 隣のエレベーターでは雷太が一人気をもんでいた。
 「凱の奴、香さんに指一本でも触れたら僕がぶん殴ってやる!」
 「いい加減にしろ、雷太」思いがけない雷太の勢いに竜は閉口気味だ。だが、雷太はさらに続けた。
 「竜なんかに僕の気持ちがわかるもんか。香さんに好かれようとは思わない。僕なんて、ダサいし、カッコ悪いし…。
だから決めたんだ。香さんを守ってあげようって」「雷太、お前…」思いつめたような雷太の横顔。
 「おーい!凱、香さーん!」
一向に動かないエレベーターに痺れを切らして、雷太はエレベーターの壁を叩いた。

 「どうなんだ香!答えてくれ。」同じ頃、凱も痺れを切らして香に詰め寄った。
 「分かりませんわ。あなたのこと、好きとか嫌いとかそんな風に考えた事、ありませんもの…」
香は困惑したように目をそらした。凱はさらに畳み掛けた。
 「じゃあ竜はどうなんだ。あいつのどこがいいってんだ」
 「竜は…竜は強い人です。あんな人、他にいない…。」
 「強い?あれはただ頭が堅いだけだ。石頭のつまんねぇ野郎だぜ。」
 「最低!」凱の言葉に香が鋭く反応した。
 「仲間をそんな風に言うなんて、最低ですわ!」香が怒りに満ちた目で凱を見つめる。だが、凱は意外にも…
 「そうだ、それでいい!」「えっ?」
 「好きでも嫌いでもねぇって言われるより、いっそのこと嫌われた方がすっきりするぜ!」
凱はそういって香の腕を掴んで詰め寄った。
 「もっと嫌え!もっともっ思いっきり嫌ってくれ!」
 「凱…」困惑する香。…と、その瞬間、電気がついて、エレベーターが動き出した。

 ほぼ同時に二台のエレベーターのドアが開き、5人が降りてきた。
「香さん!大丈夫でしたか?なんか変な事されませんでしたか?」雷太が必死で香に尋ねる。
「なに?!人を痴漢みたいに言いやがって!」
「止めろって!」竜が二人の間に割ってはいる。
険悪な雰囲気の中、突然ブレスが鳴った。落下した隕石の調査を命ずる綾からの緊急連絡だ。

 指定された地点に向かった5人。そこには巨大な隕石が…。近づこうとした時突然ラディゲが現われた。そして、
二つに割れた隕石から姿を現したのは、ラディゲさえひざまずく、バイラムの支配者・女帝ジューザだった。
驚く竜たち5人を蹴散らしてバイロックに戻ったジューザはひざまずくラディゲ、グレイ、トランを前に王座に着いた。
かつての裏次元侵略戦争の際、死んだと思われていたジューザだったが、実は新たな活力を得るために眠りに
ついていただけだった。そして今、その体に魔獣セミマルを宿して復活したのだ。
 かつての強大な支配者の復活に複雑な思いのバイラムの4幹部たち。マリアはその存在すら知らなかった。
だが、ラディゲは心の底では密かにジューザに叛旗を翻していた。

 その体に宿した魔獣セミマルを育てるため、人間の苦しみや悲しみ必要とするジューザは街に出で人々を襲い
始めた。そこへ駆けつける竜たち5人。変身してジェットマンとなって戦う5人だが、ジューザの力は今までのどんな
敵より強力だった。簡単に蹴散らされ、変身さえ解かれてしまった5人。そこへジューザのビームが香を狙った。
とっさに香をかばった凱はそのビームを体に浴びてしまう。

 なんとか凱を連れて、その場を逃げ出した5人。しかし、ビームを浴びた凱の体からは激しい痛みと共に水晶の
結晶状の物体が…。苦しむ凱。

 一方、バイロックに戻ったジューザに、ラディゲが隙を突いて襲いかかった。だが、ジューザの力は強大だ。
魔獣ジューザへと変貌してラディゲに応戦、翻弄する。
「お前には最も屈辱的な罰を与えよう。人間の姿となって虫けらのように生きるのだ!」
ラディゲは記憶を奪われた上、人間の姿にされて地上に落とされてしまった。

