米国軍艦 機関部データ集

第4章 公試成績


公試中の戦艦ニュー・ヨークUSS New York BB34。黒煙と艦首波が素晴らしいが、どちらも非効率の象徴である。


4-1. 排水量・速・出力


4-1-1. 戦艦

Name D Dt Vd Vt Nd Nt Qd Qt Wm Qt/Wm
Maine 6,650 5,500 17.0 17.45 8,750 9,171 913 10.0
Indiana (BB1) 10,225 10,225 15.0 15.55 9,000 9,498 1,029 9.2
Oregon (BB3) 10,250 16.79 10,890
Iowa (BB4) 11,410 11,363 16.0 17.09 11,000 11,834 985 12.0
Kearsarge (BB5) 11,540 11,550 16.0 16.82 10,000 11,788 1,295 9.1
Illinois (BB7) 11,565 11,540 16.0 17.45 10,000 12,757 1,278 10.0
Alabama (BB8) 11,565 17.0 11,207 1,213 9.2
Wisconsin (BB9) 11,653 17.1 12,452 1,278 9.7
Maine (BB10) 12,846 12,300 18.0 18.0 16,000 15,693 1,603 9.8
Missouri (BB11) 12,300 18.15 15,845 1,316 12.0
Ohio (BB12) 12,440 17.8 15,950 1,371 11.6
Virginia (BB13) 14,948 14,980 19.0 19.01 19,000 22,841
Nebraska (BB14) 14,865 19.06 21,283
Geogia (BB15) 14,963 19.26 25,088
New Jersey (BB16) 14,930 19.18 23,089 2,163 10.7
Rhode Island (BB17) 14,920 19.01 20,310
Connecticut (BB18) 16,000 18.0 18.78 16,500 19,819
Louisiana (BB19) 16,000 18.82 20,748 1,627 12.8
Vermont (BB20) 18.33 17,982
Kansas (BB21) 18.09 19,545
Minnesota (BB22) 18.85 20,235
New Jersey (BB25) 18.16 17,100
Mississippi (BB23) 13,000 13,000 17.0 17.11 10,000 13,361 996 13.4
Idaho (BB24) 17.12 13,765
Michigan (BB27) 16,000 16,064
16,016
18.5 18.79
18.8
121 16,500 16,313
16,016
1,651
1,854
9.9
8.6
Delaware (BB28) 20,000 -
-
21.0 -
21.44
128 25,000 -
28,570
-
-
-
-
North Dakota (BB29) 20,020
-
21.01
21.83
31,635
33,875
2,148
-
14.7
-
Florida (BB30) 21,825 -
-
20.75 -
22.08
28,000 -
40,511
-
-
-
-
Utah (BB31) 21,282
-
21.04
21.04
27,445
27,026
2,111
2,064
13.0
13.1
Wyoming (BB32) 26,000 -
-
20.5 -
21.22
28,000 -
31,437
-
2,095
-
15.0
Arkansas (BB33) 25,546
-
21.22
21.05
28,787
28,537
2,178
2,178
13.2
13.1
New York (BB34) 27,000 -
-
21.0 -
21.47
125 28,100 -
29,687
-
2,048
-
14.5
Texas (BB35) 26,132 21.13
21.05
-
124.5
28,850
28,373
2,452
1,971
11.8
14.4
Nevada (BB36) 27,500 27,222
-
20.5 20.90
20.53
26,500 26,291
23,312
1,971
1,880
13.3
12.3
Oklahoma (BB37) -
-
-
20.58
24,800 -
21,703
-
1,998
-
10.9
Pennsylvania (BB38) 31,400 30,812
-
21.0 21.05
21.05
220 31,500 29,366
29,366
2,399
2,396
12.2
12.2
Arizona (BB39) -
-
-
21.0
240 34,000 -
33,376
-
2,462
-
13.6
New Mexico (BB40) 32,000 32,000
-
21.0 21.08
21.08
165 168
-
29,000 31,197
31,197
2,588
2,351
12.1
13.3
Idaho (BB41) -
-
-
21.29
-
33,100
-
2,285
-
14.5
Mississippi (BB42) -
-
-
21.09
-
31,804
-
2,298
-
13.8
Tennessee (BB43) 32,300 32,878 21.0 21.01 170 167.2 26,800 30,229 2,045 14.8
California (BB44) - 21.46 - 1,805 -
Colorado (BB45) 32,600 33,589 21.0 20.67 170 175.4 28,900 29,439 - -
Maryland (BB46) 32,655 21.07 171.2 29,575 - -
West Virginia (BB48) 33,287 21.09 175.4 30,487 2,867 10.6
Washington (BB56) 35,000 43,166
-
27.0 26.15
-
199
-
121,000 -
-
3,326
-
-
-
Alabama (BB60) 35,412 42,740
-
27.5 27.08
-
130,000 133,070
-
3,442
-
38.7
-
Iowa (BB61) 45,000 -
-
32.5 -
-
212,000 -
-
4,836
-
-
-
(Montana) (BB67) 60,500 -
-
28.0 -
-
172,000 -
-
4,738
-
-
-

