そのほかの天気の言葉

【ミリバールとヘクトパスカル】

日本では戦後およそ50年間気圧の単位にmbが使われていました。そして、平成4年12月1日から、現在のhPaが使われるようになりました。ではなぜ気圧の単位を変える必要があったのでしょうか。
単位は国際的に基準が決められています。重さはキログラム、長さはメートル、時間は秒、そして圧力の単位はパスカルです。これらの単位に統一するため、気圧の単位にはhPaが使われるようになりました。気圧の単位がパスカルではなく、あえてhPaが使われるようになったのには訳があります。ヘクトは100倍という意味です。つまり、1hPaのhは100倍という意味で、1hPaは100パスカルです。そして、1hPaは1mbと同じです。単位がmbからhPaに変わっても数字は変わりなく、そのまま使えるのです。 次に、過去の台風が日本に上陸したときの気圧を見てみましょう。昭和9年の室戸台風は911・6mbで、ヘクトパスカルでも同じ911・6hPaでした。昭和34年の伊勢湾台風は929・2hPaでした。伊勢湾台風の時には海の上での気圧も観測できるようになっていて、最低気圧は895hPaでした。そして、平成3年の台風19号の上陸時の気圧は940hPaで、海の上での最低気圧は925hPaでした。
このように単位は変わっても数字としては違いはないのです。

【雷は何でごろごろ言うの?】

雲と地上との間にのびる稲妻は空気の中を通る時、その通り道にある空気を一瞬にして1万度以上という非常に高い温度に暖めます。空気は暖められるとふくらむ性質があります。音は空気が震えることで鳴りますが、空気は急にふくらむときも震えます。これが雷の音なのです。近くに雷が落ちるとバシャーンという非常に大きな音がします。
でも、遠くで鳴っている雷は「ゴロゴロ」と聞こえます。これは雷からの距離と音の性質が関係しています。雷は一瞬のうちに何度も落ちています。そして、雷の音は落ちるたびに音を出しているのです。雷は瞬間的に何度も落ちますが、その音は近くで聞くと一つの音に聞こえます。でも、離れた所で聞くとそうではありません。たくさんの音が空気中を進むとき、音同士が影響しあいます。それぞれの音が強めあったり、弱めあったりしながら進むのです。このため、離れた所で雷の音を聞くと、「ゴロゴロ」と聞こえるのです。
雷のゴロゴロという音が聞こえ始めたら早めに安全な所に逃げるようにしましょう。

【五月晴れと五月雨】

実はどちらの言葉も旧暦5月を表現したことばです。だから、これは「ごがつばれ」とはあまり言わないですよね。旧暦と現在使われている暦との対応は年によって違いますが、旧暦の5月は今の暦にすると大体6月頃にあたります。この時期は梅雨の真っ最中です。こうした旧暦5月の言葉は梅雨の季節を表現したことばなのです。
五月晴れは旧暦5月の晴れ間のことです。つまり、今の言葉で言う「梅雨の晴れ間」がまさに五月晴れにあたります。明治政府が旧暦から今の暦に変えて以来、五月晴れは時代と共に意味が変わってきたことばでもあります。今では5月のすがすがしい青空をさして五月晴れと言うことがあります。梅雨の晴れ間も、5月のすがすがしい空も人々が待ち望んだ青空という点では変わりありませんね。
一方の五月雨は「旧暦5月の雨」のことで、「さつきあめ」とも呼ばれています。五月雨は今の言葉で言う「梅雨の雨」にあたります。五月雨は旧暦を使っていた頃、5月になると毎日のようにしとしとと降り続く雨のことを表した言葉なのです。

【秋の気温変化】

秋は冬に向かって日に日に寒くなる季節です。名古屋の10月の最高気温は22度くらいで晴れた日には30度位まで上がることががあります。一方、最低気温は13度くらい。3月の最高気温と大体同じくらいになります。3月と言えば、まだコートが手放せない季節で寒いですよね。このように、秋は一日の中に夏と冬があるようなものです。
一日の最高気温と最低気温の差の天気による違いを、過去3年間の10月の天気と気温から調べてみました。太平洋側の名古屋では雨の日には3度しか変わらず、曇りでは7度の違いです。しかし、晴れた日には、朝から日中にかけて10度くらい気温が上がります。日本海側の金沢では雨の日は5度くらいの違いですが、晴れた日には9度違います。また、内陸部の高山では雨の日の一日の気温差は4度ですが、、晴れた日には13度も違っています。調べた期間の中では朝の最低気温が2度7分だったのに、日中は20度も気温が上がって22度5分になった例がありました。なぜ晴れた日には一日の気温の差が大きくなるのか見てみましょう。晴れた夜には地上付近の熱が宇宙へ逃げる放射冷却が起こって気温が下がり、最低気温は低くなります。
一方、日中はたっぷりの日差しを浴びてぐんぐん気温が上がります。このため最高気温が高くなります。高山のような内陸部では海やほかの土地からの空気が入りにくいため、このような現象がはっきりと現れます。

