ソロチェアアンパイア(SCU)制度

審友会  


日本テニス協会(JTA)が発行するルールブック「コートの友」の1984年版から『審判員の手引き』(当時は「審判に対する助言と注意」)の部に『チェア・アンパイアが1人だけの試合の手順』としてソロチェア・アンパイア(SCU)制度が紹介されることになりました。ボールのイン/アウトの判定はプレーヤーが行い、アンパイアは、主としてプレーヤーのイン/アウトの判定に対するオーバールールスコアアナウンスを行うという、独特のアンパイアスタイルは当初、アメリカから移入されたとのことですが、定かではありません。
アンパイアのついた試合形式として日本では、「負け審制」というのがあります(もちろん、今でも採用しているところもあります)。何十年か前までは、私たちが参加する草大会ではそれが普通でした。しかし、国体でも、このソロチェアアンパイア制度が採用され、ジュニアの大会や各都道府県大会にもセルフジャッジと共に採用されるようになりました。

このルールの基本は、ボールのイン/アウトの判定はプレーヤーが行い(セルフジャッジ)、アンパイアは、プレーヤーの判定が”明らかに間違い”であると判断したときだけ、その判定を変更することができる、とされている点です。
セルフジャッジの基本の詳細については、別のページを参考にしていただくとし、以下、「コートの友」を参考にSCU制度について整理しました。



SCUがついた試合におけるセルフジャッジの基本
a)プレーヤーは、ネットから手前のコートにおけるイン/アウト(フォールト)について判定する。

b)SCUが「ネット」とコールしていないのに、プレーヤーが「レット」とコールしたとき
 1)プレーヤーの「レット」のコールが無視されてインプレーとなり、ポイントが終了したときは、そのポイントは有効なものとなります。
 2)「レット」のコールのあと、SCUがネットインを認めれば「サービスレット」が成立します。
 3)SCUのネットインに対する追認もなく、「レット」のコールによってプレーを止めたときは、「レット」をコールしたプレーヤーが失点します。

c)サービスのとき、SCUが「ネット」とコール後、レシーバーが「フォールト」とコール、しかし、SCUが「レット」とオーバールールした場合、つまり、ボールがサービスコート内に入ったと判定された場合には、サービスレットとなります。

  単にレシーバーが、「フォールト」とコールしたボールをSCUが「グッド」とオーバールールした場合には、レシーバーの失点となります。

d)ファーストサービスが打たれたあと、プレーヤーがコールできるのは、
   1)SCUが「ネット」とコールしたあとのサービス「レット」(レシーバーのみ)
   2)「フォールト」(レシーバーのみ)
   3)「アウト」(ボールが落下したエンドのプレーヤー)
   4)「レット」(妨害物の侵入などがあったとき、誰でも)

e)イン/アウト(フォールト)の判定は、直ちに行なう。
 「アウト」とコールできなければインプレーとしてラリーを続ける。
 「アウト(フォールト)」のコールは、ボールがコートにバウンドしたら直ちに行う。
 イン/アウト(フォールト)がわからない(即断できない)ボールは、インとみなします(プレーヤーの良心に委ねられます)。

f)インプレー中、隣コートからのボールの侵入など、何らかの妨害があった場合には、誰でも(アンパイアだけでなくプレーヤーも)「レット」とコールできます。そして、そのポイントはファーストサービスからやり直すことになります。
(但し、国際大会においては、妨害などによる「レット」のコールは、アンパイアにだけしか認められていません。)



オーバールールに関しては、次のように規定されています。

(1)プレーヤーのイン/アウト(フォールト)の判定が「明らかに間違い」であるとSCUが判断したとき、SCUはその判定を「直ちに」変更しなければいけません(オーバールールの原則)。

(2) プレーヤーの「アウト」または「フォールト」のコールをSCUに「グッド」とオーバールールされたとき、ボールを相手コートに正しく返球できたとしても、そのプレーヤーは失点となります。

(但し、SCUが「ネット」とコールしたあとのレシーバーの「フォールト」に対するオーバールール(つまり、SCUが「グッド」と判断)は、サービスレットとなります。)

(3)プレーヤーが明らかにアウト(フォールト)のボールを返球したとき、SCUは、「アウト(フォールト)」とコールします。
プレーヤーは、アウトかどうかわからないようなボールはインと見なして返球することが多いので、明らかにアウトのボールを返球したのであればアンパイアが代わって「アウト」とコールしてあげるべきです。

(5)「イン」か「アウト」かわからないようなボールは、オーバールールしてはいけません。
オーバールールは『明らかな間違い』があったときに行うのが原則ですから、際どいボールはプレーヤーの判定に任せておくべきです。



SCUの主任務は、試合を主催し、スムーズに進行することですが、オーバールール以外のアンパイアリングについては、次のように規定されています。
@スコアをアナウンスし、スコアをつけること。
Aスポーツマンシップに反する行為がなされないよう、試合をコントロールすること。
B倫理規定に基づくポイントペナルティ制度(PPS)が適用される試合では、PPSの諸規則に従って違反行為を律し、コードバイオレーションなどをコールすること。
Cサービス時の「ネット」、「フットフォールト」、インプレー時の「ノットアップ」、「タッチ」、その他の「ファウルショット」のコールをすること。



「SCUなんか簡単だ」と頭の中で理解していても、実際の試合でやってみると以外にむずかしい面もあります。経験が大切です。多くの経験を重ねることによって審判技術は身につくものです。
また、他の人から”ここがよかったよ”、”この点は注意した方がいいよ”と評価されることによって、より早く上達します。経験を重ねても反省がなければ進歩も遅いでしょう。
ITFのアンパイア評価表(Evaluation Card)を基に作成した『評価表』がありますので、是非、ご利用下さい。

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