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第九章 役者がそろって
〜A magic person to keep〜
直ったばかりのナイフを抜き、戦闘の準備をする。
(「短期未来予測デーモン」常駐)
治療に備えて、準備をしておく。
(I-ブレイン起動)
ジャッケトを羽織り、銃をしまい、予測演算を準備する。
(システム稼働率を75%に設定)
双子の騎士剣を構える。
(並列処理発動準備完了)
形見のD3を浮かばせる。
(「D3」A-Jとのリンクを確立)
投擲ナイフを握り、外套を纏う。
(呼:制御系・一時記憶領域・『戦闘領域・確保』)
先行突入のために、壁を透過する準備をする。
(アクセス『シュレディンガーの猫は箱の中』)
二振りの剣を抜き、宝石のような結晶を浮き上がらせる。
(E-ブレイン戦闘起動。『魔法完全制御』発現)
鈴の指輪をはめ、踊るためにステップを整える。
(「妖精の舞踏」開演準備完了)
姿を変え、舞台を整えるための準備をする。
(カテゴリを《堕天使》へ移行。ノイズメーカーの破壊を作戦内容に設定)
特性のナックルとブーツを装備し、身構える。
(出力を30%に設定)
その様子を見守りながら、ハッキングをかけ、仲間へと連絡をとる。
『パスワードを入力してください』
『わかった、今すぐそちらに向かう』
「さあ、準備はいい、ここから逃げ出すよ」
「はい」
「ああ」
「いつでもいいですよ」
「分かりました」
「それ以外に道はないだろう」
錬の言葉にフィア、ヘイズ、ディー、セラ、サクラが応える。
「さて、いくかいな」
「わかってるわよ」
「はい」
イルの合図にリースと兵士たちが従う。
「僕がリースを抑えるから」
「私は戦闘機を壊すね」
「俺はノイズメーカーを潰す」
エル、フェアル、ユウが作戦を確認する。
「ここから出たらまともな生活は当分おくれないわね」
「だったら月夜はモスクワに戻る?」
真昼と月夜が脱出ルートを検索しながら笑いあう。
『さあ、行こう!』
声をそろえて各々が持ち場に向かった。
そして配置に着くが、ユウは一人になったところで立ち止まる。
「また始まる」
紡がれたのは小さな言葉。
「以前は平和、そして今度は青い空と緑の草原」
そして目を瞑り、紡ぎ続ける。
「定義と再定義による構築と再構築、支配による制御、剥奪による禁止、想像による構成、その他にもこの身に宿る力はどれもこの先狙われる」
そしてそのまま仲間たちを思い浮かべる。
「顎の龍使いと死んだ光使い、約束してくれた侍と魔法使い、自ら望んだ天気予報師と魔獣使い・・・」
何人もの戦士たちを次々に挙げていく。
「そして消えた多くの跡継ぎは誰なの。10人以上のメンバーが帰ってきて、新しい仲間が現れても、最強のメンバーが帰ってきたわけじゃない」
そのまま上を見上げる。
「敵になったたら迷わず戦う。そうでなければいけない」
紡がれた言葉がかすかに震える。
「だから、全身全霊を込めてやってみせる。今度こそみんなで笑ってやる」
震えを一瞬で振り払い、叫ぶ。
「そして、青空の下で、思いっきり生きてやる。楽しんで生きてやる。みんなが笑える世界を、創ってやる!」
目を開き、拳を上げて叫ぶ。そこには誰もいないのに、まるで誰かに聞かせるように。
「待ってろ、『パーフェクト・ワールド』は帰してもらう。語り手にして紡ぎ手、聞き手にして書き手、歌い手にして導き手、読み手にして刻み手、それら無数に存在する全ての称号を持つ者に、闇と時ではかなわない。闇は全てを覆い隠そうとも、導き手によって意味をなくし、時は止まろうとも、刻み手によって動かされる」
いや、聞かせているのだ。遠い場所に存在するものへ。
「ここから先はなんだってする。シティだろうが、賢人会議だろうが、関係ない、みんな巻き込んで戦ってやる」
かつての友へ向けられた声は、空へと響き、思いを伝える。
この叫びは、後に語られる伝説の始まりをしめし、そして第4次世界大戦の引き金となる。
