♯20 イタリア人の生きがい 

イタリア人の人生の価値は、サッカー、会話、食事、恋愛(友情)、母親
(家族)の順位だと言われます。なかには日本人同様「人生は仕事」だと
言う人もいるようですが、笑い飛ばされて終わるとか。真に取られても、
気でも狂ったかと心配されたり哀れまれたりされるというほどです。

日本人でも「そうありたい」と思う人は多いでしょうが、イタリアの人々は
それを実践しているのがまったく違うところ。いや、実践というのも変な
言葉で、これが当たり前の自然の生活スタイルなのです。
しかしその反面、仕事に追われ経済的価値を優先される(しなければな
らない?)日本人から見れば、イタリア人は遊び人で怠け者のイメージ
になるでしょう。しかし、少し調べればそれも誤解だと分かるはずです。

例えば、天然資源に乏しい国ながらもGNPは世界第5位であり、大きい
といわれる地下経済を加えると第4位のフランスをも抜くとされています。
また、労働生産性(GDPを就業者数で割った数値/1人あたりの付加
価値)は世界第3位。平均労働時間の長い日本が7位以上になったこと
がないのと比べると、その効率の良さが分かります。その上、アパレル、
革製品、建築デザイン、自動車、家具、美術、音楽、食材、ガラス工芸、
半導体等々、世界の一級品が生み出されている!働くときと遊ぶときの
メリハリをつけた生活が見えてきますね。

勤勉のイメージが無いように見えながら、他人の評価は気にせず実は
豊かに暮らしている、そんなしたたかさに驚かされます。先に挙げた5つ
の人生の価値もあわせ、「働くときは働くが目的をハッキリさせる」という
のが人生観であるようです。

かわって日本は世界第2位の経済大国。しかし、経済至上主義に支配
されているこの国では、経済単位で物事を計り、生産性や効率、社会的
地位、物質的豊かさなどの要素が非常に高い価値とされています。
文化といっても最も大きいのは消費文化。日本が世界に誇る伝統文化
も形態的なものであるし、生活や心のなかに文化的なものを持っている
ことにはつながりません。

たしかにイタリア人は時間に多少ルーズであったり、ずさんに映る面も
ありますが、それも人々のゆとりの一端だと思うのです。実に人間的で
文化的な生活があるからこそ、たいていのことは気にもせず楽しそうに
暮らしているのでしょう。

日本もかつては人情味あふれる生活、町並みがあったはずですよね。
経済立国も立派なことですが、あわせて文化立国になれれば素晴らしい
ことです。愛して(アマーレ)、唄って(カンターレ)、食べる(マンジャーレ)
を人生謳歌の3大要素とするイタリア人には、どうやら多くを学ぶことが
できそうです。