その4 方位神

 方位の吉凶については、平安時代から「方違(かたたが)え」といって、行こうとする方角が凶であると、いったん他の方角の地へ行って、そこから方角を変えて目的地へ行くということが盛んに行われました。
 現代でも、迷信とわかっていながら、方位の吉凶を気にする人も結構多いものです。旅行や引っ越しなどの日取りを決める時に、どの日にしようかと迷うなら、案外、方位も気休めになるのかもしれませんが、あまり真剣になると、何もできなくなりますので程々に!

吉神・吉方位

4-1 歳徳神 (としとくじん)

 歳徳神は、その年の福徳をつかさどる吉神で、略して昔は年徳・歳神、または正月さま、としとくさまなどと呼ばれて、広く民衆に崇められていました。 歳徳神の在位する方位は、その年の十干によって決まり、この方位を「明(あき)の方」「吉方(恵方)」ともいい、万事に吉とされる大吉祥の方位です。
 正月には、その年の恵方の方向の神社仏閣へお参りに出かけ、米・塩・おさい銭などをあげて、一年の吉福を祈る恵方参りや、この吉神を家内へ招き入れるために、家に歳徳棚をこしらえて、いろいろなお供物をあげるという行事・習慣もあります。
 歳徳神は、その本人の本命星と一致するときは、とくに大吉とされ、歳徳神の在位する方位を選んで、家屋の建築・普請・造作・結婚・移転・旅行・商取引などを行えば、すべて吉とされます。
 ただし、金神などの凶神と同じに位置している場合は、凶災を被ることもあると説かれています。

[歳徳神の方位]
甲・己の年
甲(寅と卯の間)の方位
乙・庚の年
庚(申と酉の間)の方位
丙・辛の年
丙(巳と午の間)の方位
丁・壬の年
壬(亥と子の間)の方位
戌・癸の年
丙(巳と午の間)の方位

4-2 歳禄神 (さいろくじん)

 歳禄神も吉方位の一つで、その年の天干の十二支の座方に位置して、その一年間の富福をつかさどるといわれます。
 この方位に向かっての旅行・普請・土を動かすこと・結婚・開店・商取引・相談ごとなどは、すべて成就して大成功をおさめる吉方位です。

4-3 歳枝徳

 歳枝徳も吉方位の一つで、太歳神の方位より五年先の十二支の方位に配されます。この吉神は災いを救い、弱きを助けるといわれています。

4-4 歳徳合

 歳徳合も吉方位の一つで、万事に吉で忌むことがないといわれます。
 歳徳神の陽(剛)に対して、歳徳合は陰(柔)で、内輪の事柄に対して吉であると説かれます。
 歳徳合の方位は、その年によって次の方角に変わります。

甲・己の年
巳の方角
乙・庚の年
乙(卯と辰の間)の方角
丙・辛の年
辛(酉と戌の間)の方角
丁・壬の年
丁(午と未の間)の方角
戊・癸の年
癸(子と丑の間)の方角

4-5 生気

 生気は「生気方」の略で、吉方位の一つです。寝たり座ったりする場合、この方角に向かえば病気にかからないといわれています。

一白水星 六白金星、七赤金星の方位
二黒土星 九紫火星の方位
三碧木星 一白水星の方位
四緑木星 一白水星の方位
五黄土星 九紫火星の方位
六白金星 二黒土星、八白土星の方位
七赤金星 二黒土星、八白土星の方位
八白土星 九紫火星の方位
九紫火星 三碧木星、四緑木星の方位

4-6 天道

 天道も吉方位の一つで、天地自然の順理に則し、旅行、移転、結婚などすべてに大吉とされます。
 天徳・月徳と同じ方位にある場合は、さらに増して吉となるといわれます。

正月・九月 午の方位
二月 坤(未と申の間)の方位
三月・七月 子の方位
四月・十二月 酉の方位
五月 乾(戌と亥の間)の方位
六月・十月 卯の方位
八月 艮(丑と寅の間)の方位
十一月 巽(辰と巳の間)の方位

4-7 月徳合 (げつとくごう)

