■レインコートについて考える

やたら雨の多い国、日本のライダーの必需品。
これがない時の雨ほど憂鬱になるものはない。もちろんあっても憂鬱になるのには変わらない。
ともあれ、日本でのバイクライフとは切っても切り離せないアイテム、レインコート について考える。

 バイクで走行している時、ライダーにあたる雨粒は風圧で強化され、とんでもない勢いでぶつかってくる。これは半キャップのヘルメットで雨の中をちょいと走ってみればすぐ実感できる…痛くて痛くてしかたがない。このことはライダーの使用する雨具に厳しい要求をする。つまり、通常の雨具…ウインドブレーカーやレインコート…は役に立たないのである。安物のレインコートは風にあおられてビリビリに破れ、前のあわせ部分からは風と共に雨水が浸入。どちらにせよ着用者はずぶぬれである。

 このような事態を招かないために、バイク用のレインコート購入は必須。しかし、一口にバイク用レインコートといえども高いのから安いの、上下セットからセパレートまで多くの種類があり、どれを選べばいいのかさっぱり分からないという声も聞かれるので、様々に無駄金を投入した結果をここに並べてみた。年々新しい素材が生まれるため、僕が経験したアイテムはすでに時代遅れになっている可能性もあるけれど、それでも少しくらいはなにかの足しになる…かも。


雨の日は絶対濡れる

■価格帯
 基本的に、ロングツーリングに使用したい、もしくは雨の中を1時間以上連続して走ることが予想される場合、購入すべきレインコートの価格は上下セット1万円前後(定価)が最低ラインといえる。安物はすぐに防水性がなくなって浸水し、防水スプレーの効果もすぐに切れるために使い捨てせざるを得ないが、そのようなことをするくらいなら1万円前後の商品を数度のツーリングにわたって使用する方が得である。

 とは言え、その1万円前後の商品といえども所詮は使い捨て上位クラスとも言うべきもので、数時間連続して強い雨の中を走行するか、数日の雨を経験すれば太股、二の腕あたりからの浸水を始めるはずである。そこまで酷くないにせよ、いつか(それは遠い話ではない)は雨を内部に通しはじめ、防水スプレーのかけ直しを要求してくるのだが、この防水スプレー、丁寧にかけてもやはり初期ほどの防水能力は期待できないのである。数度のツーリングに使用し、雨中を走行した後は即座に乾燥させて防水スプレーをかけ直し、それでもダメだなあとなれば捨てる、というパターンとなろう。1万円程度で数度のツーリングに使えるのだから、よしとすべきかも知れない。

 では、どのくらいの価格帯のものになれば何時までも完全な防水を働かせてくれるか、という質問に対しては、(僕の知りうる限り)どんな値段のレインコートと言えども、完全で永遠な防水能力は持っていない、と答えるしかない。値段が高くなるに従って、防水能力を保持する時間が長くなり、レインコート自体の耐久性もあがるのではあるが、それは永遠で完璧な防水を意味するのではまったくない。しかし、高価なレインコートには、その値段に(ある程度)報いる快適さがある場合が多い。

■薦めたいレインコート
 上では、1万円前後の上下セットレインコートには数度の使用でくたばってしまうという弱点があることを述べた。気をつけて貰いたいのは、決して「1万円前後のレインコートは使えない」と言っているわけではないということである。むしろ、十分に使えるのだが、それをロングツーリングのメインとして信頼できるかどうかについては疑問が残る、ととって貰った方が良い。ともあれやはりロングツーリングに使用するものとして信頼できるレベルには達していないのは否定できず、それではどのようなレインコートを選べば良いのかというと、これは上下セパレートで売られているレインコートを薦めたい。そしてその場合、ジャケットは2万円前後、パンツは1万円前後のものを使用したい

>ジャケット

2万円前後のレインウェアジャケットというと、これはもう立派なライディングジャケット。防水の製品も数多くラインナップされているので、デザインも含めてじっくり選べる。ここで注意しなければならないのは、「防水」をうたってはいるものの、レインコートとしての使用は考慮していない商品がたくさんあるという事である。よく説明書きを読めば「レインコート仕様」か「雨をちょっとしのぐ仕様」かはだいたい見分けがつくはずだが、よく分からない場合はとっとと詳しそうな店員さんに聞くのがよさそうだ。

 そういう確実性の意味も含めて、できれば透湿性に優れたゴアテックス商品を選びたいところだったのだが、やたら高価なくせに数年でダメになるのは他の商品と変わらない(それ以上?)ため、個人的には必要ないと判断した(おまけにゴア製品はどうもダサいのだ…)ので、現在筆者が使用しているのはGWスポーツの「コンベクター2」を使用した商品である。価格はゴアテックスより断然安く、少々蒸れるものの防水能力は十分。一日豪雨の中を走った際ついに浸水したが、これは転倒した際に適当に補修した(布テープを貼った)穴からの浸水であることも考えられる。

