プレーヤーのための競技規則

審友会  


試合経験の浅い方は、大会への応募から試合中の競技規則まで、細かな規則について正確な知識を持ち合わせていないことも多いと思います。特に、競技規則については、大会ごとに異なることもありますので注意が必要です。紛らわしいと思われる競技規則についてピックアップしました。解釈の間違いなどありましたらご指摘ください。


紛らわしい競技規則

目次
1)レフェリー、大会運営者の心得
2)プレーヤーの心得
3)ドロー
4)ラッキールーザー
5)ダブルスパートナーの変更
6)遅刻
7)トイレットブレーク
8)ウォームアップ中または試合中のけが
9)服装、用具に関する規制
10)倫理規程違反



1)レフェリー、大会運営者の心得
(1)国内大会(国際大会を除く)の場合には、原則として、日本テニス協会の競技規則(JTAルール)に従って大会が開催されることとなります。従来、実施していなかったJTAルールをはじめて適用するような場合やJTAルールとは異なるローカルルールを適用するような場合には、大会要項にその旨、明記することが望ましいでしょう。
『その他、日本テニス協会競技規則に準ずる』とだけ記載して有無を言わさずプレーヤーに各種のペナルティーを課すのは避けたほうがよいでしょう。

(2)「プレーヤーが主人公」を念頭に、試合開始時間の変更等、スケジュール変更も、両方のプレーヤーを公平に扱い、必ず本人に伝えることが大切です。

2)プレーヤーの心得
(1)大会要項に記載された制限事項、注意事項をよく読み、参加すること。競技規則に関しては、大会により異なることもあるので注意すること。

(2)順延も考慮にいれ、途中で棄権の可能性のある大会には申し込まないこと。

(3)試合開始後、チェア・アンパイアまたはロービング・アンパイアの許可なしにコートを離れてはいけません。

3)ドロー
(1)ドロー作成の日時、場所は大会要項に明記して公開で行なうことになっています。誰でも立ち会うことができます。

(2)再ドロー
ドロー作成後、試合開始までにドローに誤りがあったとき(エントリープレーヤーが漏れていた等)は、作り直さなければなりません。
最初の試合が始まった後でドローに誤りが見つかっても、誤ったままのドローでトーナメントを行ないます。

(3)バイ
・シード順位の上位者から順に与えられる。
・バイの数がシード数より多いときは、残ったバイはくじ引きで各ロット(ドローの各セクション)間で平均になるように配置する。

(4)シードプレーヤーが欠場したとき
オーダーオブプレー発表前・・・1〜4シードの2人以上が欠場 → 再ドロー
オーダーオブプレー発表後 → ラッキールーザーで埋める。

(5)予選終了前に本戦ドローを作るとき、予選通過者の枠は本戦ドロー中に本戦に受け入れられた選手と同様に抽選で配置され、予選通過者のその枠内への位置は、予選終了後、抽選で決める。
予選通過者の位置(枠)を予め決めておくことはできない。

4)ラッキールーザー
予選が行われたトーナメントでは、最初の試合が開始するまでに出場辞退したプレーヤーの補欠としてラッキールーザーが起用されます。
(1)初回戦が行なわれるそれぞれの日の、最初の試合開始30分前までに出席を届け出たラッキールーザーにその権利があります。初回戦が2日以上にわたるときは、初日に出席を届けたラッキールーザーのみが2日目以降の初回戦に出席を届け、補欠となる権利を獲得できます。

(2)2名以上のラッキールーザーが同時に本戦ドローに入るときは、抽選でその位置を決めます。

(3)本戦プレーヤーの失格発表後(通常は、該当ラッキールーザーが呼びだされる)、5分以内にプレーを開始しなければ、次の順位のラッキールーザーが入ります。

(4)雨天順延のとき
a)ウォームアップ終了後、ファーストサービスを打とうとしたら雨で翌日に延期となった。次の予定日に相手プレーヤーがこない。 → ラッキールーザーが入る。
b)最初のポイント終了後(15-0)、雨で翌日に延期となった。次の予定日に相手プレーヤーがこない。 → リタイアとして扱われる(ラッキールーザーを入れない)。

5)ダブルスパートナーの変更
パートナーがけがまたはその他の不可抗力により出場を取り消す場合、ドロー作成前であれば、エントリーしていない他のプレーヤーと再エントリーできます。
予選を勝ち抜いて本戦に入るプレーヤーには適用されません(予選を勝ち抜いた後、パートナーの一人がけがまたはその他の不可抗力によって出場できなくなっても他の一人は再エントリーできません)。
この場合、予選を勝ち抜いて本戦に入る組の補欠として、ラッキールーザーが本戦に入ります。