 月徳合は吉方位の一つで、その月の福をつかさどります。その月にあたる十干から定め、日は節切りで、百事に用いて吉とされ、多くの悪が解消し、多くの福が集まる吉方位であると説かれています。

一、五、九月 辛(酉と戌の間)の方位
二、六、十月 巳の方位
三、七、十一月 丁(午と未の間)の方位
四、八、十二月 乙(卯と辰の間)の方位

4-8 天徳

 天徳は火の神(陽神)で、吉方位の一つです。相互に調和して万物の育成に徳があり、吉祥慶福の吉神であるとされ、出産後、胞衣(えな:胎盤など)を納める吉日とされ人々の信仰を集めました。また、建築・移転などにも吉とされ、また、六大方殺以外の凶神ならば、どの凶神と重なっても吉であるとされます。

正月
丁(午と未の間)
七月
癸(子と丑の間)
二月
坤(未と申の間)
八月
艮(丑と寅の間)
三月
壬(亥と子の間)
九月
丙(巳と午の間)
四月
辛(酉と戌の間)
十月
乙(卯と辰の間)
五月
乾(戌と亥の間)
十一月
巽(辰と巳の間)
六月
艮(丑と寅の間)
十二月
庚(申と酉の間)

4-9 天徳合

 天徳よりも格が一枚下の吉方位で、月徳合と同じ性格のものです。
 この方角に向かって事をなせば、幸福が得られるといわれます。

一月
壬(亥と子の間)
七月
二月
なし
八月
なし
三月
丁(午と未の間)
九月
辛(酉と戌の間)
四月
丙(巳と午の間)
十月
庚(申と酉の間)
五月
なし
十一月
なし
六月
十二月
乙(卯と辰の間)

凶神・凶方位

 凶方には「神殺」と「方殺」の二つがあります。神殺とは、八将神(太歳神・大将軍・大陰神・歳刑神・歳破神・歳殺神・黄幡神・豹尾神)と金神、その他の凶神が在泊する方位を称するもので、また、一般に六大凶殺と称されている方殺は、本命・的殺(本命的殺)・五黄殺・暗剣殺・歳破・月破の六つの凶方を指さします。

[神殺]
4-10 金神

 歳徳神の正反対の方位に在るのが金神という凶神で、戦争・大水などをつかさどるといわれます。
 金神は太白星(金星)の精で、金神の方位は、金の精が重なるため、物心すべて冷酷無残となり極めてよくない方角とされて、昔は、鬼門以上に忌み嫌われ、人々に恐れられていました。
 金神は、平安末期の頃から流行し、江戸時代になってその形が整えられたようです。
 金神のいる方角に対して、土木を起こし・旅行・移転・嫁取りなどを厳しく忌むとされています。「金神七殺(ななさつ)」などといい、これを犯せば、家族七人を殺し、その家に七人いなければ、隣りの家の住人まで殺するといわれ、「金神避よけ」といって、昔の人は、万事につけて金神の方向を避けていたそうです。
 古代中国においては、これほどまでの大凶神ではなく、金神の方角に向かって城・宮殿・池・庭園などを造ることを凶とし、その方向へ出兵すれば、必ず負けるとされていただけのようです。
 金神は、その年の十干によって所在方位が異なり、次のようになっています。

 甲と己の年 午・未・申・酉の四方位
乙と庚の年
辰・巳の二方位
丙と辛の年
子・丑・寅・卯・午・未の六方位
丁と壬の年
寅・卯・戌・亥の四方位
戊と癸の年
子・丑・申・酉の四方位

 この金神には、ときどき「遊行」といって遊びに出かける、つまりその日に限っては災難がなくなる、という取り決めの日があり、この遊行日は、遊行する方角以外は安心して何でもできる日になります。
 金神の遊行日は次のとおりです。

乙卯の日より五日間
丙午の日より五日間
辛酉の日より五日間
西
壬子の日より五日間
通年
甲寅の日より五日間
通年
丙寅の日より五日間
西
通年
戊寅の日より五日間
中央(中央は家内のこと)
通年
庚寅の日より五日間
通年
壬寅の日より五日間

