
最近読んだ本・2001年10月分

「幽霊は行方不明」(角川スニーカー文庫)矢崎在美
スニーカーミステリ倶楽部作品。
幽霊の少女を相棒に持つ、霊感少年が主人公のライトミステリ。「被害者に聞けば犯人が分かる=幽被害者の霊を探す」というシンプルかつお約束?なストーリー。ちょっとした恋話もからんで、実にいい味を出している。シリーズの予感がするので楽しみ……。
「ぶたぶた」シリーズも読んでみようか、という気がしている。読後感はさわやかだった。
評価☆☆☆☆+
「ネクストエイジ」(角川スニーカー文庫)野島けんじ
第5回角川学園小説大賞優秀作受賞。
記憶喪失の男女42人、閉鎖空間、サバイバル、と煽り文句やあらすじがやたらと某「バトル○ワイヤル」を想像させたが、おそらくそれは編集部の宣伝で、中身はそんなに似てはいない。記憶喪失の男女42人が、閉鎖空間で訓練を受けさせられる。と聞くと軍事訓練を想像するだろうが、やってることはボクシング。作者がアマボクサーのチャンピオンだったそうで、なるほどと頷ける話である。
ストーリーを書くとネタばれするので感想だけ。まあ予想のできた展開かと。文章がもう少しモエ(萌え・燃え)ればもうちょっと評価は高かったかも。
評価☆☆☆☆
「匣庭の偶殺魔」(角川スニーカー文庫)北乃坂柾雪
第5回角川学園小説大賞ヤングミステリー&ホラー部門奨励賞受賞。綾辻行人激賞。スニーカーミステリ倶楽部作品。
……………………………ええと、とりあえずいろいろなこと(内輪ネタ)はわきにおいといて感想。京極夏彦(探偵のしゃべりとか)+森博嗣(科学者とか大学とか)+高里椎名(私は嫌い)で、後は新本格ミステリの色々な味の素を足して割った感じ。いくつかは敢えていわないけど……そうだなあ。お酒で言うと割りすぎて酔えないくらいかな。良くも悪くも新本格ミステリ。角川スニーカーでやるこっちゃないわな。読んでいて、あまりのオマージュ(笑)っぷりに読みたくなくなるという。
奇天烈な探偵、美貌の科学者、少年助手に鬱気味な小説家って……なんだかなあ……あざといんだけれども、そのあざとさを処理する技術がまだまだ。ライトノベル系読み慣れてるミステリ読みの私が拒否反応おこすようなメンツでどーする。私は朱雀十五も建築探偵も平気で読めるひとなんだぞっと。
評価☆☆☆
「異邦人 fusion」(集英社)西澤保彦
西澤保彦新刊。ひさしぶりの単発ものSFミステリ。
随分と難産だったらしい新刊……なんだけれど。私は「夏の夜会」の方が好きですね。まあSFミステリらしさ、というか、突飛さが何か足りない様な気が。過去に戻って、自分の父親の死をふせごうとする中年男の話なんですが、まあこの主人公の姉がレズビアンで、それが話に色々からんでくるんですが……このテーマの占める割合が大きすぎて、肝心の「SFミステリ」としての率が低い……もうちょっと「SFミステリ」したミステリが読みたかったです。面白くなかったわけじゃないんですが、「七回死んだ男」や「幻惑密室」を読んだときのようなオドロキ(カタカナのところがみそ)を求めたかったです、はい。
次は角川のアンソロジーか……。
評価☆☆☆☆
「オルディコスの三使徒1〜3」(角川スニーカー文庫)菅浩江
「1.妖魔の爪」「2.紅蓮の絆」「3.巨神の春」の三冊完結。ファンタジー。
今のスニーカーとは比べられないほどの良質のファンタジー(失礼)。「二神対立のアニミズム解体みたいなもの」と作者がおっしゃられる、神様三連荘の一作。前に読んだ「不屈の女神」も神様三連荘の一作ですな。なんというか……ふたつの考え方がでてくるんですよ。善と悪、ではなく、それこそ「善政を行おうとする王」と「理想を目指す改革者」という視点(ちょっと違うか?)。テーゼとアンチテーゼをつかってより良いテーゼ(専門用語があったはず……)にする、というお話ですねえ……。
評価☆☆☆☆+
「魔術戦士vol2 妖蛆召喚」(SQ文庫)朝松健
古典。
まあ良くも悪くも古典的ということでしょう。このアイディアを一昔前に生み出し、世に広めたというのはすごいことだけれども、そして、今読んでもそれなりに楽しめるけれども、まあ研鑽に研鑽(パクリにパクリと言ってもいいけれど)を重ねた新型にはかなわない……と。
評価☆☆☆+
「エシィール黄金記W 黄金の明日」(ファミ通文庫)葛西伸哉
商人ファンタジー完結編。
まあ、こう終わらせるしかないでしょうな。期待範囲内。私としては意外だったのがファリンの扱いですが、これはまあこれでいいのかも。あと、うまいと思ったのがジョルジオーネ少年の扱い。予想できてしかるべきだったのかもしれないが、ちょっと期待以上。
うまくまとまっていますね。まあそれ以上ではないですが。
評価☆☆☆+
「獣姫の狂詩曲 スクラップドプリンセス9」(富士見ファンタジア文庫)榊一郎