エントリーした2つのペアのそれぞれ一方が、けがまたはその他の不可抗力で出場できなくなったときは、残ったプレーヤー同士で新たなペアとして出場できます。

ドロー作成後は、正当な理由があってもパートナーの変更はできません。大会によってはダブルスパートナーの変更を認めないこともあるので大会要項を確認しておきましょう。

6)遅刻
(1)大会開始前の集合(受付)時間の遅刻と試合開始前の遅刻とは異なります。
試合開始前に集合時間または出席の届け(サイン・イン)が定められている場合があります(サイン・インは、通常、試合開始30分前ですが、都府県選手権などでは「試合開始の10分前に受け付けしないと失格になります」などと大会要項に記載されていることもあります)。
この集合時間(サイン・イン)に遅刻することと試合開始時の遅刻は異なります。

予め開催要項などに定められた受付時間(サイン・イン)に遅刻することは、直ちに失格することを意味します。
試合開始時の遅刻に対するペナルティー(試合のコールから(Followed by のときは前の試合が終了してから)15分を超えてもコートに現れないときは失格)が適用されることとはならないので注意が必要。

予め大会ドロー表のオーダーオブプレーに試合開始時刻が記されているときは、その時刻までにプレーできる状態で出席を届ける必要があります。

(2)試合開始時の遅刻
遅刻時間 ペナルティー
片方が10分を超え15分以内の遅刻 サーブ/エンドの選択権、又は、相手に選択させる権利
および第1ゲームを失う。
片方が15分を超える遅刻 失格
双方ともに10分を超え15分以内の遅刻 ウォームアップなしで1ゲームオールから
双方ともに15分を超える遅刻 双方とも失格

(3)試合中断後または10分間休憩後の試合再開時の遅刻
遅刻時間 ペナルティー
3分を超える遅刻 1ゲームを失う(ゲーム途中の時は、そのゲームを失う)
5分を超える遅刻 リタイアとして扱う

タイブレーク中に中断し、再開した場合、双方とも5分以内の遅刻の場合にはペナルティーなしで試合を始めます。

7)トイレットブレーク
トイレットブレークは、別に定めがなければ最大5分間とることができます。
女子 トイレはいつでも、着替えはエンド交替時
1試合(3セットマッチ)に2回(ダブルスはペアで2回
ペアが同時に要求すれば2人で1回)
男子 トイレを理由にエンド交替時
3セットマッチは1回、5セットマッチは2回
(ダブルスはいずれもペアで2回、同時に要求すれば2人で1回)
8ゲームプロセット 男女とも1試合に1回(ダブルスの場合は1人1回)
1セットマッチ

ウォームアップ中のトイレット・ブレークは試合中と同じで1回に数えられます。アンパイアは、プレーヤーが要求したときにストップウォッチを止め、プレーヤーがコートに戻ったあと、ウォームアップを再開したときにストップウォッチをスタートさせ、残りのウォームアップ時間を計ります。
相手プレーヤーは、待っている間、第三者とウォームアップすることはできません。
ウォームアップ開始まえのトイレット・ブレークは自由です。この場合、試合コール後の遅刻に関する規則が適用されます。

8)ウォームアップ中または試合中のけが
(1)インジュリータイムアウトを要求したら、まずレフェリーが呼ばれます。たいていの地域大会ではトレーナーや医師がいないのが普通。自分で処置することになります。

(2)インジュリータイムアウトは、事故発生直後からエンド交替までの間に要求する必要があります。

(3)「1回に限り3分間の治療時間」
「インジュリータイムアウトとして1回に限り3分間の治療時間をとることができる」というのは、同一のけがに対し、3分以内の治療時間が1回だけ認められているということであり、同じ箇所でも別のアクシデントで再度、けがをした場合には、改めて3分以内の治療時間が認められます。1事故に対し、1回の治療時間は3分ということです。

(4)プレーヤーのインジュリータイムアウトの要求からトレーナー(またはドクター)が到着するまで、および治療の前になされる診察は、治療時間に含まれません。3分間の治療時間は、トレーナーが「治療を始めます」と宣告して治療を開始したときに始まり、治療を終了したときに終わります。
治療が3分以内に終了したら、すぐプレーを再開しなければなりません。「まだ、残り時間があるから」と3分間をフルに使って休むことはできません。

(5)ウォームアップ中のけが
インジュリータイムアウトは1試合1回だけだからと、ウォームアップ中にけがしたところを治療せずに試合を始め、途中で悪化しても「試合前のけが」「既存の病気」と見做され、インジュリータイムアウトの対象にならないので注意が必要。

(6)「アクシデントによるけが」の定義
JTAでは、「けがとは、(アンパイアの)目に見える明らかな事故の結果として起こったもの」と定義しています。
1997年より、国際大会では、男女共、「けいれん」も認められることとなりました。国際大会には必ずトレーナーがおり、「けいれん」かどうかを判断できるためです。「けいれん」も含むこととなったため『メディカルタイムアウト』と呼ばれることになりました。
トレーナーがいない国内大会では、「けいれん」かどうかを判断できないため、「けいれん」をインジュリータイムアウトとは認めていません。