 また、吉神と凶神が同じ方位に同座する場合は、吉神が凶神を押さえ込むので、問題のない日になるとか、「金神の間日」といって、金神の方向に対してものごとをしても差し支えない日(春は丑、夏は申、秋は未、冬は酉の日)となるなど、生活上の都合からかいろいろと便宜上の例外ルールがつくられています。
 いつの頃からか、この金神が分けられ、本来の金神を巡金神とし、大金神・姫金神の二神がつけ加えられました。大金神はその年によって方位が一定しており、姫金神は常に大金神と正反対の方位となります。大金神は、その名のとおり大凶神ですが、姫金神はそれほどではないといわれます。

[金神の所在方位]

年の支
大金神
姫金神

4-11 八将神 (はつしょうじん)

 八将神は、陰陽道で、年によって各の方位の吉凶をつかさどるという八神を指します。
 八将軍・八大方位神ともいわれ、毎年、所在する方角が違いますが、これはその年の十二支によって決まり、基本的には一年を通じて変わることはありません。 しかし、年によっては、八将神の所在によって「八方ふさがり」となってしまうため、 中には一定の方位にとどまらず、遊行日と称して特定の日には方位を変える神もいます。
 平昂篤胤の説によると、吉備真備が唐から帰朝して、陰陽道で身を起こそうと考え、牛頭大王を須佐之男命に結びつけて、八将軍を考案したのだといわれますが、なんとも罪作りなことを考えたものですね。
 暦には、八将軍の方位が書かれており、細かくその年の注意事項が記されていました。

 八将神はそれぞれ次の星にあてられました。羅喉星(らこうせい)と計都星(けいとせい)は架空の星です。

[八将神の所在方位]
年の支
太歳
大将軍
大陰
歳刑
歳破
歳殺
黄幡
豹尾

1)太歳神 (たいさいじん)

 太歳神は木星(歳星:別称−だいざい)の精と称されており、四季の万物の生成を皆つかさどる吉神とされ、「太さいねの方此方にむかひて万よし 但木をきらす」などと記されています。
 太歳神はその年の十二支の方角と同方位に位置してその方角を吉方とする。すなわち丑年は丑方に、寅年は寅方に在泊して、その一年をつかさどります。
 家屋建築、普請、造作、移転、商取引、結婚、社員・従業員の雇用など、建設的事業には吉とされますが、
木星は木の性であるところから、太歳神の方向に向かって樹木を伐ったり草刈りをすることは忌み禁じられ、また、掛合いごと、談判、とりこわしなど破壊的なことは、凶となります。ただし植付けなど物を殖することは大吉といわれています。

2)大将軍(だいしようぐん)  

 大将軍は太白星(金星:別称−だいせう)の精で、魔王天王、方伯神ともいわれます。軍人の神様で、気性が強く、金性だから万物を殺伐するという大凶神です。
 「此方三年ふさがり」などと書かれているように、三年同じ方位にとどまって動かないので、一般では「三年ふさがり」と称されて忌まれました。
 この方位に向かって土を動かすこと(井戸掘り、かま塗り)、普請、移転、嫁取り、造作、旅行などをすると、病難、怪我などの災難をこうむるとされます。
 大将軍には遊行日があります。

大将軍の遊行日
甲子〜戊辰までの五日間
丙子〜庚辰までの五日問
庚子〜甲辰までの五日間 西
壬子〜丙辰までの五日間
土用 戊子〜壬辰までの五日間 中央(ただし、中央とは家内のこと)

3)大陰神(だいおんじん)

 大陰神は鎮星(土星:別称−だいおん)の精であり、太歳神の皇妃といわれ、太歳神の方角を三年あとに付き従って変化します。
 学問・芸術に関することはよいが、この凶神はその年の陰事をつかさどるといわれ、この方位へ向かっての縁談・出産など、すべて女性に関したことを忌むとされます。

4)歳刑神(さいぎようしん)  