「世界の希望はこっちにある、この身に宿る無限の力と、仲間との思いを集めて戦ってやる」
そして、別の場所。
『邪魔をする気?』
「俺はそういう気はないが、生憎そうなってしまうな」
FA-307に乗るクレアとその前に立ちふさがる祐一。
『いいわ、来なさい。あなたを倒せばディーのところに行けるのなら、あたしは貴方を倒すわ。あたしはディーに会うために来たんだから』
「いいだろう、来い!」
(演算期間起動。重力制御開始。FA-307浮上開始)
(「身体能力制御」発動。運動速度を六十倍、知覚速度を百二十倍で定義)
「なんや、また自分から出てくるんかい」
「ああ、貴方を抑えられるのは私だけだからな」
入って少しした広い空間に立つのはイル。そして、反対側の道の入り口にいるのはサクラ。
「そしたらディーはまた兵士、あの女の子は先に脱出やろ」
「それは答えられない。自分たちの手の内をみすみす明かすはずがないだろう」
「なんや、つれんな〜」
「うるさい!」
サクラはナイフの1本を投げ、さらに連続で投擲する。
「おっと」
雑談はサクラの投げたナイフによって打ち切られ、お互いに身構える。
「ほな、こっちから行かせて貰うわ」
イルが先に動き、蹴りを放つが、サクラはそれを運動加速によりかわす。
「悪いが、今回は新しい装備もあるので、それの実験相手になってもらう」
そう言って、論理結晶体がはめ込まれたナイフを投擲する。
「なんや、こんなもん避けんでも……」
(エラー。存在確率上昇)
「な」
存在確率が引き上げられ、肉体が30%の存在確率を持って現れる。
「一つ目はまずまずのようだな」
サクラはそう言って二つ目の先ほどとは違う形のナイフを振る。
(呼:分子運動学・分子運動制御・『刃』)
いままでの弾丸と違い、鋭さを持たせた氷の刃を生成し、放つ。
「もう一度受けてたまるか」
イルはそう言って避けたが、外れた刃が触れた壁が、砂になって崩れ落ちた。
「また別もんか」
「今回はこの二つを使いこなすための相手にもなってもらう」
砂になった壁を見て、舌打ちするイルに対して言い放つ。
「論理回路生成補助型デバイス、驚天紫電。遠隔情報制御補助型デバイス、動地雷鳴。今回は以前と備えが違う。近づく必要もないから、攻撃に当たる気もない」
「ユウじゃないんだ」
「うん、僕と勝負だよ、『鳳炎使い』リース」
「うん、『第五の元素を司りし者』エル」
エルを二つの騎士剣を握り、16のD3を浮かべる。そしてリースはナックルの設定を変更する。
(騎士剣「鳳凰」「竜神」完全同調。「D3」A-Pとのリンクを確率。「分子運動制御」開始。「ゴーストハック」開始)
(出力を80%に再設定。モード『龍鳳』へ移行)
「いくよ」
『火の精霊がサラマンダーよ、水の精霊がウンディーネよ、風の精霊がシルフよ、大地の精霊がノームよ、我に応え、ここに顕現せよ!』
(『四精霊共鳴』発現。『エルト』、『エレン』、『エリ』、『エント』を一時的にゴーストとして召還。各々に情報制御を付加、及び発動権限を譲渡。擬似魔法士、『禾』『慧』『楓』『堵』を生成)
「負けないからね」
『左右に来たれ、龍鳳よ、そして共に戦おう!』
(分子運動制御開始。発動能力『炎』。ゴーストハックを発動。『炎竜』『炎凰』を発動)
炎を纏った蜥蜴、水を生む乙女、風と戯れる乙女、大地から現れた小人が、エルの周りに現れ、炎で出来た龍と鳳凰が、リースの左右に飛ぶ。
そして、それぞれの供を引き連れ、ぶつかる。
(「身体能力制御」発動。運動速度、知覚速度を六十倍で定義。「自己領域」展開。時間単位を改変、重力場を強制的に遮断。「D3」A-P:Lance装填)
そして、それぞれのゴーストの消滅が確認されると同時に、エルは外へ飛び出す。
(「自己領域」を解除。「空間曲率制御」開始。重力を消去)
そして、重力を遮断して滞空する。
「待ちなさいよ〜」
(分子運動制御、開始。「ガンブーツ」による飛翔を発動。「ガンナックル」ブレッドを装填)
