駆動系



2001.04.01 UP

プロペラシャフト (PROPELLER SHAFT)
FR車の場合、トランスミッションからリアのデフまでを、床下を通した長いシャフトで動力を伝える。このシャフトがプロペラシャフトで、FF車やRR車には付いていない。通常プロペラシャフトはミッション側とデフ側に2分割されており、前後の接続にはセンターベアリングが使われている。また、トランスミッション及びリアデフとの接続にはジョイントが使われている。
プロペラシャフトの材質は鋼鉄が一般的だが、合金やカーボンなどの複合素材を使ったものもある。MINE'sのカーボンプロペラシャフトは高価ではあるが1本の形状に成型されており、シャフトの軽量化によってレスポンスの向上が図られている。
MINE'S
カーボン プロペラシャフト
ジョイント (JOINT)
ジョイントとは継ぎ手のこと。通常の前後に2分割されたプロペラシャフトでは、ミッションとのジョイント・前後シャフト同士のジョイント・リアデフとのジョイントの3個所に配置されている。ミッションやデフは常に振動しているため、シャフトで直結して固定すると接続部分が損傷する。そこでそれぞれの連結部分には、回転しながら自由に動くジョイントが必要になる。この自在継ぎ手のことをユニバーサル ジョイントという。機構的には複数の金属ボールを使って上下・左右に動くようになっているものが多いが、軸方向にもスライドして前後の衝撃を吸収するタイプのものもある。
等速ジョイント (CONSTANT VELOCITY UNIVERSAL JOINT)
ジョイントは継ぎ手のこと。等速ジョイントは入力駆動軸と出力駆動軸間の速度差がなく、等しい速度で回転する構造のジョイントのことで、トランスミッションとプロペラシャフト間のジョイントは等速ジョイント。
デフ(デファレンシャルギヤ) (DIFFERENTIAL GEAR)
FR車の場合、プロペラシャフトの回転をドライブシャフト(車軸)の回転へと90度方向変換するギヤが必要になるが、一般的にはその装置がデファレンシャルギヤ(デフ)と呼ばれている。このギヤは動力の向きを変えるだけでなく、トランスミッションでは減速しきれない分を減速する働きもしているが、これを正式にはファイナルドライブギヤという。本来デファレンスとは「差」のいみで、ディファレンシャルギヤはファイナルドライブギヤの内部にある差動ギヤのことをいう。
動力の方向変換及び減速に使われるのは、FR車の場合ベベルギヤである。プロペラシャフトの先端に三角錐形で斜めに歯を切ったギヤを接続し、ドライブシャフトには円盤形のこちらも斜めの歯を持つリングギヤを組み合わせて、方向変換と減速を行っている。減速比は通常4:1くらいのレシオになっている。
いわゆるデファレンシャルギヤ(差動ギヤ)の目的は、車がカーブする時に出来る内外輪差で左右のタイヤの移動する距離が違ってくるため、外側と内側のタイヤの回転数に自動的に差を許しながら力を伝えることにある。構造は4枚のベベルギヤをかみ合わせてあり、その両端に左右のドライブシフト(車軸)が接続されている。この4枚のベベルギヤはそのケースごとファイナルドライブのクラウンギヤ(リングギヤ)に装着されて一緒に回転する。カーブで一方のタイヤの回転が遅くなれば、相対的に反対側は速く回転する仕組みになっている。この装置がないとどちらか一方のタイヤは回転が抑制され、ブレーキを掛けた状態になってしまう。
最終減速比 (FINAL GEAR RATIO)
デフ(ファイナルドライブギヤ)の減速比のことで、ファイナルギヤレシオともいう。エンジンの回転は減速することで回転数は落ちるが力は強くなる。通常減速はトランスミッションで4.0倍がら0.6倍くらいの範囲で行うが、これではまだ減速不足なので、デフ(ファイナルドライブ)で3〜4倍に減速される。このデフによる減速比を最終減速比という。トランスミッションの減速比と最終減速比を掛けたものが総減速比(オーバーオール ギヤレシオ)で、エンジン回転とタイヤの回転の比率である。
(GT-Rの最終減速比) R33:4.111、 R34:3.545
速度計算
トランスミッションの減速比と最終減速比及びタイヤサイズから、自分の車の速度計算が可能になる。ここでは、私の車を例に挙げて計算してみよう。
BCNR33 4ドア オーテックバージョン、タイヤサイズ : RE711 245/40-R18(外径:654mm)
