
其の五 「V35発表に際して」の巻
V35スカイライン発表に際して、エンジンという切り口で考えてみたいと思います。
11代目スカイラインは世界的に定評のあるV6エンジンを投入しました。
日産の直列6気筒はL20型から始まった伝統的なものでしたが、ここに来て直列6気筒エンジンを廃止し、
V6エンジンに切り替えました。
多くのスカイライン・ファンにとって、「なぜ直列6気筒からV型6気筒に変更したのか」という疑問があると思います。
たとえば、BMWはスカイラインよりもさらにコンパクトな3シリーズに直列6気筒エンジンを搭載しています。
しかし日産の直列6気筒とBMWの直列6気筒には違いがあります。それは、エンジンの単体重量です。
日産の直列6気筒は鋳鉄製のシリンダーブロックのため、エンジンが重い。
一方のBMWは、シリンダーブロックを鋳鉄製からアルミニウム合金製に変更し、大幅に軽量化しています。
エンジンの軽量化にともなう車重の軽減は、運動性能の向上・燃費低減の面において重要な課題の1つで、
そうした背景を踏まえ、日産はエンジンの変更を決断したのでしょう。
ならば、BMWのように直列6気筒エンジンの軽量化を図れば良いのではないかと考えられますが
実際はそう簡単ではないらしいのです。
BMWは将来にわたってFFを投入する予定がないだけに、
縦置きが前提となる直列6気筒で継続的な進化が図れます。
しかし、日産はエンジンを縦置きだけではなく横置きにも搭載したいという事情があります。
実際に、VQ型はFFのセフィーロなどにも搭載されています。
そのため、FR専用となってしまう直列6気筒の進化に区切りをつけなければならなっかたのです。
しかも、直列6気筒はエンジンが縦に長いためシリンダーブロックの剛性確保の面で克服すべき技術的な課題が多く、
単に鋳鉄製からアルミニウム合金製に変更すればすむといった単純な事ではないらしいです。
いずれにしても、6気筒エンジンの選択はふたつしかなく、
直列6気筒エンジンを軽量化するか、小型・軽量化をしやすいV型6気筒エンジンに変更するかのどちらかで、
BMWのように横置きで搭載する必然が無いのは例外で、
V型6気筒エンジンへの変更を選択するのが世界のトレンドになっています。
現実にメルセデスもジャガーもすでに直列6気筒エンジンと別れを告げ、直列6気筒エンジンにこだわっているのは
BMWとトヨタだけになってしまっています。
結論を先送りにしているトヨタの場合でも、直列6気筒エンジンの旧態化は隠せず、
シリンダーブロックは鋳鉄製のままで、エンジン単体が大きくて重く、
さらに直噴化を進めているだけに補器類にっよても重量が増しているため
新FRパッケージを採用しても前後重量配分の大幅な改善が望めないのです。
ちなみに、V35の前後重量配分は52対48でフロント荷重は765kg。
R34のは58対42で、フロント荷重は820kg。
車重は40kgの差があるだけにフロント荷重で55kgの差は、かなりフロンとヘビーということになる。
残念だが、世界的な流れから行っても、日産のような全てのレンジで車を提供する会社では、
直6の復活はないであろう。
直列6気筒エンジンが、無くなりつつあるなかで、
日産が最後に残したR34スカイラインは、スカイライン・ファンにとってかけがえのない物になるでしょう。