Name: 艦名、斜体はWW1後の建造を示す
D: 常備排水量 [T]、または基準排水量 [T]
Dt: 公試排水量 [T]
Vd: 計画速力 [kt]
Vt: 最大速力 [kt]
Nd: 計画推進軸回転数 [rpm]
Nt: 最大推進軸回転数 [rpm]
Qd: 計画出力 [hp]、レシプロ機関は指示馬力、タービン機関は軸馬力を示す
Qt: 最大出力 [hp]、同上
Wm: 機関部重量 [T]
Qt/Wm: 機関部重量当り最大出力 [hp/T]
ミシガンBB27以降の公試排水量、最大速力、最大出力など、上下2段併記は上段がFriedmanの著書、下段がBreyerの著書に拠る

<解説>
機関部重量当り最大出力を見ると、コロラド級BB45-48までは15hp/T以下ですが、1939年起工のサウス・ダコタ級BB57-60では約39hp/Tと、高温高圧缶と2段減速タービンの採用によって著しく増大しているのが判ります。

テキサスBB35の公試データの詳細については、下記サイトを参照願います。
http://www.gwpda.org/naval/w07texmc.htm


4-1-2. 大型巡洋艦/巡洋戦艦/重巡洋艦

Name D Dt Vd Vt Nd Nt Qd Qt Wm Qt/Wm
New York (ACR2) 8,150 8,480 20.5 21.09 16,000 17,075 1,577 10.8
Brooklyn (ACR3) 9,212 8,150 20.0 21.91 16,000 18,249 1,641 11.1
Pennsylvania (ACR4) 13,680 13,817 22.0 22.436 23,000 28,600 2,185 13.1
West Virginia (ACR5) 13,720 22.146 25,726 - -
California (ACR6) 13,750 22.2 29,658 - -
Colorado (ACR7) 13,785 22.224 26,154 - -
Maryland (ACR8) 13,749 22.406 27,571 2,071 13.3
South Dakota (ACR9) 13,750 22.24 28,158 2,185 12.9
Tennessee (ACR10) 14,500 14,639 22.0 22.44 127.4 23,000 26,534 - -
Washington (ACR11) 14,600 22.27 26,862 - -
North Calorina (ACR12) 14,847 22.481 29,225 - -
Montana (ACR13) 14,531 22.26 27,489 2,152 12.8
Lexington (CV2) 43,500 - 33.25 34.59 317 320 180,000 209,700 - -
Saratoga (CV3) - 34.64 325 212,300 - -
Salt Lake City (CA25) 10,000 10,524 32.5 32.78 107,000 107,746 1,923 56.0
Louisville (CA28) 10,000 10,503 32.5 32.76 107,000 109,049 2,114 51.6
Indianapolis (CA35) 10,000 11,192 32.5 32.65 107,000 107,000 2,014 53.1
Tuscaloosa (CA37) 11,515 11,500 32.75 32.36 107,000 107,378 2,120 50.7
Wichita (CA45) 11,581 33.6 100,000 1,864

