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第八章 実在する天使
〜A super shock developement〜
現在位置は『第八展望台』の花畑。
「錬いいの、下手したらここが戦場になるよ」
「いいんだよ、そのときは自己領域で空に出れば逃げ切れるから。それに家に帰れないんだから、どこかまともに休めそうなところはここくらいでしょ」
そのとうりである。
家にいればすぐにばれてしまい、かといってプラントにいてもし囲まれたらそれこそ逃げ道はない。Hunter Pigeonで逃げるという手段もあるが、そんなことをすればマサチューセッツのクレアによって、見つかってしまうだろう。故に青空があるここにいるのであるが、
「セラさん、そっちはお水あんまりかけないでくださいね」
「はい、わかりました」
「お水汲んできたよ〜」
「ありがとうございます」
「これはなんと言う花だ、フィア」
「あ、それは……」
少女たちはこんな会話をしている。まったくと言っていいほど緊張感がない。
ちなみに現在咲いているのは、冬の花である。
「ユウ、髪染めは落としたら?」
「でもな、俺は黒い髪のほうが気に入ってるんだよな」
「だから、って白髪でもないのに、その歳で白髪染めはどうかと思うよ」
月夜と真昼に外見に関して指導を受けいるユウ。
ちなみに実際の色は銀だとか。ついでに黒い瞳もカラーコンタクトで、実は銀である。
『平和ね〜。生きてるうちに来たかったわ』
「ほんとだな、ファンメイのやつにも見せてやりたかったな。久しぶりの青空になるだろうしな。まあ、あいつなら必要なら飛んでいきかねないけどな」
のほほんと会話しているのはマリア(AI)とヘイズ。
ちなみに考えたらヘイズもファンメイたち龍使い四人組みもサクラの家族ではないだろうか。同じアルフレッド・ウィッテンが作ったのだから。
……ちなみにどころの話ではなかった。サクラの家族ってたくさんいるような気も、真昼も父親の一人であるわけだし、それを繋げると月夜は伯母ってことになるし、錬のI-ブレインのソフトウェアも同じく真昼がやっているわけだから姉弟とも言えるし、とこれはすでに本人も聞いているな。
*
夕食後、女子は屋根のあるとこと、男子は屋外でテントという分け方になり、
「ところで気付いたんだけど、錬」
「なに、エル?」
「祐一はいつ来る?」
「多分、明日くらいじゃないかな?」
「敵さんは?」
「それも明日くらいだと思うよ」
「まあ、マサチューセッツのクレアが動き出したらしいからね」
「フェアルの情報だったけ」
「うん、フェアルの情報網はすごいよ。I-ブレインを使っていなかったときでさえ、世界中から情報を集めてたから、それだから『島』が攻撃されることもわかったんだけど」
「『島』ってファンメイのいたところだよね?」
「うん。ユウはあそこに結構行ったらしいけどね」
「そんなことも言ってたね」
真剣な話なのか、雑談なのか、情報交換なのかよく分からない会話を続ける錬とエル。
「まあ、一番重要なのは……」
エル転がり、もし戦うことになった場合のことを話し始める。
「一番重要なのはセラに敵を接触させずに逃がすことだ、ディー」
「あの、なぜかを説明してくれる、ユウ」
同じように戦闘と時の対処法を立てているディーとユウ。
「もしかしたらあいつは人を殺すかもしれないから、ってことだ」
「な、なんでセラが」
「あいつのD3にちょっと危険なプログラムが入っててな、それが殺人衝動と防衛本能、それから殺意だとかなんだとかを引きずりだして、戦いや殺人に対する恐怖や躊躇だとかを消し去るんだよ。まあ、本人の自我は残ってるけどな」
「そんな」
「言っても無駄だぞ、すでに話してある。ってそれよりも俺はなんで俺がここにいるかが気になるんだが」
「それは……くじをフェアルが作って引いたんじゃなかったかな?」
「あいつめ、後で殴ってやる」
「僕と一緒なのがそんなにいや」
「絶対的に寝るのが一緒なんて拒否する。って理由はこれ身体構造制御や電磁場制御で変装してるけど……あ、解除した方がいいか、それなら。ちなみにここからの喋り方に驚かないように」
ユウの言葉にディーは首を傾げていたが、ユウはお構いなしにI-ブレインに命令を飛ばした。
(プロテクト解除。カテゴリを《天使使い》へ移行。I-ブレインをX-ブレインへ状態移行)
その命令の直後、ユウの背中に銀の翼が現れた。
(契約分類『父』。契約番号13番。契約により『身体偽装ケルブ』降臨。『男性』への『身体偽装』を解除。通常身体形状『実在する天使』に状態を帰化)
そしてディーも知らないであろうが、智天使と呼ばれる天使、ケルブが現れ、それと同時にユウの姿が変わる。
髪は伸びて銀の光を放ち、体は少しだけ小柄になる。
そして何よりも驚いたのは、I-ブレインを終了しているにもかかわらず、それらがそのままで、先ほどとは違う、白い一対の翼が生えていることであった。