リースは自らのデバイスを用いて滞空する。
「なるほど、「ガンブーツ」と「ガンナックル」を持ってきたんだ。じゃあ、さっきのもそれ?」
「あったり。中に圧縮保存されてあるゴーストを使ったの」
−「ガンブーツ」、「ガンナックル」−
対光使い用の炎使い専用デバイス。
分子運動の制御により、氷へと変えた窒素に、奪った熱量をぶつけて水蒸気爆発を起こし、その爆風によって飛行、瞬間的な加速を行うためのデバイスである。
制御の幅を極小にすることと、ブーツの素材を情報制御によって、強化することで使用者への負担を軽減した高性能デバイスである。
しかし、加速の際に生まれる衝撃はほとんど軽減できず、作ることに高い能力が必要であったため、現存しているものはほとんどなく、また使いこなせるものもわずかである。
作ったシティは不明であるため、その技術資料はほとんど残っていない。
また、身体能力制御、ゴーストハックをプログラムとしてインプットすることもできるが、身体能力制御は運動速度、知覚速度ともに二倍までしか上昇できず、ゴーストハックは五種類、同時に発動できるのは二つまでであった為、実際に使われることはほとんどなかった。
「なるほどね、しかもその炎に耐えれるほどの素材で、装備している人間に熱が届く前に分子運動制御で打ち消すから、接近戦闘に使えば炎を纏った拳を撃てるってわけだね」
「よく知ってるね。でも、知っててもなんにもでいないよ」
そう、知っていても実戦で使われることがほとんどなかった武器でるため、対処はまだ判明していない。
遠距離戦闘の最強の武器ともいえる荷電粒子砲は炎使いには意味を成さず、中距離戦闘は相手の常等手段であり、近距離戦闘では騎士の情報解体は魔法士故に意味をなさず、通常の斬撃、打撃、殴撃などは氷の盾とナックルやブーツで受け止められ、さらに炎を持った拳によっての攻撃を受ければ、こちらの被害が大きくなる。
「それでも、こっちは《精霊》だよ。そう簡単には負けないって」
「そうだよね。でも、勝ち目は薄いよ」
リースのその言葉に、エルは笑って応えた。
「大丈夫だよ。勝つためにやるんじゃないから」
そして再び騎士剣を構える。
「友達を逃がせれればそれでいいんだから」
「フェアルさん、エルさんが心配なんですか?」
セラは隣にいる同じく空中戦車などの戦闘機の無力化が役目であるフェアルに向かって聞いた。
「うん、心配。だって火リースはきっと……」
「はい、多分ルナさんの跡継ぎですね。炎を使って走るなんて、普通の炎使いには出来ないって、真昼さんが言ってましたから」
つまりはEのNo.1である、『爆炎』の称号をもつ少女の技を受け継いでいる可能性があるのである。
「ユウお兄ちゃん、じゃなくてお姉ちゃんなら、まだ良かったけど、エルお兄ちゃんはなにも持ってないから」
「私は『光の絶技』なら持っていますし、フェアルさんも『夢の絶技』を持ってますけど、どちらも炎使いには向いてませんからね」
「うん、『夢幻・幻想夢国』は眠っている人にやるのが基本だし、『閃天・極光天来』は水と氷で防げるもんね」
ENo.9が夢の絶技『夢幻・幻想夢国』は相手に、夢を見せて、そのなかで殺すことや、心の傷を癒すためのものである。
ENo.6が光の絶技『閃天・極光天来』は光学兵器における絶対を体現したもの。
さらに、ENo.1が火の絶技『双獣・蒼焔龍鳳』は火炎放射器における絶対を体現したものである。
それと対を成すのはENo.4が水の絶技『零式・氷河流水』であり、それが最上の対抗手段である。
「エルさんは『奥義』のレベルの技も使えませんでしたから、もし覚醒しているなら、負けますね」
「うん。覚醒していて、しかも戦闘起動の状態なら、『完全』のレベルじゃ対抗できないから、主導権は奪えない」
「やっぱり『絶対』は無理でも『究極』はあったほうが良かったですね」
そんな戦力分析をしているうちに、行動開始の時間が来た。
「それじゃ、行きます」
