考える為の材料

著作権法の成り立ちと現状    著作権法    JASRACup!    MIDIとは何か      TOPに帰る

現在ネットでの音楽配信についての法整備が急速に進みつつある。しかしこの整備の方向性は本当に正しいものであるといえるのだろうか。
どうもネットの特性を都合良く解釈し、レコード会社やJASRACの利権や、既存の流通経路の利権を守ろうという方向にシフトしすぎているきらいがある。
WAVAやMP3、WMAファイルとMIDIファイルは、ヴォーカルを含むか否かという点に端を発し、その特性が大幅に異なる技術だと思うのだが、それらを一括りにして、同一の利用料を規定している事からして理解に苦しむ部分だ。
ま〜ここではそんなことを考えていく上での材料として、必要最低限の材料を記す。説明の簡単化のため、大幅に省く部分があることは了承してくれ。
ただし、一方的な主張に都合の良い部分だけを残すといった不公平は行わない旨付記しておく。

著作権法の成り立ちと現状

・ベルヌ条約

 語弊はあるかもしれないが、現在の著作権法は1886年に結ばれたベルヌ条約にその原点を見ることができる。
 著作権はそもそも著作物を創作した時点で発生する権利であり、技術の進歩とともに大幅にその特性を変えていく。
 然るに、ベルヌ条約はほぼ20年ごとの改正を余儀なくされる。
 改正の度にベルヌ条約に包括される権利はその数を増し、著作権法は弁護士でさえも、それを専門する者以外には
 分かりづらいという、いわゆる「権利の束」と呼ばれる状態に陥っていくことになる。
 技術の進歩とともにあらゆる著作物、そして技術に権利が付与される状態にいたり、先進国と途上国間で大きな対
 立
が目立ち始め、ベルヌ条約が「全会一致の原則」のもとに成立していたことから、事実上改正が困難な状態が訪
 れ、1971年にベルヌ条約の改正はSTOPしてしまった。

・WIPO(世界知的所有権機関)条約

 ベルヌ条約の実質的な改正を目的として成立したのがWIPO条約である。
 1991年以降の改正は、この条約を元に行われていくことになる。

・我が国における著作権法の改正(当ページの趣旨に必要と思われる部分の抜粋)

 ・1997年6月改正 98年1月1日施行
   1.公衆送信権(23条1項) 2.公衆伝達権(23条2項) 3.送信可能可権(23条2項 及び 96条の2)

 ・1999年6月改正 2000年1月1日施行
   1.専ら技術的保護手段の回避を目的とした装置やプログラム取引の罰則付きでの禁止(120条の2)
   2.権利管理情報の不正な除去・改変行為などを著作権侵害とみなす(123条3項)

 ・2000年4月27日改正 2001年1月1日施行のものもあるが、付記する必要は無いと思う

 尚、それぞれの罰則として、著作権の侵害を受けた者は「差し止め請求」・「損害賠償請求」が行える他、
 「三年以下の懲役 又は 300万円以下の罰金」が定められている。(119条)


著作権法

・定義

著作権とは、「思想又は感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術または音楽の範囲に属するもの」
である。(著作権法より)
著作権の発生は、創作という特性上、出願の手続きを経ず創作時に成立する。これを無法式主義による権利発生と
いう。
但し、ベルヌ条約に加盟していない国も存在することから、(C)マークを付加する意義は未だ消えていない。


・体系

著作権法の体系
著作者人格権
公表権
氏名表示権
同一性保持権
出版権
著作権
複製権
上演・演奏権
公衆送信権 公衆伝達権
口述権
展示権
上映・頒布権
貸与権
翻訳・翻案権
二次著作物利用権


著作隣接権
録音・録画権
放送権
有線放送権
送信可能化権
レコード複製権
貸与権
放送・有線放送の複製権
有線放送権 放送の再放送権 公衆伝達権
再有線放送権 有線放送の放送権 公衆伝達権


