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黒いダイヤモンド

Les Indes noires / 1877

[黒いインド]

Livre de Poche

== Data ==

== Editions ==

== Story ==

スコットランドのアバーフォイル炭坑は十年前に閉鎖されて坑夫たちは散り散りになり、そこで監督をしていた技師ジェイムズ・スターも今はエディンバラに暮らしている。そんなある日、スターのもとへ謎めいた一通の手紙が届いた。差出人はかつて坑夫頭を務めていたサイモン・フォードで、ごく内密な理由ですぐに炭坑まで来て欲しいという。ところがその直後、それを打ち消す内容のもう一通の手紙が届き、謎は深まる。サイモンはいったいどのような秘密を知らせようとしているのだろうか…?

スケールの大きさは『地底旅行』ほどではないが、地底湖、岩の穹窿、未知の深淵といった地下世界の造形美が読者を圧倒し、スコットランドの美しい風土と仄暗い伝説が彩りを添えた知られざる傑作である。この作品をめぐっては、地下のユートピアを創造しようとするヴェルヌと、炭坑の孤児ネルを中心としたロマンスを展開させたいエッツェルとの間で大きな意見の相違があり(この点で、英語版の訳題に『洞窟の孤児』、『地下の都市』という二通りがあるのは象徴的である)、終盤のかなりの部分はエッツェルの筆に負っていることが指摘されている。結果的にこの共同作業は功を奏したと言ってよいだろう。

== Characters ==

  1. ジェイムズ・スター (James Starr)
    エディンバラの旧家の出で、スコットランド考古学協会の会長。十年前までアバーフォイル炭坑の監督をしており、坑夫たちから慕われる存在だった。ウォルター・スコットを愛読し、この地方の歴史にも詳しい。
  2. サイモン・フォード (Simon Ford)
    アバーフォイル炭坑で坑夫頭をしていた老人。今も家族とともにドチャート坑の中で生活しており、地上に出ることはほとんどない。炭坑にはまだ発見されていない鉱脈があると信じ、坑内の探索に余念がない。
  3. マッジ (Madge Ford)
    サイモン・フォードの妻。得意料理は肉や野菜のごった煮スープ《ホッチポッチ》。
  4. ハリー (Harry Ford)
    サイモン・フォードの一人息子で、幼時からの炭坑生活で鍛えられた25歳の青年。炭鉱内で頻発する怪現象に早くから気づき、原因を突き止めるためには危険な深淵の調査も辞さない。
  5. ジャック・ライアン (Jack Ryan)
    ハリーの幼なじみで歌を歌うことがなによりも好きな陽気な青年。今は近くの農場で働いているが、炭坑にも時々出入りしている。ハリーとは対照的に迷信深く、この地方の伝説を信じ込んでいる。
  6. ネル (Nell)
    炭坑の中で生まれ育った身寄りのない少女。洞窟内で餓死しかかっているところをハリーに助けられ、サイモン一家と生活を共にするようになる。
  7. シルファックス (Silfax)
    デイヴィー燈が発明される以前に、炭坑で爆発ガスを監視する《苦行僧》と呼ばれる仕事をしていた伝説的な人物。

== Excerpt ==

Cette excavation se composait de plusieurs centaines d'alvéoles, de toutes formes et de toutes grandeurs. On eût dit une ruche, avec ses nombreux étages de cellules, capricieusement disposées, mais une ruche construite sur une vaste échelle, et qui, au lieu d'abeilles, eût suffi à loger tous les ichthyo-saures, les mégathériums, et les ptérodactyles de l'époque géologique!

この地下洞はさまざまな形、さまざまな大きさの幾百もの小部屋からなり、それはまるで、何層もの巣穴が気まぐれに配置された蜂の巣のようであった。といってもそれは途轍もなく巨大なもので、蜜蜂の代わりに、地質時代の魚竜やメガテリウムや翼竜たちがそこに棲めるほどのものであった。

---9章「新アバーフォイル」より

== References ==

last modified on 2005/03/29