1.パワー(馬力)とトルク

何馬力と良く口にするけど、具体的にどんな物なのか良く分からない馬力とトルクについて
なるべく分かりやす説明します。




パワー(馬力)

 
まずはパワー(馬力)についてですが、誤解されている人が多いと思いますが、馬力は単位です。
kmやKgと同じ単位でpsやhpで表したりします。それでは1馬力とは何か?ですが、1馬力とは75kg
の物体を地球上で1秒間(s)で1m動かす仕事率です。そして最近使われだした工学単位系のW
(ワット)についても、この事が分かっていれば簡単に説明できます。

 1(馬力) = 75(kg) × 9.8(m/s^2) × 1(m) ÷ 1(s) 
       
        = 735(N) × 1(m) ÷ 1(s)         〈 kg・m/s^2 = N (ニュートン) 〉
       
        = 735(J) ÷ 1(s)                 〈 N・m = J (ジュール) 〉
       
        = 735(W)                       〈 J/s = W (ワット)  〉

です。途中の単位などは下に説明してますが、物理が好きでないと理解に苦しむと思いますので
1(馬力)=735(W)である事が分かれば、最新の車のカタログにW(ワット)でエンジン出力が書いてあっても馬力に換算できます。


9.8(m/s^2)
は、地球の重力による重力加速度です。ちなみに単位の(m/s^2)はm÷sの2乗です。2乗の表示ができなかったので苦し紛れにこのような表示をしました。で、この重力加速度を簡単に説明すると、ビルの屋上などから物を落とした場合に空気抵抗が全く無い時に働く加速度です。そして、1秒〈1(s)〉後には落とした物体の速度は

  9.8(m/s^2) × 1(s) =9.8(m/s)

となります。物理が得意でないと理解しにくい物なので、そういうものなんだなぁと思っててください。

N(ニュートン)はリンゴで有名なあのニュートンです。物体の重さに重力加速度をかけた物です。

J(ジュール)とは仕事で、N(ニュートン)に距離(m)をかけた物です。

W(ワット)とは仕事率で、1秒間でどれだけの仕事ができるか表したものでJ(仕事)を時間(s)で割ったものです。


それでは実際に私の乗っているタイプMの純正のパワー(馬力)をW(ワット)に換算してみます。

215(馬力) × 735 = 158025(W)
      
               = 158(KW)  〈1(KW)=1000(W)〉

となります。


突然でてきたKW(キロワット)ですが、K(キロ)は1000を表しています。
もっと分かりやすく説明すると、1(km)=1000(m)、1(kg)=1000(g)で使われているK(キロ)です。つまり1000(10の3乗)倍の場合はK(キロ)となります。そして、他の場合に使われています。例えばパソコンのCPUに使われているMHz(メガヘルツ)のM(メガ)は10の6乗、HDに使われているG(ギガ)は10の9乗です。




●トルク

次にトルクですが車の場合にはクランクシャフトの回転力です。単位から考えると(kgm)となるので重さに距離をかけたものです。分かりやすく説明するためにしたの絵を見てください。

 
 ボルトをトルクレンチを使って締める場合を想像してください。
 
 ボルトの中心から距離100(cm)の柄の部分に1(kg)の力を
 加えます。この時のトルクは

 1(kg) × 100(cm) =100(kg・cm)
                =1(kgm)   〈100cm=1mより〉

 となります。つまりボルトを締め付けるトルクを増やしたければ、
 加える力を大きくするか、柄の長いレンチを使って締めれば
 いいのです。






車のクランクシャフトは爆発によってピストンが下がる力を、回転に変えているので、ピストンが下がる力(=燃焼室の爆発力)を大きくすれば、トルクが太くなります。

この事が分かるとなぜRB20がSR20に比べて低回転のトルクが細いのか説明がつきます。RBエンジンは6気筒なので、SRの4気筒に比べて1気筒当りの容積が小さく、爆発力が小さいからです。高回転の場合は一概に1気筒当りの容積で決まるわけではないですが、話が難しくなるので今回は省略します。


●パワー(馬力)とトルクの関係

パワー(馬力) = トルク × エンジン回転数 

となります。つまりパワー(馬力)を上げようと思ったら、トルクを増やすか、エンジン回転数を上げればいいわけです。トルクはNAエンジンの場合(VTECや可変バルタイ付きを除く)には回転数に寄らずほとんど変化が無いです。なのでNAエンジンの場合にはエンジンを高回転まで回せばパワーがでます。この事が分かるとホンダのエンジンはなぜNAとは思えないほど馬力が出ているか理解できると思います。VTECに関してはちょっと複雑になるので、詳しい説明はまた今度にします。

 ターボの場合には回転数によってトルクが変化するものなので一概にエンジン回転数を上げればパワー(馬力)が増えるわけではないです。

 それではなぜレットゾーンの手前に最高出力があるのか?と思われた人もいると思います。エンジンを回せばパワー(馬力)が出るのならレットゾーンギリギリが一番出るのでは?と思うはずです。これはなぜかと言うと、エンジンの慣性です。つまりピストン、バルブ、カムなどには重さがあり、この重さのために高回転に追従できなくなり最適な燃焼ができなくなり、つまりトルクが低下していきパワー(馬力)が下がっていくわけです。実際にカタログなどを見てもらうと、最高出力の回転数より最高トルクの回転数の方が低い事から理解できると思います。