減速比 : (1)3.214、(2)1.925、(3)1.302、(4)1.000、(5)0.752、(FINAL)4.111
この車で1速から5速まで、8000rpmまで回した時のスピードを計算してみると以下の通りとなる。
計算式 : 回転数÷ギヤ比÷最終減速比×タイヤ外径(mm)×π×60÷1000000(mmをkmに変換)
(1速)8000÷3.214÷4.111×654×3.14×60÷1000000=74.6km/h
(2速)124.5km/h、(3速)184.1km/h、(4速)239.7km/h、(5速)318.8km/h
ただし、これは理論値であって、実際のスピードとは異なる。
ドライブシャフト (DRIVE SHAFT)
駆動輪を回転させるシャフトで、デフ(ファイナルドライブ)からホイールまでをつなぐ。独立懸架ではデフは車体に固定されているが、両側の車輪が独立して動くため、自在に上下するシャフトが使用されている。中央のデフから左右半分ずつを駆動するため、ハーフシャフトと呼ぶこともある。
ドライブシャフト ブーツ (DRIVE SHAFT BOOTS)
ドライブシャフトとホイールの接続部分を覆っているゴム製のカバー。コイルスプリング状に加工してあり、タイヤ(ホイール)の動きに追随しやすい構造になっている。接続部分を汚れや水から守る役目をしているが、このブーツはサーキットや峠などで激しい運転をすると破れることがある。
トランスアクスル (TRANS AXLE)
アクスルとは車軸のことで、トランスアクスルはトランスミッションとアクスルの合成語。トランスミッションとアクスル(ファイナルドライブ)が一体になっているものを指す。FF車やRR車はエンジンとミッションが駆動軸の近くにあるため、ファイナルドライブと一体にした方がスペース的にも構造的にも都合がいい。FR車でもエンジンからミッションを切り離し、後軸のファイナルドライブとミッションを一体化して、車の前後の重量配分を良くしているものもある。
4WD(4輪駆動) (Four Wheel Drive)
自動車の4輪に同時に動力を伝えて駆動するシステム。4 Wheel Driveの略で日本語では四輪駆動とか四駆などと呼んでいる。急な坂道や凹凸の多い悪路、滑りやすい路面などの走破性が良いことから、最初はクロスカントリー車に普及したが、高速直進安定性にも優れているため、最近では高性能スポーツカーから普通乗用車にまで採用されるようになっている。エンジンの動力をトランスファーと呼ばれるトルク分割装置で前後の車軸に振り分けて、4輪を同時に駆動させる仕組みになっている。駆動方法の違いによってパートタイム4WDとフルタイム4WDに分類される。
パートタイム4WD (PARTTIME 4 WHEEL DRIVE)
4WDのうち通常は2輪だけを駆動に使い、必要に応じて4輪駆動に切換えて使う方式。4WDと2WDの切換えは、セレクターレバーによって直接行うものと、エンジンの負圧やアクチュエーターを利用してスイッチの切換えで行うものとかあり、AT車の4WDにはATの油圧を利用するタイプもある。
フルタイム4WD (FULLTIME 4WD)
常に4輪に駆動力を伝えて走行する4WDで、4輪の回転差を吸収しながら駆動力が伝達される。前軸後軸への駆動トルク配分が、センターデフと各種LSDを使って一定の比率で行われる固定配分式と、電子制御の摩擦クラッチやビスカスカップリングを利用して、トルク配分が路面や走行状態に合わせて変化する可変配分式がある。
GT-Rの駆動方式は電子制御トルクスプリット4WDと呼ばれているが、これは可変配分式の4WDで、前輪:後輪のトルク比が通常は後輪駆動の0:100に設定されており、走行状況に応じてそのトルクを最大で50:50になるまで無段階で配分する仕組みになっている。トルク配分は各種センサーの情報をCPが計算して制御している。
トランスファー (TRANSFER)
4WD車で、トランスミッションから来る動力を前後輪に分けて伝える装置。通常はデファレンシャル(差動装置)も一緒に組み込まれており、これを総称してセンターデフと呼んでいる。
センターデフ (CENTER DEFerential)
センターデファレンシャルを略した表現で、前後輪軸の中央(センター)にあるデファレンシャル(差動装置)のこと。4WD車ではコーナリング時に前後輪で旋回半径が違うためにタイヤの回転に差が生じる。これを吸収するための差動装置がセンターデフで、フロントデフとリアデフの中間に位置することからセンターデフと呼んで区別している。