・細目や面白そうな話し

 ・複製権・・・私的複製に関しては著作権の制限が掛かり、自由に行えることとなっているが、デジタル技術の発達
       により著作物を劣化させること無しに複製・保存する事が一個人にも可能となった。音楽で言えばDAT
       CDRがその代表格と言えるだろう。
       この内DATについてはアメリカからの要求で、性能を劣化させることが余儀なくされた
       CDRについては、技術的な劣化システムこそ付されていないが、「音楽用CDR」っていうメディアがある。
       これは通常のCDRよりも高価なのだが特に品質で勝るわけではない。何故高価なのか。「音楽用CDR」
       には著作権報酬がデフォルトで組み入れられているからなのだ。
       (諸外国によく見られるやり方でこれ自体特別なことではないがね、一体どこの誰に収められてるのやら)

 ・公衆送信権、送信可能化権
      ・・・上記成り立ちと現状にも書いたが、これ自体は1998年1月より施行された、比較的新しいものである。
       それまで該当する法律がなかったのかと言えば、そうではない。「放送権・有線放送権」が存在していた
       (今もある)。
       「放送権・有線放送権」では賄いきれないメディアの誕生により、明確化を目指し、改正が行われたのだ。
       ここではインターネットとコピーMIDIのみを例として挙げるが、まずコピーMIDIが制作される。
       これはあくまで個人利用の範疇であり、著作権法の制限が適用される状態。次にこのコピーMIDIがサー
       バーにアップロード
される。これは「送信可能化」が行われたと言うことになる。
       そして、コピーMIDIが利用者のリクエストを受けてダウンロードされる。これをもって「公衆送信」が実行さ
       れたことになるわけだ。
       (ちなみに公衆送信権には送信可能化権が内包される)図示してみるとこんな感じかな。
MIDIを制作する
オリジナルMIDIである コピーMIDIである

利用料の支払いあり

利用料の支払い無し
著作権の発生 著作隣接権の発生 著作権を持たない

Web上での利用
合法 合法 違法

ダウンロード者のWebでの二次利用
著作権者への届出必要 著作権者・著作隣接権者
への届出必要
著作権者への届出必要
注意:著作権者には著作権管理団体も含まれる


JASRAC

・JASRAC(日本音楽著作権協会)とは何か

 1939年に制定された著作権法絡みの法律に「著作権仲介業務法」というものが存在する。これに基づき誕生した
 のがJASRACであり、以降「作詞」・「作曲」・「編曲」にかかる音楽に関する管理業務を独占することになる。

 この著作権仲介業務法によると、権利者は権利委託の際に全作品の著作権を全て信託せざるを得ない、即ち作品
 や権利を選択することはできないのだ。作品や権利を選択する自由や、それに対する対価の決定権はJASRAC
 がもつ
ということになってしまうのだ。

 最近の動向として、坂本龍一を代表とするアーティストサイドや、音楽配信コンテンツビジネスを開始しようとする
 会社等から、「一元管理体制は自由競争を阻害するものであり、選択の自由を奪うものである」として批判が相次い
 でいる。

・著作権仲介業務法 up!

 JASRACの設立を考える際に、外せない点として「著作権仲介業務法」がある。法律の存在自体は多く知るところ
 であろうが、条文自体を目にしたことがない人がほとんどなのではないだろうか。まず、条文を列記してみよう。


 【定義】
  第一条 本法ニ於テ著作権ニ関スル仲介業務ト称スルハ著作物ノ出版、翻訳、興行、放送、映画化、録音其ノ他
        他ノ方法ニ依ル利用ニ関スル契約ニ付著作権者ノ為ニ代理又ハ媒介ヲ業トシテ為スヲ謂フ
      2 著作権ノ移転ヲ受ケ他人ノ為ニ一定ノ目的ニ従ヒ著作物ヲ管理スルノ行為ヲ業トシテ為スハ之ヲ著作権
        ニ関スル仲介業務ト看做ス
 【業務実施の許可】
  第二条 著作権ニ関スル仲介業務ヲ為サントスル者ハ命令ノ定ムル所ニ依リ業務ノ範囲及業務執行ノ方法ヲ定
        メ文化庁長官ノ許可ヲ受クベシ


 第二条にあるとおり、著作権仲介業務はビジネスとしての大きな可能性を秘めているにも関わらず、自由な参入を
 許していない
のだ。新規参入が容易ではないということは、JASRACの独占状態であることを意味する。
 本当に著作権者の利益を考えるのであれば、JASRACが今尽力すべきことは、この独占状態を自らの手で壊す
 ことだ
。自由競争、市場の原理に判断を委ねるべきだ。
 9割を占めるとも言われるJASRAC管理楽曲の利権を揺るがないものにしようなどと奔走すべきではない。