凱語録

 

感想

 突然現れたジューザ、強かったですね。竜たちを軽く退け、ラディゲをも下すその力....次の回で死ぬとは、
まったく想像できませんでした。しかし、絶対的な統一者を認めない4人に歯向かわれ(といっても実際は
 ラディゲだけ)、あえなく倒されてしまうんですね。ジューザの光線を浴びて体からクリスタルが出てくる
シーンは、痛々しく、気味悪くて思わず目を背けたくなりました。想像したくありませんね。
 また、ジューザに歯向かい人間にされたラディゲ。この時のジューザの「虫けらのように生きるのだ」は、
この時点ではよく意味は解らないでしょう。はっきりとするのは47話でラディゲによりトランザが廃人に
されたときです。18話のラストで、早紀の説得にも応じず、彼女を殺したラディゲ。彼にとっては、愛のような
人間的感情を持って生きる事が何より嫌だったのでしょう。つまり、ラディゲにとって人間は「虫けら」であり、
怨敵でかつ屈辱を味あわされたトランザをなんの生きる糧もない廃人にしてしまう、これこそが彼にとって
最大の報復だったのではないでしょうか。  
(byメガシルバさん)


第18話 凱・死す!

Story

 ジューザに浴びたビームによって体が結晶化していき、苦しむ凱。
みんなの静止を振り切って基地を飛び出した凱を香が追う。
 「どこへ行くの凱!そんな体で」「好きにさせてくれ!」
 「ダメです。あなたの傍にいます!」香は必死で凱を引き止めようとする。
 「同情か?責任感か?そんなんで優しくされるのは真っ平だぜ!」
凱は香を振り切ろうとしたが、次の瞬間激しい痛みが凱を襲った。

 一方、ジューザによって人間にされたラディゲは、海岸で気を失って倒れていたところを、早紀という少女に助けられ
ていた。だが、バイラムの幹部ラディゲとしての記憶は完全に失っていた。
ラディゲは早紀と一緒にバイクに乗ったり、海辺を散歩したりして楽しい一時を過ごす。
海辺でスミレ貝を見つけた早紀は、願いが一つだけ叶うというその貝に「あなたの記憶が戻りますように」と
祈りを込めて海に投げた。が、次の瞬間崩れるように倒れてしまった。実は早紀は医者も見離すような重い病気で、
半年持つかどうかと言われていたのだった。そんな彼女が自分の病気のことでなく、ラディゲの記憶が戻る事を
すみれ貝に願ったことに、ラディゲは衝撃を受けていた。 「死ぬな!早紀!君は死んではならない人間だ。」
瀕死の早紀の枕元で手を握り締めながら、ラディゲも一心に祈った。すると…。

 その頃街はジューザによってビームを浴びせられた人々の苦しみの声が満ちていた。
「苦しめ!お前たちの苦しみや悲しみが我が子セミマルを育てるのだ。」
勝ち誇ったようなジューザの腕の中でそのタマゴは徐々に大きくなっていく…。
「待て!バイラム!凱を、みんなを元に戻すんだ!」そこへ竜たち5人が現われた。痛みをおして凱もジューザに立ち
向かうが、一撃で飛ばされてしまった。その凱の目の前に、ビームを浴びて苦しむ男が…。
男は激しい痛みに苦しみながら、やがて体中が結晶化してしまった。その姿に衝撃を受ける凱。