「ふう、前の『源』は男の子だったのに女の子になっちゃったから、あっちの方が日常生活に便利なんだよね、背もそれなりに高いし。ってあれ、どうしたの?」
「お、お、お」
ディーはテントの端まで下がって震えながらユウを指差している。
「女の子だったの?」
「うん。だから一緒はいやって言ったじゃない。まあ、錬ちゃんや真昼さんは知らないんだけどね。あ、月夜さんは知ってるのよ」
「………」
すでに口をパクパクさせているしかなかったディーだか、少ししてから冷静さを取り戻し、質問をする。
「その翼はなに?」
「ちょっとね、『世界再生計画』は知ってるよね」
ユウの問いに対してうなずくディー。
「あたしのこの翼はね、その中で、マザーコア以外のエネルギー供給源に頼る方法に関するものとは別に、極秘裏に進められた、シティがなくても人類が生きるために別の動物の遺伝子を組み込まれたの。まあ、人間よりそこらの動物の方が環境に対する適応能力は高いからね、そしてあたしはその中の唯一の成功体。って言ってもそのクローンなんだけどね」
だからこんな中途半端なの、と言うユウ。
「あの、そのことエルやフェアルは?」
「知らないよ、前のオリジナルのときに試しに空中に飛ばされて、途中で落ちて、神戸の近くに墜落して、まあ、そのときは騎士だったから自己領域で対処したけどね。それでそのときに迷ってこのエレベーターに来て、出れなくなって空に飛んでいって、『島』を見つけて、ルーティさんとカイさんに出会って、戦前の内容の勉強してたから大体の建築基準から出る方法を教えてくれて、それから今の体になったときには遊びにいってたこともあって、そのときに身体構造制御もコピーしてこの能力を創ったからエルちゃんもフェアルちゃんも知らなくて、……って、それよりなんでまだ居るの?」
ユウはディーを睨むが、当の本人は理由に気付いていない。
「なにかしたっけ?」
ディーに悪気はなかったが(あったらいけないけど)、どういいことか分からないのでユウ聞いてみた。しかし、これがいけなかった。
「乙女と一緒に寝ようなんて思ってないわよね」
「そんなこと……」
ディーはそこまで言われてやっと気付いた。
そう、現在状況を表すなら、夜に狭い場所で若い男女が二人きりという状況。
「分かったみたいね、覚悟はOK?」
指を鳴らし笑顔を浮かべるユウ。
「で、出来ていません、荷物をまとめて出て行きますから、攻撃は……」
「因果応報、盛者必衰、祇園精舎の鐘の声よ」
「意味が分からないんですけど」
人によったら、言いたいことはわかるが、間違っている気がする、とでも思うだろう。
そしてユウは身体能力制御を持って40倍の速度へと加速する。
「許してください、ロシアンルーレットでも、断頭台でも、土下座でも何でもして謝りますから」
「もう遅いわよ。覆水盆に帰らず。蛙飛びこむ水の音よ」
言いたいことはわかるが、やっぱり何か間違っている気がする、と思っている方(おそらく錬たち日本人なら分かるだろう)がもし居たらディーを助けてくれるのだろうが、生憎ここには二人のみ。
「ええい、報いを受けなさい!」
拳が振り下ろされる瞬間、ディーはとっさに身を捻ってかわす。すると、
「いった〜〜〜!!!」
テントが壊れ、ユウが悲鳴を上げる。
おそらく、ディーが端に下がっていたため、テントの柱がすぐ後ろに立っていて、それを殴ったのだろう。
そしてもちろん、
「どうしたの二人とも」(錬)
「女の子の悲鳴が聞こえたよ」(エル)
「テントが崩れる音も聞こえました」(フィア)
「今すぐ助けますね」(セラ)
「一体なにをしやがった」(ヘイズ)
「ユウ、《天使使い》のプロテクトを解除してディーと喧嘩したんじゃないよね」(真昼)
「え、あんたたちユウをディーと一緒のテントに入れたの?」(月夜)
「それが何かまずいのか?」(サクラ)
「お兄ちゃんたち過激だね〜、テント壊したの?」(フェアル)
『一体これは何の騒ぎ?』(マリア)
みんなが一斉に集まる。
そしてセラがテントを除けた瞬間、全員がそれを目にする。
「―――!」
ディーの上に見知らぬ女の子が倒れている状態を。
「ディーくんの浮気者〜〜〜!」
(D3、A〜Jまでのリンクを確立)
錯乱し、D3とのリンクを確立するセラ。
「まったく、落ち着こうね」
(I-ブレイン起動。T状態安定。それぞれのI-ブレインの『自我』によるリンクを確認。E-ブレイン起動。『全魔法完全制御』発現)
その瞬間にエルがセラの情報制御を封じる。
「なんですか、これ?」
「僕の『全魔法完全制御』。君の情報制御を僕の周りで行うことを禁止してるわけだけど、問題はあった?」
「おおありです!これじゃD3で殴れません」
……誤解だよ、セラ……
そう思ってそのまま倒れるディーであった。
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