感動巨編(?)小説



「遊星FeCuより愛をこめて」
作 ひすあき

ここのところ西宮で奇怪な事件が続いていた
脳血栓で倒れる若者、そしてなぜか毎回現場に残されている数式…
(0. 00666…>0.0125)
「なんじゃこれ?まちがっとるで」と人々が口にする中、
「いや、合っている…」一人つぶやく声があった、声の主はタ○ベ商事の社員イタリアーノ・タ○ベ、通称しょっちー自称イタリア系移民の39歳独身汗かき病弱頑固者だった。
すでに彼の脳裏には、その犯人像すら浮かんでいた
「まさか、やつが…」
しょっちーはとあるアパートへと急いだ


ドンドンドン、激しくドアをたたくしょっちー
「まいどだっ!俺だっ!ドアを開けろ!」
ガチャリ、ドアが開きそこからアパートに不釣合いな高級メガネをかけた男が見えた
「ああ、あんたか、何の用や?」
「とぼけるな、分かっているだろう!例の事件だ、おまえやろう!」
「…まあ中へはいれや」
部屋の中は塗装作業の最中なのかやたらとシンナー臭がした。二人は丸いちゃぶ台をはさみあぐらをかいた。
「なんであんなことをしたんや」
「あんたのやり方が生ぬるいからさ」
「何を言う!早見優!今までコツコツやってきたのは何のためだ?!」
「今までとはちゃうんや…」
しょっちーは、昨年男が独立し会社を立ち上げたことを思い出した。
「そうか、それで…しかしあまりにも乱暴な手口やないか」
「あほかい!あんたのやり方が古くさいんや!」
ドカッ!そのせつな男のメガネが飛んだ、どうも40前の独身男性には「古くさい」は禁句のようだ。
「親にもぶたれたことが無いのに!なにしおす!」
どうもこの男は京都生まれのボンボンのようだ。
「あんたのやり方やったら100年経っても成功せんわ!ほならわしら支払いでけへんやんけ!WCの影響で部品もけえへんっちゅうねん!」
「うるさいわ!今までこれでやってきて、ぼちぼち成功してきてるのに、こんなことしたらわややないか!先人達の苦労をチャイにすんか!あほ!」

さて、今この二人が言う所の「成功」とは?