 ジューザに蹴散らされ、行方がわからなくなった凱を竜たち4人は手分けして必死で探していた。
そして、ある木陰で苦しみに耐える凱を香が見つけた。「凱!」駆け寄る香。しかしそれを凱が制した。
 「寄るな!死ぬときは一人で死にたい…。」
 「死ぬなんて…諦めちゃだめ!」香が必死に叫ぶ。
 「そうマジになりなさんな。俺が死んでも空は青い…地球は回る…」
わざと明るく言いながら凱は遠くを見つめた。だがその瞬間、凱の脳裏に苦しみながら結晶化してしまった男の姿が
甦った。凱の中に死への恐怖が走る。
 「香…怖いんだ、本当は。死にたくねぇ…死にたくねぇ!!」
 「凱…」死の恐怖に脅える凱を香はどうすることも出来ずに抱きしめた。
再び襲う激痛…。意を決したように香を見つめ返すと、凱は残された力を振り絞ってその場を離れた。
どうすることも出来ない香はその場に座り込んだままだ。やがて、激しい痛みに苦しむ凱の叫びが聞こえた。
思わず耳をおおう香。その叫びの中で凱はついに全身が結晶化してしまった。

 一方、ラディゲと早紀は楽しげにバトミントンに興じていた。死に瀕していた早紀は医者が驚くほどの奇跡的な
回復を遂げていた。「あなたには不思議な力があるのね。」早紀は自分が元気になったのはラディゲの力による
ものだと密かに感じていた。
「あなたはきっと素晴らしい人生を歩んできたのよ。でなきゃ神様があんな力をお与えになるはずがないもの。」
そう言って見つめる早紀をラディゲは思わず抱き寄せた。「もう過去のことなど、どうでもいい。」
そうつぶやいて早紀を強く抱きしめるラディゲ。だが、突然激しい頭痛が彼を襲った。

 同じ頃、凱を失った竜たち4人は決意を秘めてジューザとの対決に向かっていた.。
圧倒的なパワーで猛威を振るうジューザと苦戦しながらも立ち向かうジェットマン。そしてその姿を目の当たりに
したラディゲの脳裏にフラッシュバックする数々の記憶…「我が名はラディゲ!バラムの幹部!」
ついに記憶を取り戻したラディゲはジェットマンと戦闘中のジューザを急襲。後を追ってきた早紀の目の前で人間
の姿からラディゲに変身し、ジューザに応戦する。竜たちはバイラムの幹部同士の戦いに「どうなってるんだ?!」と
驚いたが、今はまずジューザを倒す事が先決とばかり、ラディゲの指示するままにバードブラスターでジューザの額の
結晶を狙う。そして「今よ!凱、私に力を貸して!」と隙をついて香がジューザにブリンガーソードを振り下ろすと、
ジューザの額の結晶は粉々に砕け散った。その瞬間結晶化した凱が元の姿に戻った。
 
 怒りに燃えるジューザは魔獣ジューザへと変身する。そこへラディゲの復活を知ったマリア、グレイ、トランの
三幹部も「今こそ、ジューザを倒す時!」と参戦。ジューザは強烈なビームで応戦するが、そこへさらに復活した凱が
駆けつけた。ジェットコンドルから飛び出し変身した凱はブリンガーソードでジューザと対決。
「元に戻ったのね!」そんな凱に香が思わず駈け寄った。そしてファイヤーバズーカの一撃がついにジューザ倒した。

 瀕死のジューザは最後の力でセミマルのタマゴを産み落とすが、ラディゲはそんなジューザに止めを刺して
そのタマゴを手に入れた。そこへ、「お願い、人間に戻って!」と叫ぶ早紀が…。
 「あなたはやさしい人、愛を知っている人…」
 「愛だと!馬鹿な。このラディゲがそんな愚劣な感情を持つと思うのか!」
叫びとともに早紀の命を奪ったラディゲは、タマゴから産まれたセミマルの幼虫を
「早く大きくなるがいい、破壊の王、究極の破壊獣よ!」と満足げに見つめるのだった。

凱語録

 「同情か?責任感か?そんなんで優しくされるのは真っ平だぜ!」
 「死ぬときは一人で死にたい…」
 「そうマジになりなさんな。俺が死んでも空は青い…地球は回る…」
 「香…怖いんだ、本当は。死にたくねぇ…死にたくねぇ!!」

