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明治時代のヴェルヌ翻訳年表

1878明治11[TM]新説:八十日間世界一周川島 忠之助上下巻。上巻がこの年に自費出版され、下巻は1880年に慶応出版社より刊行。原書からの忠実な翻訳だが、アメリカ版で勝手に追加された章も採用している。1968年に日本近代文学館より復刻された。
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1880明治13[TL]九十七時二十分:月世界旅行*井上 勤全十巻。悪訳として名高いマーシャ&キングの英訳をほぼ忠実に訳したものであろう。森琴石(響泉堂)による22葉の挿絵入り。
[VM]二万海里海底旅行鈴木 梅太郎京都山本。原典訳であるらしい。なお、訳者と同姓同名の科学者は1874年生まれ。
1883明治16[CS]亜非利加内地:三十五日間空中旅行井上 勤全七巻。絵入自由出版社。
[AL]月世界一周井上 勤博聞社。原画を模した8葉の挿絵。90ページ近い前篇の要約が入っている。残念ながらこれもおそらくマーシャ&キング。
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1884明治17[CR]英国:太政大臣難船日記井上 勤絵入自由出版社。前半部分を翻訳した二巻だけで中断。
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[VM]六万英里:海底紀行井上 勤博聞社。実に謹厳実直な翻訳であり、井上の代表作と言える。第11章の欠落など翻訳上の欠陥のほとんどは英語版に由来するものと思われるが、結末部分の脚色など不可解な部分もある。
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[MP]白露革命外伝:自由廼征矢井上 勤(?)絵入自由出版社。勝手な脚色が多数あり、とても井上の翻訳とは思えない。文体の違いなどから代訳者によるものではないかとする柳田泉氏の指摘もある。 1982年に雄松堂書店より復刻された。
[VM]五大洲中:海底旅行大平 三次上下巻。上巻がこの年に四通社より刊行され、下巻は1885年に起業館より。柳田泉氏曰く、「文章は読み易いが抄訳であり、挿絵の点でも井上氏の訳本の敵ではない。」
1885明治18[CT]拍案驚奇:地底旅行三木 貞一
高須 治助
九春社。英語からの重訳とされていることが多いが、一見して分かるロシア語からの翻訳。150ページ程度の杜撰な翻案のあと80ページに亙って地質学・植物学講義が続く。ロシア語版に附録としてついていたものか?
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1887明治20[AH]万里絶域:北極旅行福田 直彦春陽堂。これもロシア語から。
[OX]学術妙用:造物者驚愕試験井上 勤広知社。
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[MP]政治小説:佳人之血涙井上 勤(?)自由閣。『自由廼征矢』を改題して再刊。
[CI]仏・曼二学士の譚森田 思軒
(紅芍園主人)
郵便報知新聞、3/16--5/10。
[CI]鉄世界森田 思軒集成社。『仏、曼二学士の譚』を改題して出版。
[HS]天外異譚*森田 思軒
(大塊生)
郵便報知新聞、5/21--7/23。
[FB]煙波の裏*森田 思軒
(独醒子)
郵便報知新聞、8/26--9/14。
[MI]盲目使者*森田 思軒
(羊角山人)
郵便報知新聞、9/16--12/30。
1888明治21[MI]瞽使者森田 思軒上下巻。報知社。『盲目使者』を改題して出版。その後他の出版社からも度々再版されており、『十五少年』に次ぐ思軒の人気作。
(近代デジタルライブラリー: 上巻下巻
[VF]大東号航海日記**森田 思軒国民之友、1/20--4/20。全8回。
[PF]大氷塊*森田 思軒
(静盧外史)
郵便報知新聞、2/7--4/18。
[IN]炭坑秘事*森田 思軒
(紅芍園主人)
郵便報知新聞、9/4--10/28。欠落している第18章を除けば、原書の七割程度の内容。原抱一庵はこの翻訳を読んで翻訳家を志したという。
[TM]通俗:八十日間世界一周井上 勤自由閣。
1889明治22[EG]探征隊*森田 思軒
(西滸生)
郵便報知新聞、1/2--3/30。三部構成のうちの第一部で終了した模様。
[MV]大叛魁**森田 思軒新小説、3/15--11/30。二部構成の第一部の翻訳。
[JO]一千年後の新聞社国民之友、4/12, 4/22。同年2月にアメリカの雑誌に掲載されたミシェル版の抄訳。よい翻訳とは言い難い。
[IM]さすらへびと(楽如先生)月雪花(友風社)、4/19。二号で終刊した雑誌の創刊号。冒頭の二章を抄訳しただけであり、訳者の素性は分かりそうにない。服部年之による挿画が一枚。
[ES]霹靂一震渡辺 台水大阪毎日新聞、10/1--11/15。登場人物を日本人に置き換えた翻案。
1890明治23[MV]大叛魁森田 思軒春陽堂。
[AT]三英三露:大観測原 抱一庵
(而後庵主人)
奥羽日日新聞、1/9--4/11。訳者病気のため途中で連載終了。同紙は仙台のローカル新聞である。
[--]ジュールス・ウェルヌ徳冨 蘆花(?)国民之友、2/13。イギリスの新聞に掲載されたインタビュー記事 Jules Verne at Home (1889) の抜粋。
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1891明治24[--]余が少時森田 思軒
山縣 五十雄
少年園、9/3, 9/18。前半が思軒、後半が山縣の訳。少年時代を回顧した文章 The Story of my Boyhood (1891) の全訳。ヴェルヌの肖像一枚入り。
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1893明治26[IM]入雲異譚*森田 思軒日本之少年、7月--翌12月。三部構成のうちの第一部(最終章を除く)。思軒の翻訳としては比較的原文に忠実なほう。
1894明治27[FS]無名氏森田 思軒国会、1月--8月。
1896明治29[DV]冒険奇談:十五少年**森田 思軒少年世界、3月--8月。かなり圧縮率の高い自由な翻訳。
[DV]十五少年森田 思軒博文館。1938(昭和13)年には岩波文庫にも収録された。
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1897明治30[--]仏国小説大家の動静世界之日本、3/1。イタリアの雑誌に掲載されたエドモンド・デ・アミーチスによるヴェルヌ訪問の記事を簡単に紹介したもの。
1898明治31[FS]無名氏森田 思軒春陽堂。
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[IM]絶島秘事*緒方 流水
(古茅庵流水)
世界之日本、3/1--7/1。全5回。三部構成の第三部の前半八章までの翻訳。重訳ではあるが、原書の内容にかなり忠実である。翻訳者の緒方流水(維岳)は同雑誌の記者として、さまざまなペンネームを使って創作から評論、翻訳まで文学関連の記事を一手に担った。
1899明治32[AF]海賊尼コラス原 抱一庵世界之日本、5/13--7/15。全10回。ストーリーだけを追った粗い翻訳。アンドロニカが一度も登場せず、それに合わせて若干の脚色が見られる。
??明治??[CB]高加索から北京に至る途上原 抱一庵
1903明治36[CB]日・英・独・露・仏・伊同乗:大亜細亜鉄道原 抱一庵東京出版協会、6月。『高加索から北京に至る途上』を改題して出版。
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刊否不明[CT]地中紀行織田 信義
刊否不明[PF]北極一周井上 勤
備考 *を附したものは大空社『明治翻訳文学全集』に復刻されている。
**を附したものは三一書房『少年小説大系[13]』に復刻されている。
雑誌『国民之友』は明治文献から複製版が出ている。
雑誌『世界之日本』は柏書房から復刻版が出ている。
last modified on 2006/12/20