棄てプリ。ようやっと連載がまとまったよ。
今まで中弛みしていた分、これから(連載分は)もう怒濤の展開です。多分連載分だけであと2〜3冊はいくだろうから、結構長丁場なシリーズになりましたなあ……。
連載版からの変化として、セーネスとエイローテの出会いがプロローグに追加されている。エイローテはなあ……思い入れはなし(きっぱり)。それよりもストーリーの都合上、これから先はほとんどギャグが入れられないので、「スーピーくん」の存在が一服の清涼剤になったりならなかったり。あと“深淵の杖”とか。
一気にラストスパートをかけてもらいたいものです。
評価☆☆☆☆
「エンジェルハウリング3 獣の時間」(富士見ファンタジア文庫)秋田禎信
ミズー編。
う〜ん……連載版を読んでいるので、時制的には随分昔のことのように感じる。あれから、どうなってあのカフェテラスにつながるのか。基本的にはフリウ編の方が好きなので(というか、サリオン=ピニャータが好き)、ミズー編をその補完として読んでいる節がある>自分。連載ばかりどんどんさきにすすんでいくからということでもあるが。
文章力、構成力ともに抜群なのは相変わらず。はやく次のも出して欲しいなあ……。
評価☆☆☆☆+
「どうにもならない五里霧中?」(富士見ファンタジア文庫)賀東招二
フルメタ短編集第5弾。
椿一成登場編。随分と昔の話だなあ……2年前?ううん……。DM連載の「純で不純なグラップラー」「善意のトレスパス」「仁義なきファンシー」「放課後のピースキーパー」「迷子のオールドドック」と、書き下ろし「わりとヒマな戦隊長の一日」収録。一番好きなのは(テッサの出てる書き下ろしを除けば)「迷子の〜」ですかな。こういうオチでほんのりさせられる作品はよいです。
まあ初期の勢いがなくなったこと。何よりアニメが延期になったことでちょっと食い足りないものがある。せめて小説はどんどん出してもらいたいものだ。
評価☆☆☆☆+
「硝子細工のマトリョーシカ」(講談社ノベルス)黒田研二
叙述ミステリ。
まあ読めましたが(<展開)。しかも最後の展開も。劇中劇という面白さと、展開はよかったです。
評価☆☆☆☆
「天国に涙はいらない3 あだ討ちヶ原の鬼女」(電撃文庫)佐藤ケイ
250円で購入……引き分け(何が?)。
今回は「妹で巫女」。前回は「跳ねっ返りな猫耳娘」で、前々回が「どじな悪魔っ娘」……まあコード的なキャラで一つの話を構成し、それで引っ張ってる……いつかは構造的に破綻するシリーズですが、がすがす書かれている間は面白いかと。しかし……シリアスっていう展開から、いきなりすべてをどうでもよくなるおちってのは……まあいいか。
100円なら間違いなく買いなシリーズ。
評価☆☆☆+
「魔術戦士 vol.1蛇神召喚」(SQ文庫)朝松健
オリジナルです。こういった話の。
オリジナルであること。それはわかりますが、切磋琢磨してきたパクリの方が面白いってのもあるんですが。全世界パクリ陰謀論。あう。
わけがわからないという感想ですが。まあこんな時も。
評価☆☆☆+
「マリオネット園 <開かずの扉>研究会首吊塔へ」(講談社ノベルス)霧舎巧
<開かずの扉>研究会シリーズ第4弾。
ええ〜と、ヒトツヨロシイデショウカ?……最初の暗号、なんで誰も「こんなミステリネタで暗号を作るのは相当のマニアか、もしくはうち(<開かずの扉>研究会)に対する挑戦だ」と気づかない?!……まあ他は非常に楽しく読めました。
評価☆☆☆☆+
「ラスト・ビジョン」(電撃文庫)海羽超史郎
素直に感動できました。ちくしょう、やられた。
一夏のバカンスを、何を考えたのか(いや、誘われたからだけれど)とある企業の研究所のある孤島で過ごすことになった主人公達。誘った少女の謎めいた行動、途中の友人の行動、謎の“素体”……。少しわかりづらいところもあるが、途中からの怒濤の展開、そしてタイトルの意味が分かったときには素直に面白いと思ってしまった。不覚。シリーズものでない単発作品(電撃では珍しい……)にも好感が持てましたし。
まあ次も買います。
評価☆☆☆☆☆
「夏の夜会」(カッパノベルス)西澤保彦
季刊「ジャーロ」での連載がまとまったもの。
テーマは記憶の改変。30年ぶりに集まった小学校の同窓会。6人ほどが集まって、酒盛りしながら昔の事件を話し合う……って酔いどれシリーズですかい。おぼろげな記憶をつきあわせてみると、どうも整合性がない。それは何故か?を追求していく内に、主人公達は昔の事件の真相に近づいていく……このロジックの構築と崩壊は、さすが西澤保彦。酔わせてくれます。(いくらなんでも誉め過ぎかと思うけれど)「虚無への供物」にもあった、「いったん出された結論(構築されたロジック)が一言で崩壊する」というのは私にとってのミステリそのもの、という感じがしていてよい。
次は「異邦人」だな……。
評価☆☆☆☆☆