「うん」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
権力の届かぬ場所にて
「こんにちはー、ドラグお兄ちゃん、イスミお姉ちゃん」
「こんにちは、フィーナちゃん」
「こんにちはだよ、フィーナちゃん」
少年と少女は目の前の女の子にそう返した。
「今日は天然の野菜だよ」
「うわー、ありがとー」
少女は背負っていた籠を女の子に見せる。
「こっちは魔法のコツを教えに行くから」
「うん、行ってらっしゃい」
少女は少年に向かってそう言った。
「ねえ、今日フィーナのフルートが鳴ったの」
「え、それって何時頃なの?」
「う〜とね、ついさっき」
少女は目の前の女の子の言っていることが理解できた。
「それはあなたと、あなたの妹と同じ《妖精》の子が情報制御を使ったってことだよ」
「へぇー、それって誰?」
「私のお姉さんのフェアルだよ」
「じゃあ、その人とイスミお姉ちゃんも、フィーナの妹なの?」
「うん、そうなるかな。同じファクトリーの科学者に作られたんだからね。あ、元だけどね〜」
少女はそして鉛色の雲を見る。
「たぶん、フィーナちゃんにももうすぐ手伝ってもらうことになるから」
「お姉ちゃんにちゃん付けはだめー!」
「うぅ〜、分かったよ〜」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
*弾劾コーナー*
LE「えっと、何で椅子に固定されてるんですかね〜?」
セラ「逃がさないためです」(←1ミリも笑っていない笑顔)
LE「ひどい」
フィア「射ぬきますよ」(←満面の笑み)
LE「……まだ高校生だから死にたくないよ」
錬「じゃあ、なんで月に四つ書くとか言っておいて、書けなかったの?」(←少し悲しそうな表情)
LE「だって試験や検定ばっかりだったもん」
ディー「中間テストに資格検定二つ、漢字検定とあとはもうすぐ期末試験でしたね」(←錬と同様)
LE「う〜ん、たしかそれであってたよ。あと二人とも、恋人さんが泣き出しそうだよ」
フィア「あ、そうみたいですね」(←同調により確かめる/でもやめない)
セラ「それでも拘束は解きませんよ」(←なにやら詠唱を始める)
LE「一つおねが〜い。『閃天・極光天来』やめてね」
セラ「うるさいです。男か女かわからない名前と会話文の人」(←睨む)
LE「たしかに本名もそうだけど〜……それは言いすぎじゃないかな?それとディーが泣きながら飛び出してったよ」
セラ「え?」(←驚いた表情)
錬「なんか『セラが、セラが、……』とかいいながら走ってたね」
フィア「はい、自己領域を展開しながら」
LE「しかも身体能力制御を並列で」
セラ「い、今すぐ追いかけます!」(←大慌て&飛翔しながら外に出る)
……
LE「で、他に文句はあるの?」
錬「まず、同盟の他作者の謳歌さんの魔法士と似た能力があることについて」
LE「あ、あれはあっちの方が上だし、全体的な仕組みが違うよ。こっちのランクで言えばあれは『究極』レベルだし」
フィア「じゃあ、その違いはなんですか?」
LE「あっちはI−ブレインに直接聞くし、《天使》が元だから、同調で対処できるけど、こっちの『完全制御』は演算機関、演算素子、出力端子にしか効かないし、天使が元じゃないから」
錬「じゃ、『絶対』だとどうなるの?」
LE「それだと…(ネタバレ回避のために伏せるの)…」
錬「つまり洗脳?」
LE「違う違う、押さえ込むとか、引き出すとかかな」
フィア「じゃあ、魔法士相手にしたら負けませんね」
LE「いや〜、イルみたいなのが相手だと、直接殴られて負けるかな〜」
錬「あくまで『魔法』に向けたものなんだね」
LE「ううん、戦艦やフライヤーの演算機関にも効くよ」
錬「そうなんだ。じゃあ、残りは次の機会に」
フィア「なんでなんですか?」
LE「ストーリーに匹敵しそうな勢いだから」
フィア「分かりました」
錬「それじゃまた」
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