馬力考察-最高速は馬力で決まり、加速はトルクで決まる?


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最高速は馬力で決まり、加速はトルクで決まる?

以上のような説明をよく聞きますが、皆様はどう思われますか?
結論から言いますと、最高速も加速も馬力に比例します。
すなわち、最大トルクが大きくても最高出力(馬力)が低い車は加速が遅いです。
では、なぜこのような誤解が生まれたのでしょうか?

一言で理由を言うと

一言で理由を言うと、”トルク”と”最大トルク”の混同による誤解が原因です。
一般に”トルク”と言うと、低速トルクの事を指すことが多いです。
低速トルクがある車両は、街乗りなどで出足(加速)が良いです。
そういったことから、”低速”トルクがあると”低速での加速”が良いと言えます。

一方で、広い速度域での加速の比較においては、最大トルクの比較は無意味です。
トルクの不足はギア比で補えます。
そのため、発生回転数やギア比も同時に比較しなくては意味がありません。


発生回転を考慮すると?

3000回転で20kgmの最大トルクを発生するエンジンと、
7000回転で10kgmの最大トルクを発生するエンジンとでは、
一体どちらが力強いのでしょうか?

答えは7000回転で10kgmの最大トルクを発生するエンジンです。
このエンジンを7000回転で回し、ギアを使って3000回転に減速すると、
その軸でのトルクは23.3kgmまで増幅されます。


100馬力/20kgmと200馬力/10kgmのエンジンでは?

上記のような車両の場合、パワーバンドが全く異なります。
前者は低回転のトルクで勝りますが、高回転のトルクは絶対に負けます。 ※注1
トルクの発生回転を考慮して、ギアで減速を行い、回転数(ないし速度)をあわせれば
200馬力の車両の方が力強い、すなわち加速、最高速共に速いことがわかります

パワーバンドを使って加速した場合、ギア比を適切にすると、
時速36km付近では、前者は最大750kgwのトラクションを発生できます。
同じ速度においては、後者は最大1500kgwのトラクションを発生できます
(時速72km付近では、前者は最大375kgw、後者は最大750kgwのトラクションを発生できます。)


言い換えると

馬力がある高回転型エンジンというのは、
高回転でもトルクが細くならないエンジンです。
低速トルクの無さを回転数とギア比で補えるエンジンと言えます。

一方で低速トルクがあっても馬力がない低速型エンジンというのは、
高回転でトルクが細くなったり、回らないエンジンです。
トルクの細さを回転数とギア比で補うことができないエンジンと言えます。

実際は?

上記ほど極端な例ではありませんが、
高回転型のTZR50Rと低速トルク型のCRM50を比較
したことがあります。
TZR50Rは8.0ps/10500rpm 0.52kgm/10300rpm
CRM50は6.5ps/8000rpm 0.6kgm/6800rpmでした。
この2車種の間では、TZR50Rの方が速かったです。
結果はトルクとギア比と加速


ちなみに?

以上の説明を読んで、
「そんなことはない、トルクがあるほうが加速がいい」
と思われた方も多いと思います。
日常レベルではその感覚は正しいと思います。
上記のような極端なエンジンははあまり存在しませんから、体感するのは困難です。

また、そもそも馬力はトルク×回転数ですので、トルクが太くなれば馬力も上がります
両者を切り離して体感することは困難ですから、
馬力アップによる加速、最高速の上昇を、トルク太くなったためだと感じてしまうのは仕方がないことです。

しかしながら、4輪の場合はこれに近い例が存在します
パジェロのガソリン車は220ps/5500rpm、35.5kgm/3750rpm
ディーゼルエンジン車は175ps/3800rpm、39.0kgm/2000rpm です。
この2車を乗り比べてみればおそらく違いがわかると思います。

なお低速トルクがある車両のエンジンは、クランク強度や圧縮比の問題等から
質量が重くなる傾向があります。
このため車重やエンジン内部の慣性モーメントも増加してしまい、
加速が不利になる傾向がさらに強まります。
ディーゼルエンジンはこの典型例です。


結論

最高出力(馬力)の変化がなく、最大トルクのみを上げた場合は最高速、加速共に変化しない。
最大トルクは変化なくても最高出力(馬力)が上がれば、最高速、加速共に上昇する。
トルクが太くなれば馬力も上がるため、その結果加速、最高速共に上がることが多い

※注1トルク×回転数×0.001396=馬力です。
このことから、上記の車両のパワーカーブが予想可能です
最大トルクが20kgmもあって、最高出力が100馬力ということは、
最大トルク発生回転数は3582rpm以下です。
また、7000rpm付近でのトルクは必ず10kgm以下になります。
もし、14000rpmまで回せたとしても、その付近でのトルクは必ず5kgm以下になります
一方で、最大トルクが10kgmしかなくて、最高出力が200馬力ということは
このエンジンは必ず14000rpm以上回ります。
そして、その付近のトルクはほぼ10kgm前後になります。


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