 ともあれジャケットは季節に応じて取り替えをする必要があるため、冬用のジャケット、夏用のジャケットと二種類用意しておけば完璧である。無理な場合、とりあえず冬用レインジャケットを用意すればよいだろう。これで春と秋の雨にも耐えられる。夏は少々濡れても死なない

>パンツ

ジャケットに比べ年中使えるのでお得な気もするパンツである。構造が単純なため、ある程度きちんと作られていればそうそうヘマも起こらないので、1万円前後のものを選べばまず間違いはない。裁断も縫製もセットの商品より断然きちんとされているので、セットのパンツによくある「股から濡れてきた」という現象は格段に減らせる。もし冬用のが欲しい場合は、ちょっと奮発してオーバーパンツなどを購入すれば、真冬でもぬくぬくと走ることができる。しかし、夏場は暑くてとてもじゃないが使用不能。

追記:02.09/03

様々なライダーの話を聞いたところ、レインウェアはヤマハのCTXが良さそうだ。ジャケットとパンツのセットで発売されているが、消費税込みで2万円以内に収まる。ヤマハだけあってデザインもなかなかかっこいい。三層構造の二枚目をまるまる防水透湿シートにしているため少々かさばるものの、一般的な防水透湿素材を生地に直接コーティングする方法をとっている他社の製品より長持ちするかもしれない。バイク用レインウェアとしては、中の上クラスの製品と思われる。ちなみにこれ以上となると、ジャケットのみで2万円〜、パンツで1万後半〜となる。最近モンベルのハイデュラジャケット(ジャケット\21900、パンツ\17300)を購入してみたので、いずれ大雨の中を走った時にでもレビューしてみたい。

■その他のレインウェア
ライダーのレインウェアはレインコートのみにあらず。強烈な風雨の中を快適に突っ走るには、レイングローブやブーツカバー等の援護が必要。

>レイングローブ

最近はゴアテックス製とかかれた商品が氾濫しているが、基本的にグローブのゴア商品の防水性はあてにならないと見てよい。指先などの細かな縫製は、どうしても防水能力を低下させてしまうらしいのだ。よって、下手に防水のものを買うくらいなら、最近はやりのネオプレーン(水を一切含まない化学繊維・乾きが早く冷たさも軽減する)製の商品を選ぶという方法を薦めたい。手袋自体は濡れてしまうか、すぐ乾く上に冷却効果が低いので冷たさも軽減されるらしい(雨で手が冷たいと感じたことがないので…)。しかしながら、冬ともなると浸水はしもやけに直結するため、その際は洗濯手袋(あの、母親が使うビニールのやつである)を装備することをおすすめしたい。あれこそ完璧な防水素材だ。

追記:02.09/03
オフロード用のグローブであれば濡れてもいっこうに困らないので、雨が降ってもそのままで大丈夫。その辺に干しておけばすぐに乾く。おまけに丈夫で長持ち。オンロードの人にもおすすめ。

>ブーツカバー

意外とおろそかにしがちなのがこの足下の防水である。バイクにまたがるとレインウェアの裾はまくれ上がり、靴と靴下が露出するため、この部分はあっという間に水浸しになってしまう。それを防ぐために、靴及び靴下、パンツのすそを防水するのがこのブーツカバーである。使い方は簡単で、靴の上からカバーの要領でかぶせてしまうだけであるが、それなりに効果は高い。注意する点としては、あまり安物を買うとすぐに破けてしまうため、せめて5000円前後の商品を購入すること。上にも書いたが、どうもこの足の防水は軽んじられがちだが、雨が降った翌日、ぐっしょりと濡れたブーツに足を突っ込むときの憂鬱さを想像してもらえば、いかに重要なアイテムであるかが理解してもらえると思う。

追記:02.09/03
少し高めの布製ブーツカバーは丈夫なのだが、どうも雨の量が一線を越えると浸水してくるような気がする。浸水されて靴が濡れるくらいなら少々蒸れるほうがましなので、ブーツカバーに関しては安物のビニル製を買った方が良いのかもしれない。破けたら買い直すくらいの勢いで。

>ナガグツ
こと雨に関しては無敵。この防水性にはどんなブーツカバーも太刀打ちできない。ただ履けばよいだけという気楽さも魅力。値段も安い。しかし、造りがやわなので転倒した際に足が受けるダメージはちょっと想像したくない。ツーリングには向かないゆえんでもある。

>レインブーツ
長靴とレーシングブーツのあいのこの様な商品らしい。つまり、丈夫な長靴。高度な防水性と、足のプロテクションを両立したとパンフレットには書かれているが、使用したことがないので実際どうだかよくわかりません。問題はやっぱり価格が高いこと。とは言え、長靴でツーリングに出かけることを思えば…。誰かレビューしてください。

>レインシューズ
主にゴアテックスを使用して、透湿性を上げ防水能力を高めたライディングシューズ。防水能力はなかなかのもので、一般のスニーカーを水浸しにするのに十分なくらいの、ちょっとした雨程度ならばまったく気にならない。問題は価格が1万円〜2万円強することであり、また2年もすれば防水能力も低下する。くるぶし程度までしかカバーしないので、本格的な雨には対処できず、普段履き程度の活躍に限られるのだが、それにしては少し高すぎる気もする。ちなみに筆者はアルパインスター製の商品を嬉々として購入して以来2年、夏場の蒸れにも負けず、1年ちょっと経ったころから始まった浸水にも負けず履き続けている。