ビスカスカップリング (VISCOUS COUPLING)
粘度の高いシリコンオイルを利用してトルクを伝える液体継手の装置。円筒状のハウジングの中に、丸い孔を開けたアウタープレートとスリットの刻まれたインナープレートと呼ばれる薄いドーナツ状の円盤をわずかな隙間を設けて交互に重ねて入れ、中心にインナーシャフトを通した構造になっている。円盤は一枚おきにスプラインによってそれぞれハウジングとインナーシャフトに接続され、中は粘度の高いシリコンオイルで満たされている。ハウジングとインナーシャフトの回転速度に差が出来ると、円盤の間に満たされたシリコンオイルの粘性によって差動回転数に応じた伝達トルクが発生する。この現象が動力伝達装置・差動装置及び差動制限装置として利用される。
LSD (Limited Slip Deferential)
差動制限装置のことで、Limited Slip Differentialの略。駆動軸の片側のタイヤがぬかるみに入るなどしてグリップを失うと、デフの働きによって反対側のタイヤは回らなくなり、車は動けなくなってしまう。この現象を防ぐために左右の駆動軸の回転速度の違い(差動)を制限したり、時にはロック(直結)するためのメカニズムを備えたデフがLSDである。機構の違いによって摩擦式LSD、回転数感応式LSD、トルク感応式LSDなどの種類がある。
ビスカスLSD (VISCOUS LSD)
ビスカスカップリングを使用した粘性式LSDで、回転数感応式LSDの代表的なもの。ビスカスカップリングは両側のシャフトの回転速度に差が出来ると、シリコンオイルの粘性によって差動回転数に応じた伝達トルクが発生するので、このトルクを利用し、ディファレンシャルギヤと組み合わせて差動制限装置(LSD)として利用するもの。
トルセンLSD (TORSEN LSD)
3種類のギヤの組み合わせからなるLSDで、差道制限の応答性の良いのを特徴とするトルク感応型LSD。アウディの4WDであるクアトロやセリカGT-FOURに採用されていた。
ヘリカルLSD (HELICAL LSD)
トルク感応型LSDで、ピニオンギヤなどのギヤの組み合わせで出来ている。旋回時のトラクションの応答性が高く、アクセルワークでのコントロールの自由度も高いことから、高性能スポーツカーにも採用されている。
R34GT-Rの標準車はヘリカルLSDを搭載している。
アクティブLSD (ACTIVE LSD)
日産の電子制御LSDの名称?。ATTESA E-TS(アテーサ)と呼ばれる4WDシステムと一体となってCPで統合制御されている。R33・R34GT-RのV-specに搭載されており、様々な路面状況や走行状況、ドライバーの操作を各種センサーで読み取り、左右駆動力の強さや応答性までもコントロールする。機構的には多板クラッチを使用したもので、クラッチの圧着力を制御する油圧を電子制御している。
アテーサ E-TS(ATTESA E-TS)
日産の4WDシステムの名称で、電子制御トルクスプリット4WDのこと。GT-Rなどに搭載されており、通常は後輪駆動状態(前後輪トルク比0:100)で走行させているが、後輪がスリップするとその状況に応じて前輪に最大で50:50までトルクを伝達して4WD状態にする。走行状況の診断は車速、アクセル開度のほか、4輪それぞれの車軸速度センサーと前後Gセンサー、横Gセンサーできめ細かく行われ、検出した値に応じて前輪への駆動トルク配分を無段階の連続制御で行っている。
トラクションコントロールシステム (TRACTION CONTROL SYSTEM)
車速センサーや車輪速センサーにより各車輪のスリップ量を検出し、その滑り量に応じてエンジンの出力をコントロールして最適な駆動力を維持すると同時に車両の安定姿勢を保持するシステム。ウエット路面や雪道などでその効果を発揮する。
VDC (Vehicle Dynamics Control)
日産車に搭載されている車両の横滑りを自動的に制御するシステム。例えば滑りやすい路面に進入した時など、前後車輪の横滑りしそうな状態をセンサーが感知すると、自動的に4つの車輪に適切なブレーキングを行うと共に、エンジン出力の制御を行って車両の安定性を向上させる。

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