 歳刑神は水星の精(別称−さいけう)であり、殺罰をつかさどる凶神で、この神がいる方位に向かって種まき・伐木・土を動かすことなどは凶とされますが、この方位に向かって、破壊的事業を営なむことは吉ともされます。

5)歳破神(さいはしん)  

 歳破神は土星の精(別称−さいば)で、大耗ともいわれ、方殺の歳破と同じです。常に太歳神の反対側に位置します。
 この方位に向かっての普請・造作・土を起こすこと・移転・結婚・旅行・畜類を求めることなどは忌むべきこととされていて、これを犯すと、その家の主人に盗難などの崇りがあるなどと言い伝えられています。

6)歳殺神(さいせつしん)

 歳殺神は太白星(金星:別称−さいせつ)の精で、殺気をつかさどり、万物を滅する凶神です。
 この神の位置する方位に向かっての結婚・出産・建築・旅行・金談は忌むべきこととされて、これを犯せば「子孫六畜を傷つく」といわれます。

7)黄幡神(おうばんしん) 

 黄幡神は、月日の光をおおって食を起こすといわれる想像上の羅喉星(別称− わうばん)の精で、土をつかさどる凶神です。摩利支天王ともいい、黄幡神の位置する方位に向かっての建築・移転・門造り・井戸掘りは凶ですが、武芸始め(弓始め)にはこの方角に向かって射れば吉とされています。

8)豹尾神(ひようぴしん) 

 豹尾神は、想像上の計都星(別称− へうび)の精で、黄幡神と反対の方角に位置します。両手に日月をささげ、忿怒の相を備え、不浄を嫌うとされています。
 この神の位置する方位に向かっての大小便をしたり、または牛馬の家畜類を求めることは凶とされています。

[方殺]
4-12 本命殺

 その年の本命星の位置する方位をいいます。この方位に向かって普請・造作・修理・伐木・旅行・結婚・樹木の植え替え・土を動かすことなどすると、必ず何らかの被害をこうむるとされています。

4-13 的殺

 本命的殺ともいわれ、本命星の位置する方位の正反対側にあたる方位です。この方位に相剋の星があるときには、その被害はさらに倍増し、相生の星があるときには、災害は比較的に軽くなるとされます。
 的殺の吉凶は、本命殺とほぼ同じです。また、本命星が中央のときには、的殺はないことになりますが、その年は八方塞がりといって、万事慎むこととされています。

4-14 暗剣殺

 暗剣殺は、その年の五黄殺の正反対側にあたる方位で、名前のとおり、闇夜に背後から斬りつけられるほどの大凶方位として特に有名です。しかし、五黄が中宮にあるときは暗剣殺はない。
 この方位に向かっての結婚・普請・造作・修理・伐木・移転・樹木の植え替え・土を動かすことなどは、厳しく避けるべきであるとされ、この大凶方位を犯すと、降ってわいたような難病、家庭の紛糾、事業の失敗などの災いをこうむることになるとされます。

4-15 五黄殺

 その年の吉凶方位図の、五黄土星が位置する方位を五黄殺といいます。本来、五黄土星は中宮を定位として土徳を備え、その徳は広大にして、その位は重いとされています。
 この五黄土星が、中宮にあるとき(九年に一回)はいいのですが、中宮から外に出ると、その方向は凶方となり、また、その逆方向(暗剣殺)も凶方となるとされるのです。
 五黄殺は暗剣殺ほどではありませんが、吉神の力も撃破してしまうとされていて、この方に向かって事をなすことはすべて凶とされ、特に土を動かすこと・移転・移住は大凶であるとされます。

4-16 歳破

 その年の十二支の反対側の方角をいいます。これは八将神の歳破神とまったく同じで、乗船・転 居・旅行などを忌むとされます。

4-17 月破

 歳破と同じように、月破はその月の十二支の反対側の方角をいいます。
 その月の期間中のみに作用を及ぽす凶方で、この凶方を犯すと、歳破と同一の結果となるとされます。

[歳破と月破の方位]
年 と 月 歳破と月破
子 ( 北 ) 午 ( 南 )
丑 (北々東) 未 (南々西)
寅 (東々北) 申 (西々南)
卯 ( 東 ) 酉 ( 西 )
辰 (東々南) 戌 (西々北)
巳 (南々東) 亥 (北々西)
午 ( 南 ) 子 ( 北 )
未 (南々西) 丑 (北々東)
申 (南西々) 寅 (東々北)
酉 ( 西 ) 卯 ( 東 )
戌 (西々北) 辰 (東々南)
亥 (北々西) 巳 (南々東)