追記:02.09/03
ゴア製品全体に言えることだけれど、耐久性のなさにはウンザリする。びっくりするくらい高価なんだから、もう少し長持ちしてくれてもいいものではなかろうか。ゴア靴も例外ではなくて、バイク通学の関係上毎日はいていたらゴアのインナーがあっさり破けていた。高いものを買ってもすぐにダメになるのであれば、安いのを使いつぶすほうがましなので、貧乏人は高価なゴア靴を選ぶのはよした方がいい。

とは言え、完調のゴアテックスシューズの防水性はかなりのもの。登山用なんかのレインスパッツと組み合わせればレインブーツとしての使用が可能なくらい。実際かなり魅力的なので、もし買うのであれば、もったいないので絶対普段履きにはしないこと。ツーリングの時の秘密兵器に。ああもったいない。

■その他アイテム
>ワイパー付きグローブ
左手の人差し指部分にゴムのワイパーが付いていて、これでシールドをこするとさっと水気がとれる、という商品である。使用したことはないが、知り合いに聞くとけっこう良いということなので、これからレイングローブを購入しようと考えられる向きにはおすすめできるかもしれない。

>撥水ケミカル
ヘルメットのシールド部分に塗って、撥水能力を上げようという化学薬品である。たしかに水を良くはじくようになり、視界は良好になるのだが、いかんせん持続時間が短い。ともあれしょっちゅうかけ直す手間さえ惜しまなければ、それなりの効果があると言える。ちなみに自動車のフロントガラスに塗るタイプの撥水剤を試みてみたことがあったが、ガラスを対象にしたそのケミカルはどうも樹脂製のシールドとは相性が良くないらしく、あまり効果は感じられなかった。

>曇り止めケミカル
撥水ケミカルについて書いたのでついでにこれも。雨の降る日はしばしば気温が低いことが多く、シールドの内側が曇って前が見えなくなることがある。大変危険なので指で擦ったりシールドを開けたりして調節するが、雨が強いとシールドを開けた拍子に顔面が水浸しになる危険性があるのでこのケミカルを使用したい。どうやら成分はスキー用のゴーグル曇り止めと大差ないようなので、ちょうど家にあったそれを使用している。塗る前に水分をしっかり取っておくことが重要。また、指で触れてしまうと効果は消える。ふれなくても2日もたてば消える。非常にはかない。

>ハイドロテックス
ロックバンドではない方のTOTOが開発した親水性フィルムである。水をはじくのではなく、表面張力を奪い瞬時に広げてしまうのでミラーなどの視界が改良される、という商品。実際なかなかの効果でおすすめしたいのだが、問題は貼り付けるのがとても手間なことである。バイクのミラーは小さいので、ますます職人芸のようなことになる。必要以上と思えるほど執拗に空気を抜いておかないと、乾燥した時気泡だらけで「うへ」、と思う羽目になるので気をつけること。

>撥水ワックス
カーワックスによくある、撥水効果のあるワックス。まあぼちぼち。価格も安いのでいいのではなかろうか。

>ぞうきん
これはある意味究極のアイテムである。これ一つで多くの悲劇から救われるので、是非一つ装備しておきたい。ツアラーならアッパーカウルの隙間にでも突っ込んでおけばよい。ネイキッドやアメリカンは…シートの下にでも。

追記:02.09/03
などと書いていたのだけれど、雨で濡れたぞうきんは、ツーリング中にしばしば異臭を放つ原因となるので、カウル付きマシン以外は持っていくのをやめた方がいいかも…

■防水スプレー
一日雨の中を走った後は、基本的にかけ直す必要があると見てよい。レインコートを確実に乾燥させ、その後丁寧にかけていくが、あまり丁寧にしすぎるとあっという間に内容物がなくなる。また、狭い部屋で使用するとかなりまずいらしいので注意。テント泊の場合非常にやっかいな点だ。対応策としては、防水スプレーに頼らない性能を持つレインコートを選ぶのが一番。

■補修
転倒すると破ける。破けた箇所にはとりあえず布テープを貼っておくと、意外と何とかなるもの。が、非常に貧乏くさいこともまた確かで…。

■注意
レインコートのポケットは基本的に防水を考慮されておらず、うっかり携帯などを放り込んでおくと水浸しの憂き目にあうので注意。最近の防水携帯は良い感じです。

注意:このページの画像はアウトドアショップmont-bellさんのHPからお借りしています。

■最後に
 実際どれほど装備を整えようとも、雨が降ればライダーは結局濡れる羽目になる。案外、ずぶぬれになって走るのが正しい開き直り方なのかもしれない。バリバリ伝説の主人公も言うとおり、びしょぬれになれば意外と気にならなくなるものだし。が、こと冬であればそんな呑気なことは言っておれないのも事実。文字通り「死ぬ」危険が…


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