【秋の青空】

秋の青空は大陸からやってくる移動性高気圧によってもたらされます。移動性高気圧は春と秋の天気図の代表です。しかし、春は「春霞」と言われるようにかすんだ青空なのに対し、秋は「秋晴れ」の言葉通り、澄んだ青空が広がります。これは春と秋では移動性高気圧の性質が少し違うからなんです。
春の移動性高気圧は発達しやすく、高気圧の後ろ側が大きくなります。すると南から暖かく湿った空気が入るために、晴れていても空気中の水分が多く、かすみます。
一方、秋の移動性高気圧は弱まりながら日本付近を通過することが多くなります。暖かく湿った空気の流れ込む高気圧の後ろ側が春の高気圧と比べて小さくなります。つまり、晴れている時は大陸から直接運ばれてきた冷たくて乾いた空気に覆われているのです。このため、秋は澄んだ青空が広がります。 また、春と秋の青空の違いは日差しの強さも関係しています。春は日差しが強く、地面を暖めて上昇気流が起こりやすくなります。このため、ホコリやチリを巻き上げてかすんでしまいます。一方、秋は日差しが弱まってきているので、春ほど上昇気流は起こりやすくありません。上昇気流が起こっても、夏の間に育った植物のおかげでホコリやチリが舞いにくくなっています。
それに加えて、秋は台風の季節。台風は上空のチリやホコリまで吹き飛ばします。このため、台風が過ぎた後は澄み渡った台風一過の青空が広がります。
台風も秋のさわやかな青空に一役かっているといえます。

【小春日和】

冬の入り口のころのぽかぽか陽気を「小春日和」とよびます。
「小春」とは旧暦の10月の別名で、今の暦で言えば、大体11月から12月の始めにかけてのこと。晩秋から初冬にあたります。また、「日和」は穏やかな晴れの天気のことをいいます。小春日和とは、この時期の穏やかな晴れの天気を指している言葉なんです。冬を前に現れる暖かな晴れの天気は本当に気持ちがいいもので、2度目の春と言えるような天気になります。
冬型の気圧配置が緩んで、西から大きな移動性高気圧がやってきて、日本列島がすっぽりと高気圧に覆われたとき、よく小春日和となります。このように高気圧に覆われると穏やかに晴れて、日中の気温が上がります。
気温で見ると、人の活動に適した20度ぐらいまで上がる日が小春日和と呼ばれます。
20度というと、平年値で見て10月中旬から下旬の気温ですね。ちょうど季節が1か月くらい戻った感じになります。ただ、寒さをもたらした冬型の気圧配置が緩んだ後なので、余計に暖かく感じられるんです。
移動性高気圧の勢力によりますが、時には小春日和が2、3日続くことがあります。暖かさと寒さをくりかえしながら、次第に冬に近づいて行きます。
もう少し季節が深まって、12月中旬を過ぎると小春日和という言葉は使えません。「冬日和」と表現します。ここしばらくは小春日和を楽しみたいものです。

【霜と霜柱】

まず、霜というのは空気中に含まれる水分が冷やされて地面の表面などにできた氷です。地面が冷えて0度以下になったとき、地面に触れた空気が冷やされて霜が出来ます。つまり、空気中の水分が氷になったのが霜です。
一方、霜柱というのは、空気中ではなく土の中の水分が凍ってできるものです。土の中の水分が、細かい土の粒の間をのぼって、0度以下の地表に達したとき、水分が凍ります。土の中からどんどん水分が上がってくるので、そのつど押し上げられて、次第に氷がのびていき柱状になります。
霜と霜柱、言葉は似ていますが、実は全く違うものなのです。霜や霜柱は地面付近が0度以下になると出来るとお伝えしましたが、実際には最低気温が2度や3度でも霜が降りたり、霜柱が出来ることがあります。この理由は、気象台などで観測される気温は、地上1メートル50センチぐらいの所で測ったものだからです。良く晴れた冬の朝など、地表の熱が奪われる放射冷却の現象が起きたときには、地上1メートル50センチの所よりも地面の付近の方がずいぶん気温が低くなることがあります。
このため、気象台の温度計が2度や3度でも地面付近は0度以下になることがあって、霜が降りたり、霜柱が出来たりするのです。最低気温が大体2度から4度以下だと要注意で、秋や春には霜注意報が出ることがあります。