実は彼ら二人は地球人ではない、その正体は銀河系よりはるかかなたから来た、FeCu星人通称「鉄銅星人」だった。彼らの星では人々の労働意欲はきわめて低く、趣味に対する執着だけは異様に強い、しかも自己中心的でがんこである。したがって文明は退廃の一途をたどり、ついには星そのものを失ってしまったのだ。ではなぜここに二人が?
実は趣味性の高さゆえ特殊に発達した科学力(FRP加工やバフがけ等)により一部の者は他の星へと移住していたのだ!そしてそこでの彼らの目的は…
やはり自己の趣味の満足であり、そのための資金稼ぎと同士の確保であった。(趣味人にとっては同士はコレクションと同じ重さをもつものなのだ)つまりそれこそが彼らの言う所の成功なのだ!…宇宙をこえた割にはセコイ気がするが…  
ここで二人の会話へ戻ろう
「だいたいなあ、あんたのやりかたは時間も金もかかるっちゅうねん!あのこの星の白長い食いもん、うどんっちゅうたな、あれを食わして長い物への嗜好性を高めさせ、常に割り箸を使わせて二本レールをイメージさせる、そんでからやっと「鉄道模型」かっ!」
「なにいい?これのどこが古いんじゃ!」
どうもしょっちーは古いにこだわるようだ
「わしのやりかたやともっと早いで!わしのこの濃ゆ〜い体液をやな、ちょいっと注射したったら、簡単にマニアが完成や!」
「おろか者め!おまえの体液は脂っぽくてこの星の人間にはあわないぞ!」
「へへへ、それが中には濃い奴がおるんやでえ〜」
(クサ○、イ○ウ○、ア○オ○、オカザ○…)しょっちーの頭にいくつかの顔が浮かぶ
「し、しかし数の増加は質の低下を招くぞ!もっと地道に…」
「うるさいわ!わしは知ってるねん、あんたは数を制限して趣味性を深化させ、商品の単価をつり上げてるだけやろう!小売はそれでええけどなあ、メーカーはそんなんあかんねん、数や数売らなあかんのや!だから韓国に発注したゆうのに、ワールドカップのせいで納期が遅れ…」
ドベッ!痛いとこを突かれたのかしょっちーがなぐりかかった!
「なぐりやがったなあ〜!このあほ〜!」
男は泣き声を出しながら立ち上がるとその正体を現した。異様にとび出た腹、脂ぎった顔、チェックのネルシャツそして高級なメガネ、これが鉄銅星人「プチ」の正体だ!
「やるかっ!」
しょっちーも立ち上がった!
「返信!」
セリフをとちりながらもしょっちーは変身した、緑一色の悪趣味な姿!
「正体を現したな!グリーン!くらえ!ダブジーパンチ!」
掛け声と共にプチがとびかかる、大きなパンチ!が異様に遅い!軽くかわすグリーン、プチのパンチは鋼鉄製の扉へあたった、すると!なんとかんたんに扉がひしゃげてしまったではないか?!
「なんて重いパンチだ!」
「ふふふそうや、ダブジーパンチは遅いけど、大きくて重いんや」
満足そうなプチ修理はどうする?おまえの部屋だぞ!
「むむ、くらえMVミスト!」
そう叫ぶとグリーンの顔面からすごい勢いで汗が吹き出た、そうまるでオイルシールからオイルが噴くがごとく!
「げっつ!気持ち悪う〜!くらえカワサキヒート!」
プチの体が異様に熱をもちだした、男二人の空間で汗と熱!気持ち悪いぞっ!
「なんの!ドカティクーラー!」
グリーンの脇から大量の汗が噴出す!まるで割れたクランクケースからオイルが吹くようだ!すごくいやな光景だ!
「くくっ…カワサキヒートがこれしきで冷えるかあ!ムダムダムダアアアアア!」
加熱されつづけ、じりじりと後退するグリーン
「くそっ、最後の技、これだけは使いたくなかったが…」
グリーンがふんばり始め、どこからか出してきたキムチを口にした、何をする気か?
「イタリアンレッド・スプラッシュー!」
グリーンの股間から真っ赤な液体が噴出した!(どうもグリーンの技は噴出し系が多いようだ、不快である)頭から浴びるプチ!
「うおおおおおおお〜!痔が感染るう〜」
ひるんだプチにグリーンが叫ぶ
「明日から祇園祭り!用意はできたか?!」
「えっ?」
「ばかめっ!」
油断したプチの顔面をグリーンのパンチがヒットした!
ドカッツ!くずれおちるプチ、その時扉のところで叫び声がした…
「こらっ!あんたらなんしてるっ!」
大家さんであった、その後二人はこっぴどくしかられ、汚した部屋の掃除と壊した扉の修理をした


「なあ、わしらこんなんしててええんかなあ〜」
とプチ…
「とりあえず、うどん食おか…」
とグリーン
「なあ、なんでわしやて分かったんや?」
「西宮で、脳血栓を引き起こさせるほど脂っぽい血の持ち主、それとあの数式…」
「ああ、やっぱり分かってくれてたんか、あの式…」
「000666…>0.0125、つまり分数で表すと150分の1>80の1、この150分の1ちゅうのはNゲージ、80の1ちゅうのはHOゲージ、ようするに今の主流はNゲージで次いでHOゲージちゅうことやろ」
「そうや、さすがやな…皆も分かるくらいやったらあんなことにはならんかったのに…」
夕暮れの差し込む部屋の中うなだれながらプチは続けた
「鉄道模型売れるかな…」
「なあに、うちの店で全部引き取ってやるさ」
「スマン、グリーン」
男泣きをするプチに向かいグリーンがささやいた言葉は、泣き声にさえぎられプチには聞こえなかった
「2掛けの委託でな…」