Name: 艦名、斜体はWW1後の建造を示す
D: 常備排水量 [T]、または基準排水量 [T]
Dt: 公試排水量 [T]
Vd: 計画速力 [kt]
Vt: 最大速力 [kt]
Nd: 計画推進軸回転数 [rpm]
Nt: 最大推進軸回転数 [rpm]
Qd: 計画出力 [hp]、レシプロ機関は指示馬力、タービン機関は軸馬力を示す
Qt: 最大出力 [hp]、同上
Wm: 機関部重量 [T]
Qt/Wm: 機関部重量当り最大出力 [hp/T]

<解説>
ニュー・ヨークACR2の受領公試では、右舷前部主機の高圧気筒のクランクピンが帯熱し、ホースで冷水を浴びせた他は、主機の作動はきわめて好調であったようです。

ブルックリンACR3の受領公試では、ポカホンタスの手掘り炭を使用し、20ノットの計画速力に対して平均最大21.91ノットをマークし、建造所のクランプ社は35万米ドルのボーナスを受け取りました。

米海軍造機部では、ニクローズ缶とバブコック&ウィルコックス缶の煤煙放射比較試験を企画し、ペンシルヴェニア級の4隻の公試において10分ごとに写真を撮影しました。その結果、前者のペンシルヴェニアACR4、コロラドACR7がグレーの淡煙、後者のウェスト・ヴァージニアACR5、メリーランドACR8が黒色の濃煙で、「石炭喰い」と評された前者のほうが煤煙はむしろ少ないことが判明しました。
ペンシルヴェニアACR4の公試では、試験的に主缶使用圧力を17.6kg/cm2から21.1kg/cm2に増大したところ、毎時の石炭消費量が30.77Tと、ウェスト・ヴァージニアACR5の同40.57Tの約24%減となることが判明しました。主機の振動はきわめて小さく、クランクピンの帯熱も無かったと伝えられています。
ウェスト・ヴァージニアACR5の公試では、左舷主機の回転数を右舷主機よりも3〜4rpm落とさないと直進しないことが判明しました。ドック入りして推進器を調査したところ、左舷推進器のピッチが約150mm (6in) 大きいことが判明し、これを修正した結果、両舷主機の回転数を同一としても直進することが確認されました。
カリフォルニアACR6の公試では、重力給油式の潤滑系統の不調から主機のクランクピンが著しく帯熱し、ついにコンロッドのビッグエンドメタルが融け出し、クランクシャフトも損傷しました。修理後もこの癖は直らず、結局、強圧給油式に変更し、この問題を解決しました。
コロラドACR7の公試では、主缶も主機も好調で、主缶は主機の必要とする以上の蒸気を経済的に供給できたと伝えられています。燃料はポカホンタスの手掘り炭でした。
メリーランドACR8の公試では、開始直後に左舷給水加熱器のポンプが故障したため、冷水を主缶に直接注入せざるを得なくなりましたが、契約速力(コントラクト・スピード)の発揮には支障無かったとされています。
サウス・ダコタACR9の公試では、やはり主缶の蒸発能力に余裕が有り、「火夫はほとんどの時間、ショベルの柄にもたれかかっていた」と伝えられています。
全般にペンシルヴェニア級は、ファインな船型と主缶の蒸発能力に助けられ、最大速力24ノットも可能と見られましたが、主機の故障を恐れて契約速度を僅かに上回ったところで受領公試を打ち切ったようです。