【霜注意報】

まず、霜注意報とは、霜によって農作物に著しい被害が予想される場合に出される注意報です。ですから、被害を受ける農作物のない時には発表されません。このため、霜注意報は真冬には発表されず、被害を被る農作物が育てられていて、霜が降りるか降りないか微妙な季節、つまり春や秋に発表されます。
霜は、秋の季節はずれに早い霜を早霜、晩春から初夏にかけての霜を遅霜と言います。これら早霜と遅霜に対して霜注意報は発表されるのです。
霜注意報は発表する気象台によって少しずつ基準が違います。
東海北陸地方では、対象期間は毎年異なりますが、遅霜は春から初夏にかけてで、今年は3月下旬頃から5月上旬頃の所が多くなっています。早霜は岐阜県や静岡県は年によって発表するかしないかを決めていて、そのほかではほとんど発表していません。去年の秋は東海北陸地方では岐阜県だけが11月に発表していました。
霜注意報は翌日の朝に冷え込んで霜が降りそうな時に発表されますが、最低気温が3度から4度以下になると予想されるときに発表するところが多くなっています。岐阜県や富山県ではとくに基準は決めておらず、霜が降りそうな時に発表しているそうです。
これからの季節は早霜の季節にあたります。霜注意報が発表されたときには、農作物に被害が予想されるときです。霜の被害に充分気をつけてください。

【冬日・真冬日】

冬日というのは最低気温が0度未満の日のことです。日中いくら暖かくなっても一番寒いときの気温が氷点下なら冬日となります。これに対して、真冬日というのは最高気温が0度未満の日を言います。つまり、日中も気温が上がらず一日を通して氷点下の日を真冬日と呼びます。
東海北陸地方の平年値では冬日は40日ぐらいの所が多くなっていますが、高山の冬日は124日もあります。1年の3分の1を越えています。これは札幌と同じくらいなんです。
朝の冷え込みの厳しさに限れば、札幌並と言えますが、日中はそうでもありません。日中の最高気温が氷点下の真冬日は、札幌では48日なのに対し、高山は12日と4分の1ぐらいです。
高山に冬日が多くなるのは、高山のような盆地の場合は、冷気湖という現象が起きやすいからです。夜から明け方にかけてよく晴れ、放射冷却現象が起きると、冷えた空気が斜面に沿って盆地の底に溜まる冷気湖という現象が起こります。このため、朝晩の冷え込みが厳しくなるんです。しかし、札幌のように上空まで冷たい空気に覆われているわけではないので、日中は暖かくなります。だから、札幌に比べて真冬日の日数は少ないんです。
冬の間、高山などの内陸部では北海道並の冷え込みになる日があるので、朝晩の寒さに気をつけてください。

【寒さの種類】

寒さを引き起こす原因によって寒さは「風冷え」「底冷え」そして「しけ寒」と、大きく3つに分けることができます。
それぞれどんな寒さなのか見てみましょう。まず、風冷えは強い風によって引き起こされる寒さです。典型的なものには、木枯らしやおろしがあります。これらは冬の東海地方にたびたび寒さをもたらすものです。風が強いと体の表面の熱が奪われたり、体と衣類の間の暖まった空気が吹き払われてしまうために寒く感じます。風速が1メートル増すごとに体感温度が1度下がるといわれますが、これが風が引き起こす寒さなのです。
底冷えとは、空気が冷え切っているために感じる寒さで、沿岸部よりも高山などの内陸の地方に多く現れます。放射冷却現象による低温が原因で、晴れて風が穏やかな夜に顕著です。特に空気が乾燥していれば、熱や水分が奪われやすいため底冷えも厳しいものになります。
はい。そしてしけ寒は雪や雨の降る湿度の高い時の寒さです。冬の間、湿度が高い北陸地方で感じることの多い寒さでしょう。夏場は湿度が高いほど蒸し暑く感じるため、湿度が高い方が温度を高く感じるイメージがあるかもしれません。しかし、ある程度以上冷えると湿度が高いほど寒く感じるようになり、その境目は、ある研究によれば10度ほどだといわれています。
このように寒さには種類があって、同じ東海北陸地方でも、地域によって寒さの種類が違っているのです。


気象のぺぇじ