スズキ RE-5の裏事情
な、なんとロータリーエンジン搭載のオートバイが
この世に存在していました。今では幻となってしまい
ましたがその生い立ち、スペックについてのページです。
 回転が滑らか、振動の発生が少ない、レシプロに比べ部品点数が少なくてすむといったロータリーエンジンの利点に注目したスズキは、1970年11月、西ドイツのNSU社と正式に技術提携を結びロータリーバイクの開発に着手することとなりました。GT750をベースにデザインはイタリアの鬼才ジウジアーロに依頼するという力の入れようでした。
 そして1974年の11月に市販車の生産が開始され、翌75年1月から量産車として世界に輸出が開始されました。
 価格が異常に高くなってしまうことや、排気量を何ccで登録するかの問題で国内では正式には売らなかったそうです。(ちなみに逆輸入されたRE―5はロータリーエンジンの排気量そのままの497ccで登録されています。)
 搭載されているエンジンは排気量497ccのシングルロータリーです。ペリフェラルポートを採用し、ミクニの2バレルキャブレターで燃料をコントロールしていました。グロスで62psという当時の750cc並のパワーを実現しました。そのハイパワーから発生する熱からエンジンを保護するため、冷却には大型のラジエターに加えオイルクーラーも備えた水・油冷式を採用しました。さらには基本構造が2ストロークであるロータリーのために、シート下には2ストロークオイルのタンクも設置されています。
 エンジンフィーリングはどうかと言うとまさにロータリーそのものといった感じだそうです。始動時のクランク音に、ドロッドロッと低音を奏でるアイドリング、低回転ではトルクが細く回せば回すほどパワーがついてくる点まで今日のロータリーエンジンと何ら変わらないそうです。
 しかし燃費の悪さについても同じで開発段階から問題視されていたみたいです。テスト走行でも、ガソリンを垂れ流しているみたいだったという逸話があるほどです。リッター7キロ程度しか走らなかったそうです。この燃費の悪さが後にRE−5の運命を大きく左右することになってしまいます。
 開発が始まった1970年当時の日本は、戦後の復興期を経て、ちょうど高度経済成長期の真っ只中でした。世界有数の工業国へ仲間入りを果たしたころです。モータリゼーションの分野においても、様々な車はバイクが開発され、世界に認められてきた時代でもありました。
 そんな中スズキが新しいロータリーエンジンを実用化し、世界に名を轟かせようとしました。
 しかし、まだ開発段階であった1973年9月、世界を大きく震撼させた第1次オイルショックが起きました。石油を持たない日本にとってまさに脅威の出来事でした。
さらに10月には、第4次中東戦争も勃発しました。産油国が原油価格引き上げや禁輸措置を表明しました。
 このおかげで日本経済はストップし世界のモータリゼーションの波は省燃費へと傾いてしまいました。
 車両価格が高く、燃費の悪いRE−5が受け入れられる市場はもうどこにもなかったのです。RE-5にとっては生まれた時代が悪かったとしかいいようがない悲劇の出来事でした。
途中、細かい部品を他車と共通化することで生産コストの削減を計りましたが一時しのぎにしかなりませんでした。
 そして生産開始からわずか1年という短い販売期間をもってRE−5の生産は終了しました。多大な開発費や研究時間を費やしたRE−5でしたが、この1台をもってスズキのロータリーバイクの歴史は閉じられます。
 もう二度とこの世に現れることのないロータリーバイク、私は是非欲しいと思いましたが輸出用で1年しか生産されていなかったので世の中にある絶対数が少なく高価、(相場は無いようなもので80万から150万くらいみたいです)純正部品は全く無いと絶版車ということなので半分諦めています。
RE−5諸元表
●車体仕様
全長 2220mm
全幅 885mm
全高 1190mm
車軸間距離 1505mm
最低地上高 170mm
車両重量 257kg
タイヤ寸法(前輪) 3.25−19−4PR
タイヤ寸法(後輪) 4.00−18−4PR
最小回転半径 2.6m
キャスター 63゜
トレール 108mm
燃料タンク容量 17リットル
オイルタンク容量 1.7リットル
ブレーキ型式(前輪) 油圧式ダブルディスク
ブレーキ型式(後輪) 内拡機械式L-T
懸架方式(前輪) テレスコピック
懸架方式(後輪) スイングアーム
フレーム型式 ダブルクレードルパイプ
●エンジン
種類 水冷・シングルロータリー
排気量 497cc
最大出力 62PS/6,500rpm
最大トルク 7.6kg-m/3,500rpm
圧縮比 9.4
点火次期 10゜/1000rpm
点火方式 バッテリー
始動方式 セル、キック
冷却水容量 4リットル
エンジンオイル容量 3.3リットル
●性能
制動停止距離 14m(初速50km/h)
登坂能力 28.5゜
最高速度 184km/h
0〜400m 13.2秒


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