感想

 この回は衝撃のラストのせいもあり「好きな話」ではないのですが、実に内容が濃く(とても25分物とは思えない)、
色々な意味で「問題作」といえるエピソードだと思います。  
 香をかばって自らがジューザの犠牲になった凱、「死にたくねえ!」が衝撃的です。ここまで生々しい叫び、
子供番組には稀なもの。似た状況の第5話「短い人生だったが、悪くはなかった」や最終回「空が目に染みやがる…」
と比べてみると、いっそう際立ってきます。  
 一方で「難病の少女・早紀と人間ラディゲとの束の間の恋。「あなたの記憶が戻 りますように」「きっと素晴らしい
人生を送ってきたんだわ」といった台詞は余りにも皮肉に響きました。ラディゲの涙が、不治の病を癒す奇跡も…
ここまで皮肉に皮肉を重ねた悲劇編は何とも複雑な思いにさせてくれます。何故あのラディゲがここまで …
ジューザ「虫けらのように生きるのだ」の真意がここにあったのではないかと思うと、なおさら空恐ろしくなるところです。
 女帝との第2戦。ジューザに反逆したラディゲが、形勢不利と見るやジェットマンにも共闘を呼びかけたことは強烈
な印象を残します。まさしく「目的のためには手段を選ばず」ですね。ジェットマンが迷わず従ったのはちょっと意外で
したが、 「洞ヶ峠」はヒーローらしくないし、当面の敵は女帝だと判断したのでしょう。何より凱の仇。
香が「凱、私に力を貸して!」と叫んだときには、遂に彼女の心も凱に傾いたか、とも思ったのですが…少し納得の
行かないところです。
 どんどん反ジューザ連合軍が増え、「ジェットマン・バイラム4幹部連合軍対ジューザ」という構図に。まさに四面楚歌
のジューザは何だか哀れでした。首領が前線で戦うと、こんな目に遭いかねない…という見本のようです。
これが4 幹部が一致協力した実に珍しいケースだというのも、皮肉ですね。真打ち登場とばかりに最後に参戦し、
ジューザに決定的な打撃を与えた復活の凱、さすがに恰好良かったです。
何よりサブタイトルを裏切り、死ななくて良かった!  
  しかしジューザがわずか2週で滅びるなど、誰が予想したでしょうか。予告編でのネタばらしも無いし。
過去にも「成り上がり者の短命政権」は数あれど、本来の首領がこの短命とは不滅の大記録(^^)。画期的な事件の
はずなのに、この程度のパターン破りはまだまだ序の口。JMの凄さです。
 正視しがたいラスト。エピソードの中心にいた無辜の少女が、かくもあっさり抹殺されてしまうとは。普通の作風なら、
早紀はジェットマンに救われる立場だったろうに。JM側の物語と、早紀とラディゲの物語は、最後まで交わることなく
終わりました。リアルさを重んずるJMだからこそという感じですが、ラディゲ の残虐さを演出するためとはいえ、
ここまでやるとは…(ラディゲを演じた舘さんも、かなり抵抗があったとのこと)。
衝撃性はトランザの最期に劣らないものがあります。(あやしさん)

 このサブタイトル、ある意味最終回への伏線でしょうか?「死ぬんなら、一人で死にてえ!」まさか最終回でこうなって
しまうとは....。最終回、傷のことを隠して竜と香を祝福する姿は、確かに凱らしかったといえます。にしても、人の体から
クリスタルが出てくる姿、思わず目を背けたくなりました。 一方、ジューザに惨敗したJMとラディゲ。バイラムの頂点に
君臨していただけあって、その強さは凄かったです。しかし、バイラムはもはや首領などいらない組織になっており、
JMと4幹部に取り囲まれ、味方が誰もいなくなった姿はなんだか哀れでした。四面楚歌ならぬ九面楚歌で。同時に、
この回ではジューザに反旗を翻すラディゲの野心と残酷さが存分に描かれていました。早紀との淡い恋が前半を
引っ張っていたため、ラストで瀕死のジューザにとどめを刺し、早紀の言葉にも応じずあっけなく彼女を殺してしまう
場面はグロテスクでした。
(byメガシルバさん)
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