4-18 定位対沖

 九星はその年によって位置が変化していきますが、その星の定位置と反対側にある年が巡ってくることがあります。このときを「定位対沖」といいます。
 この定位対沖のときは、極めて悪い方角であるとされています。

 〇七赤が東に座所するときの東
 〇六白が東南に座所するときの東南
 〇一自が南に座所するときの南
 〇八白が南西に座所するときの南西
 〇三碧が西に座所するときの西
 〇四緑が北西に座所するときの北西
 〇九紫が北に座所するときの北
 〇二異が東北に座所するときの東北

その他の凶方位

鬼門

 東北の方角(艮)のことで、陰陽道では鬼が出入りする不吉な方角として、万事に忌み嫌われていて、鬼方ともいいます。鬼門は、中国の古い『山海経』にある物語がもとになっていますが、中国では鬼門は問題にもされませんでした。 
 江戸時代の略暦には、鬼門方向(鬼門角)に向けての造作・移徒(引っ越し)は忌むべしと記されていましたので、昔の人は家の東北の方角に鬼門除けといわれる神仏を祀ったり(猿など)、桃の木を植えたりして、鬼が家の中へ出入りしないように心がけていたようです。
 今日でも、家の鬼門にあたる方角に対しては、門戸を設け土蔵を建てることを避けており、また水屋・便所・湯殿などを置くことも忌み嫌う風習が残っています。また、江戸では鬼門に上野寛永寺、京都では鬼門に比叡山延暦寺をおいています。
 また、鬼門と反対の南西(坤)を「裏鬼門」と称し、この方角も忌み嫌われますが、鬼門ほど強烈ではありません。
 この鬼門は、他の方位神などと違い、年によって変化せず、常に東北の方角になります。

都天殺

 都天殺は五黄殺に次ぐ凶方とされており、この方位に向かって何事をなすも凶で、もし犯せば、災害をこうむるとされます。

白虎

 白虎は姫金神と同格の凶方で、白虎神とも書きます。毎年その方角を変え、殺伐の気が盛んで、この方位に向かっての普請、土を動かすことなどは忌むべきだとされます。また、この白虎は血の神で、婦人の産事をつかさどることでも有名です。

死符(しふ)

 死符は前年の歳破神・太歳神の後に位置する凶神で、それらの影響が次の年にもまだ残り、災いがあるとされます。この方位に向かって、墓を建てたり、井戸掘りなど土を動かしたりすることは避けるべきだといわれています。

病符

 病符も死符と同ような凶神で、前年の歳破神・大歳神の後で、この方位に向かって新規に事を始めると、病気・災害をこうむることになるとされます。

劫殺・災殺

 劫殺・災殺はともに歳殺に次ぐ凶方で、この方位に向かっての普請・修理・造作・土を動かすことなどは凶であるとされ、もしこの凶方位を犯すと、強盗・殺傷の災いがあるとされます。

蚕室

 蚕室は凶神で、前述した大将軍の后といわれます。したがって、大将軍と似ており、この方位に向かって土を動かしたり、桑の葉を収穫したりすることは忌み禁じられます。蚕室の方位は、年によって次の方角に変わります。

寅・卯・辰の年 乾(西北)
巳・午・未の年 艮(東北)
申・酉・戌の年 巽(東南)
亥・子・丑の年 坤(西南)

日遊神

 日遊神も凶方位の一つで、天一神が天に昇っている間、それに代わって地上に降りてきて、人家に滞在するといわれます。不浄を嫌うといわれ、この神のいる期間は、家内、特に便所・台所を清潔にしておかないと、日遊神の崇りがあるといわれます。