そのA:私の斜視って?
 親も、子供にわかりやすいように話していたのでしょうが、小さいときから「内側に向いていた目の玉を外側にひっぱり上げたらちょっといきすぎちゃって、今度は少しもどす手術をするんだ」なんてきいていた私は、当然のように、斜視っていうのは、目の玉の位置が少しずれているだけのことだと思っていました。
 中学・高校とバレーボールをやっていたのですが、あまりにもへたくそで、ふたつの目で見た映像を脳でひとつにまとめる両眼視がうまくできないせいかも、と考えたこともありましたが、まぁ、それだけで片付くほどのへたさでもなかったので、自分の目について深く考えるきっかけとはなりませんでした。
 それが、ボディーワークを受けて、自分の頭部がひどく不快な状態なのに気づいてしまって、考えられる原因のひとつとして目のことが浮上してきたのです。
 それでも最初は、ともかく頭全体が窮屈で重くて、何がどうなっているのか全くわかりませんでしたし、治療にしろ手術にしろ、皆から優しくしてもらった良い思い出としてしか残っていない目のことが、不快な頭と関係しているとは信じ難くもありました。
 でも、ボディーワークを重ねるうちに、私の身体は、抱え続けてきた過去の痛みを少しずつ思い出しては手放すということをはじめたのです。ほとんど無感覚だった左目に、手術のあとのような痛痒さが蘇ってきたり、後頭部下に、麻酔が残っているような不快感がつきまとったり。正直なところ、すべてが二度の手術のせいだと思っていた時期もありました。しかし、過去の傷を癒していくという過程が進むにつれて考え方が変わり、今では、出生時、あるいはそれ以前に大本となる痛みを負い、成長するなかで、それをさらに深めていったのだと思っています。
 また、身体の状態を把握できるようになるにつれ、自分の斜視を、ただ単に目の玉の位置がずれていただけではなく、何らのショックによって、身体全体、特に頭部のバランスがくずれ、その結果として生じたものではないかと思うようになりました。

 頭蓋仙骨治療(クラニオセイクラル・セラピー)の開発者であるJ.E.アプレジャー氏の著書『もうひとりのあなた』(科学新聞社 刊)には、
「寄り目の子供にも効果がありますか?」という質問の答えとして「もし、硬膜に緊張が加わり、その結果として目の神経に影響を与えているのであれば効果は優れ、時には劇的な結果が得られます。私の経験では、何人もの子供が手術を受けずに、頭蓋仙骨テクニックで完治しています。」と書かれています。もちろん、実際に、自分が治療の過程に立ち会ったわけではありませんし、完治という言葉には、私自身、多少の疑いをも抱いてしまいます。
しかし、頭蓋骨内の硬膜の緊張を解放してあげることで、寄り目が、良くなるケースがあるというのも、自分の頭部を観察すればするほどわかるような気がするのです。ちなみに、言葉が難しくなってしまいますが、アプレジャー氏とJ.D.ブレデヴォーグ氏の共著である『頭蓋仙骨治療』(スカイ・イースト 刊)には、以下のような記述があります。
 
 「側頭骨機能障害に関して最もよくみられる臨床上の問題は,聴覚,平衡,疼痛,迷走神経緊張亢進に関係している。加えて,小脳天幕の間を眼への運動神経が通り,これらの膜の緊張が側頭骨に影響されることから,側頭骨の可動化と平均化によって斜視が突然矯正される例を多く見てきた。」

                       
                        2002年1月27日

                              つづく