テネシーACR10の公試では、開始後1時間を過ぎた頃から右舷主機の艦首側低圧気筒のクランクピンが帯熱したため、いったん公試を打ち切りました。応急修理後に再開したところ、今度は1時間半後に右舷給水加熱器が故障し、給水温度が104℃から18℃に低下しましたが、公試は続行され、契約速度に達したため、合格と判定されています。
ワシントンACR11の公試は、上質なポカホンタスの手掘り炭のおかげで好調に進行しました。1缶室当りの人員は、給水係1名、火夫4名、石炭繰り2名、見習い1名で、1火室当り72秒ごとに石炭がくべられました。
ノース・カロライナACR12の公試ではなかなか初期の成績が出ず、満を持して挑んだ4回目の最終公試で、上質なナッテルバーグの手掘り炭のおかげで缶圧も上がり、建造所のニューポート・ニューズ社は契約速力未満1/4ノットごとに5万米ドルとされたペナルティを免れることができました。
モンタナACR13の公試では、契約速力ぎりぎりの22.03ノットであったため、主機の弁調整ヴァルヴ・セッティングをし直し、ナッテルバーグの手掘り炭を使用するなどした結果、おりから風力が増しつつあるにもかかわらず、平均最大速力22.26ノットを記録することができました。

こうしてみると、受領公試に際しては、当時の未熟な造機技術もさることながら、建造所の手練手管と、当局担当官の手心が見え隠れしているようです。

レキシントンCV2とサラトガCV3は、ともに航空母艦に改造された状態での数値を示しています。

機関部重量当り出力を見ると、装甲巡洋艦の各級は14hp/T以下にとどまっているのに対し、重巡洋艦の各級は50hp/T以上 へと著しく増大していますが、これも高圧缶と2段減速タービンの採用によるものです。


4-1-3. 偵察巡洋艦/軽巡洋艦

Name D Dt Vd Vt Nd Nt Qd Qt CC1 CC2 E Ns
Chester (CS1) 3,750 3,673 24.0 26.52 614 16,000 - 17.11 - P 4
Birmingham (CS2) 3,720 24.325 191 15,540 13.35 0.87 4VTE 2
Salem (CS3) 3,751 25.947 378 19,200 17.19 0.82 C 2

Name: 艦名、斜体はWW1後の建造を示す
D: 常備排水量 [T]、または基準排水量 [T]
Dt: 公試排水量 [T]
Vd: 計画速力 [kt]
Vt: 最大速力 [kt]
Nd: 計画推進軸回転数 [rpm]
Nt: 最大推進軸回転数 [rpm]
Qd: 計画出力 [hp]、レシプロ機関は指示馬力、タービン機関は軸馬力を示す
Qt: 最大出力 [hp]、同上
CC1: 毎時石炭消費量 [T/h]
CC2: 1hp毎時石炭消費量 [kg/hp-h]、タービン機関は軸馬力を指示馬力に換算(×1.11)
E: 主機形式、4VTEは4気筒直立3段膨張レシプロ機関、Pはパーソンズ式直結タービン、Cはカーチス式直結タービンを示す
Ns: 推進軸数、チェスターCS1は翼軸高圧、内軸低圧の2軸並列cross compoundタービン

<解説>
1904年度に計画された、偵察巡洋艦チェスター級CS1-3の3隻は、チェスターCS1がパーソンズ式直結タービン、バーミンガムCS2が4気筒直立3段膨張レシプロ機関、セイラムCS3がカーチス式直結タービンをそれぞれ搭載して建造されました。
4時間全力公試の結果は前表に示すごとくで、速力ではタービン推進の2隻がバーミンガムCS2を大きく上回りました。また、燃費でも速力の全域にわたってレシプロ機関を上回り、その分航続距離が延びることが判明しています(下図参照)。「タービン推進の燃費が悪い」という見解は、それぞれの最大速力時(下図右端部)の燃費を比較したもので、同一速力での比較でないため、当を失したものと考えられます。


<以下工事中>


4-1-4. 駆逐艦

<工事中>


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