〜フランスの歌をあなたに〜

第二回【ラ・マルセイエーズ】

 え〜っと、久しぶりにフランスの歌を紹介しましょうか。とは言っても、今回は前回のようなフレンチ・ポップスではなく、フランス共和国国歌「ラ・マルセイエーズ」を書いてみましょう。

 一般に、日本の君が代はなんだか華やかさがないとか、天皇賛美の歌だとかと言われて批評の対象とされ、その比較としてアメリカやヨーロッパの国歌を取り上げられたりします。しかし、確かに曲としては欧米の国歌の方が華やかさはありますが、その内容としてはどうなのでしょうか?そこで、これを検証するためにも、ここにフランス国歌を取り上げて、その歌詞の内容を書いてみましょう。

 皆さんは、フランスと聞いて何を連想するでしょうか?芸術家を庇護している花の都パリ、恋人たちのささやきと言われるフランス語、大河の畔などに散在している優雅なお城。たぶん綺麗で優雅なイメージを抱いている人は決して少なくないはずです。そうすると、フランスのあの華やかな国歌も・・・と考えてはいないでしょうか。それでは実際に見てみましょう。

ちなみに、タイトルの「ラ・マルセイエーズ」、「ラ」は名刺の前に着く定冠詞、英語で言えば「 The 」に当たる語で、その後に続いている「マルセイエーズ」は「マルセイユの」という意味の形容詞の女性形とだけ、ヒントを与えておきましょう。では、どうぞ!

 

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フランス共和国国歌「ラ・マルセイエーズ」 “ LA MARSEILLAISE
作詞・作曲:ルジェ・ド・リール

--- 一番 ---
Allons, enfants de la Patrie, Le jour de gloire est arrivé.
(さあ、祖国の子供たちよ、栄光の日がやってきた)

Contre nous, de la tyrannie, L'étandard sanglant est levé,
(我らに向かって、暴君の血塗られた御旗がはためいている)

L'étandard sanglant est levé.
(血塗られた旗がはためいている。)

Entendez-vous, dans les campagnes, Mugir ces féroces soldats?
(戦場で、どう猛な兵士たちがうごめいている音が聞こえるか?)

Ils viennent jusque dans nos bras, Egorger nos fils, nos compagnes!
(息子や仲間たちの首をかっ切りに、ヤツらは我らの元へとやって来ている)

Aux armes, citoyens, Formez vos bataillons!
(武器を取れ、市民たちよ、そして軍を組織せよ!)

Marchons, marchons, Qu'un sang impur Abreuve nos sillons!
(進め、進め、あの汚れた血を我らの田畑に飲み込ませてやるのだ)

--- 二番 ---

Amour sacré de la Patrie, Conduis, soutiens nos bras vengeur;
(母なる祖国の神聖なる愛の女神が我ら復讐の手を導き、支えてくれる)

Liberté, Liberté chérie, combats avec tes défenseurs,
(自由の女神が、愛おしい自由の女神が君を守る者たちとともに戦ってくれる)

Combats avec tes défenseurs.
(君を守る者たちとともに戦ってくれる)

Sous nos drapaux, que la victoire Accoure à tes mâles accents!
(我らが御旗のもと、勝利が君の勇ましい叫びに答えて駆けつけますように!)

Que tes ennemis expirants Voient ton triomphe et notre gloire!
(息も絶え絶えになった君の敵どもが君の勝利と我らが栄光を目の当たりにしますように!)

Aux armes, citoyens, Formez vos bataillons!
(武器を取れ、市民たちよ、そして軍を組織せよ!)

Marchons, marchons, Qu'un sang impur Abreuve nos sillons!
(進め、進め、あの汚れた血を我らの田畑に飲み込ませてやるのだ)
  

 

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 どうでしたか?何ともはや血なまぐさい歌ですねぇ・・・。思いもよらない内容の歌詞に驚かれた方もいるのではないでしょうか?

 この歌詞、フランス革命当時にマルセイユからパリに駆けつけた義勇軍がその行軍の途中で口ずさんだ歌だということから、こう命名されたそうで、元々は1791年4月にストラスブールで作られ、最初は「ライン軍のための軍歌」という名でした。これが、やがて革命で王政が倒壊し、共和政へと移っていく間にいつしか国歌に祭り上げられ、その後の紆余曲折を経て現在にまで至っているわけです。

 もうお気づきの方があるとは思いますが、最初にヒントとして出しておいた女性形形容詞「マルセイエーズ」、これは決して「マルセイユの女」という意味ではなく、本来は「ラ」と「マルセイエーズ」間に入っていたはずの女性名詞「アルメ」が抜け落ちたもので、「アルメ」とは英語ではアーミー、つまり軍隊というわけです。どうりで、血なまぐさいわけだ・・・。

 さて、ここでこの歌を取り上げたのは外国の国歌を非難するためではなりません。国歌の成立にはそれぞれ固有の歴史的価値というものがあるのですから、他国の人間がとやかく言うべきものでもありません。ただ、この様な歌詞を見ていて、こんな歌を日本の国歌にもと思う人はあまりいないんではないでしょうか?これはフランスに限ったことではなく、欧米の国歌は往々にしてこの傾向が強く出ているようです。

 そう言えば、今のドイツの国歌にしたって、ヒトラー時代からずっと流されてきたものですしね。それを考えれば、君が代が天皇擁護の歌だという言い方はむしろ欧米からすれば愚かな意見だと捉えられても仕方がないのではないでしょうか?

 それじゃ、今回はこのへんで。
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©Tatsu January 9,2000 at ML 「月の雫」