 この法律が制定された背景には、ある事件が存在する。現在のJASRACの体質を作り上げてしまった、この法律
 は、その場しのぎ的に制定されたものなのだ。その事件について記そう。


 ・プラーゲ旋風・・・1931年、東京に事務所を持つドイツ人のウィルヘルム・プラーゲ博士は、ヨーロッパ著作権団体
          の代理人として著作権仲介業務を開始した。プラーゲの仲介業務は内容証明郵便や訴訟も持さず
          という、著作権意識の希薄であった当時の日本人にとっては、恐ろしく強硬なものであった。
           これを危惧した当時の政府は、1939年、急遽仲介業務法を制定し、日本国内における著作権
          仲介業務を政府の許可無しでは行えないこととしてしまったのである。この流れで設立されたのが、
          社団法人 大日本音楽著作権協会(現在のJASRAC)だ。
            当然プラーゲ博士も許可を申請したが、日本政府はこの申請を却下し、プラーゲ博士は帰国を
          余儀なくされた。


 現在JASRACが存在している理由がこれだ。果たして彼らの存在、彼らの決定は妥当なものだといえるのかな?

・著作権仲介業務法改正への動き

 2000年1月、文部省著作権審議会、権利の集中管理小委員会の報告書として、以下の二点が審議された。

 1.著作権管理業務への新規参入を容易にする為、現行の「許可制」を廃止しより緩やかな「登録制」を採用する。
  尚、株式会社等による著作権管理事業を法律により予め排除することは適切ではない

 2.複数団体による著作権管理が認められると、使用料についても核管理団体による多様な設定が認められること
  になるので、使用料規定に関する「認可制」を廃止し、「届出制」へ移行する。

 様々な事柄を市場にゆだねるという方向に進むことは大変な進歩であり、評価に値するが、同報告書によると、
 「規制対象の範囲を著作物全般に拡張する」旨が記載されており、口を開けば、文字を書けば著作権侵害という
 事態を招くことが懸念される。事実規制強化を招くとして批判が起きている。

MIDIとは何か

・MIDIの定義

 MIDIとは「Musical Instrument Dijital Interface」の頭文字を組み合わせた言葉である。日本語に訳してみると
 「楽器の演奏情報をデジタル信号を使って伝達する規格」と言うことになる。
 実際にパソコンを介して発音が行われるとき、多くの場合はマシンにデフォルトで載っているサウンドボードを介して
 発音されることになるんで、上記定義の「楽器」の部分が理解できないかもしれないが、その用途は楽器に限られた
 ものではない
、と認識して間違いない。ただし、基本はあくまで楽器の演奏に関するものである。

・MIDIファイル

 MIDIファイルは通常シーケンサーを使って作成される(何か今、マイクで歌って入力するやつもあんだろ?)。
 シーケンサーへのデータ入力(所謂打ち込み)には大きく分けて二つの方法が存在する。
 MIDIコンポーザー等の楽器を演奏することでデータを打ち込んでいく「リアルタイム入力」と、キーボードやマウスを
 使って一つ一つの音を入力していく「ステップ入力」がそれだ。通常コピーMIDIを作成する一般ユーザーに多く見ら
 れるのは、市販の楽譜データから音符を入力していく「ステップ入力」だろう。

 ここで注意すべき事は、シーケンサーを介して作成されるのは、「音」そのものではないということだ。
 打ち込みの結果作成されるのは、演奏情報としてのMIDIメッセージにすぎないのだ。だから、このファイル単独では
 いかなる発音も行うことができない。データ容量の軽さを実現しているのはこのためだ。
 要するに「MIDIファイルは再生力を増した楽譜」として捉えることが理解の早道だろう。
 音楽としての再生を行うためには、必ず音源が必要となる。またGMファイル以外を音源として作成されたファイルに
 ついては、作成された時と同じ音源でなければ作者の意図する再生は行われない。
 「GS」「XG」等と表記してあるファイルは、作者の意図する再生のためにはこれらの音源を使えということだ。

 また当然のことながら、MIDIファイルはデジタルデータなので、再生回数の増加で音の劣化を伴うことはない