(7)インジュリータイムアウト後の治療
レフェリーの許可があればインジュリータイムアウト後も、エンド交代時に治療を受けることができる(タイブレーク中は例外)。但し、インジュリータイムアウト後、連続2回まで。

9)服装、用具に関する規制
(1)テニス専用シューズとテニスウエアを着用すること。
 Tシャツ、ランニングシャツ、ランニングパンツの着用は禁止。
 Tシャツかどうかの判断はレフェリーの裁量に任される。
 ウォームアップスーツは、ウォームアップ時のみ。

(2)ストッキング、膝が隠れるソックスは長ズボンと見做され、原則として着用できません。

(3)製造業者のロゴと商業ロゴに関する規定
(3-1)シャツ、セーター類、ウォームアップ・スーツ等
広告宣伝ロゴ 製造業者ロゴ
13cu以下 19.4cu以下 13cu以下 19.4cu以下
@両方の袖のそれぞれに - 1つ 1つ -
A前身ごろ
(背中、襟もOK)

-

-

2つ、または

1つ

(3-2)ズボン類(男子:長短問わず)、スコートまたはショーツ(女子)、スパッツ(男女共通)
製造業者ロゴ
13cu以下 19.4cu以下
長短パンツ類 2つ、または 1つ
女子:スコートまたはショーツ 2つ -
男子:スパッツ 1つ(ズボンとは別に) -
女子:スパッツ 1つ(スコートまたはショーツのロゴは1つ) -

(3-3)ドレス(女子)、ソックスとシューズ、帽子、ヘッドバンドまたはリストバンド
広告宣伝ロゴ 製造業者ロゴ
13cu以下 13cu以下
ドレス(女子) 2つ 2つ
ソックスとシューズ - 複数可(各品目、片方(右足
または左足)のそれぞれに)
帽子、ヘッドバンド、リストバンド - 1つ

(3-4)ラケット
フレームに製造業者ロゴ(いくつでもよい)
ストリングス上にフレームとストリングスの製造業者ロゴを1つずつまでOK。

(3-5)バッグ、タオルまたはその他の用具類
数、サイズに関係なく各用具製造業者のロゴをつけられます。

(4)パッチワークのサイズ
パッチワークの生地の色が服装等、本体の色と同色である場合には、パッチワーク内のロゴのサイズが規制対象となりますが、服装等の色と異なるときは、パッチワークそのもののサイズが規制対象になります。

(5)試合中、プレーヤーのシャツ、ショーツ、スコート、シューズが破損したとき、15分以内の交換時間が与えられます。

(6)試合中(ウォームアップも)衣類を裏返して着てはいけません。

(7)チーム対抗戦の場合、コート内にいるコーチもプレーヤーと同様の服装の制限を受けます。

10)紛らわしい倫理規程違反の比較
(1)コード・バイオレーション(CV)における不当なゲームの遅延(Unreasonable Delay)とタイム・バイオレーション(TV)
CVでの遅延:遅延していることをプレーヤーが認識している場合。
TVでの遅延:意識せずポイント間の20秒違反、エンドチェンジ間の90秒、または120秒違反をしたとき。

エンドチェンジで "Time(60秒後、または90秒後)" とアナウンス後、さらに15秒後に"15 seconds (残り15秒)" とアナウンスされたにも拘わらず15秒後にサービスを始めるか、レシーブ態勢に入っていないときはコードバイオレーションをとられます。

(2)みだらな言葉(Audible Obscenity)と言葉による侮辱(Verbal Abuse)
AO:わいせつな言葉を誰に対して言うともなく発してアンパイアに聞こえた場合。
VA:審判員、相手プレーヤー、観客に向かって侮辱するような言葉を言った場合。

(3)みだらな態度(Visible Obscenity)と身体に対する侮辱(Physical Abuse)
VO:わいせつな態度を示した場合。
PA:ラインアンパイアの肩を押したり、審判台まで駆け上がって抗議したりするなど、審判員、相手プレーヤー、観客に対する直接行為。

(4)倫理規程違反に対するレフェリー、大会運営者の心得
a)コードバイオレーションやタイムバイオレーションは、ペナルティーを課すのが目的ではなく、試合をスムーズに進めるための手段に過ぎません。ペナルティーを課さなくてもよければそれに越したことはありません。
コードバイオレーションに該当するような行為と思われるものでも悪質でない場合には、コードバイオレーションを課す前に、可能な限り、「この次に同じようなことをやったらコードバイオレーションをとりますよ」などと注意を促すよう心掛けることも大切です(Soft Warning)。

b)”失格”も極力避けなければなりませんが、悪質と判断して失格させる場合にもプレーヤーの言い分を充分聞くことが重要。また、プレーヤーを不公平に扱っていなかったか等も冷静に考え、その上で、やはり失格に該当すると判断したら、必ずレフェリーに相談の上、失格にする、というような慎重さが望ましいでしょう。
規則を杓子定規に適用することがベストではありません。



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