ディンプルドインテークマニホールド
以前からネット上で多孔プレートなるものが取り上げられております。
2ストロークの弱点でもある“燃料気化”の悪さを改善するパーツで、
これを装着すると低速トルクが向上し、燃費もアップするそうです。
原理としては、吸気に対して平行に装着したパンチング板が、
吸気に対して乱流を起こし、その乱流が燃料気化を促進するというものです。
(他にも、クランクケースからの吹き返しを受け止める効果が期待できるそうです。)
しかしながら、吸気に対し多少の抵抗となるため、
高回転領域での流量低下が起こらないか不安もありました。
そこで私が単なる思いつきで試したのが、
「ディンプルドインテークマニホールド」というものです。
<原理>
ゴルフボールの表面にある凹みをディンプルと呼ぶそうですが、
この凹みは
1ゴルフボール表面に微小な乱流を起こす。
2乱流がボールにまとわり付く空気の層流を消す。(注)
3この結果、空気抵抗を低下させる。
という機能を持つそうです。
注:正確に言うと、物体表面の層流を乱流に変えることで、
境界層剥離という抵抗増加現象を防止し、抵抗を減少します。
乱流境界層は、層流境界層に比べて境界層剥離が起こりにくいそうです。
乱流を起こしつつ、空気抵抗を減らす。コレは期待できそうです。
<材料、方法>
CRM50インテークマニホールド
ラウンドバー(スチールバー)丸、直径3mm程度
電気ドリル
早速、CRM50-4号のインマニを外し、ラウンドバーで凹みをほりました。
写真が非常に見づらいので、そのうち撮り直します
ちなみにインマニはアルミ製。柔らかいため、非常に削りやすいです。
<結果>
装着後、明らかに低速トルクがアップしました。
アクセルをちょっと開けただけで、
今まででは考えられなかったようなトルク感が感じられます。
ところが、グラフにしてみてちょっとがっかり。
低速は多少良くなっているのですが、高回転はむしろ悪化してます。
(緑:装着後) (赤:初期化)
左:馬力 右:トルク
計測した日が違うとはいえ、天候はほぼ同条件でしたし、計測場所も同じです。
皆さん、いかがなものでしょうか?
しかし、トルクのグラフを見て、ちょっと感動しました。
低回転でのトルクが20〜30%増し、しかも、5000rpmの谷も解消されています。
(さらに、最大トルクも多少上乗せされました。)
<考察、結論>
今回は思いつきの作業だったせいで、
ディンプルはほぼゴルフボールと同サイズ、深さは多少深い位と、
ある意味適当なサイズで開けてしまいました。
しかしながら、インマニの流速はゴルフボールの飛ぶ速度と明らかに異なります。(注)
ディンプルを、吸気速度に対して適切なサイズ、深さで開ければ、
高回転でのトルク低下も防げるのではないでしょうか?
このあたりは試行錯誤で詰めていくしかないのでしょう。
注:ゴルフボールの初速はプロでおよそ70m/sと言われます。
CRM50の場合、吸気速度は単純計算で約10〜30m/s程度と思われます。
また、吸気は気圧も多少低下しております。
<参考文献、謝辞>
多孔プレートはいろいろなページで取り上げられていますが、
私は hime様のページや、もとあき様のページを参考にしました。
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