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浜松で手に入らなかった我がLibrettoのHDDを求めて名古屋へ向かう途中、国道1号線を豊橋市内に入る所で、左手にレッドバロンの看板が目に入り、何気なくそちらを見ると、きれいなKLE400が2??,???の数字を付けてこちらを見ている。私は吸い込まれるように左にウインカーを出し、そのレッドバロンに入っていってしまった。
かねてからTDR250に代わる次期戦闘車を探していた私にとって、KLE400は数少ない候補の一つであったが、車検が必要な400ccの排気量と500,000円を超える価格は私に買い替えを決意するに至らしめなかった。しかし、目の前のそれは、現行型と同じで外観は充分きれい、走行距離は8,300kmほど、跨ってみると思っていたほど足着きが悪くない、これで278,000円、と私の決意を阻んでいた要素の多くをクリアしていた。
舞い上がりつつある気持ちを抑え、さらに冷静に見てみると、タンクやカウルはきれいな割にエキゾーストは錆びている部分がある、メーター周りのプラスチックも時間を感じる、チェーンやスプロケットも錆びが出ていて結構痛んでいる、タイヤも純正のものではないなど疑問点もなくはない。
この疑問点が浮かんだとき、私は店員に声をかけていた。
「このバイクは何年落ちなんですか?」
店員は待っていましたとばかりに丁寧に詳しく説明を始めてくれた。'94年が初回登録で実は二人のオーナーがいたこと、二人ともこの店でこのバイクを買ったこと、始めのオーナーは多少林道を走ろうとしたが、ほとんどオンロードの走行で屋根付きのガレージで保管されていたこと、二人目のオーナーは通勤用に買ったもののほとんど乗っておらず、青空駐車だったがカバーが掛けられていたこと、1月にも浜松の人と商談したこと、など私の気持ちを動かすのに十分であった。
しかし、私は精いっぱい冷静に「浜松からの通り掛かりなんで買うと決めたわけではないけど、もし買うとしたらチェーンやスプロケットを交換してもらえます?値段はもっと安くなりません?」と問うた。
これに対して、静岡県のお客さんも多く浜松ナンバーで車検を取り直しても良いこと、額面はこれ以上引けないがチェーンやスプロケットは納車整備の料金内のサービスで交換することなどを約束してくれた。私はさらに精いっぱい冷静に「じっくり考えてみたい」と伝えたが、月末なのでこの条件は次の土曜までに返事をくれないかとのことだった。念のためにエンジンをかけてもらい、車で来たのでヘルメットはないものの店の駐車場内で簡単に試乗させてもらった。さすがにTDRほどのパワーのパンチはないものの、特に問題は見当たらなかった。
私は見積書をもらい店を後にした。そして悩んだ。Libretto50を買い替えせずにHDDの換装することに決めたのに、こんなに出費して良いものか、あの値段は相場のものなのか、もし高いとすればさらに良いものはないか、もし安いとすればどこかに隠された欠陥はないか...
HDDは予定通り手に入れたが、バイクの中古雑誌も手に入れた。KLE400は、あの店員が言っていたとおり、ほとんど玉がないこと、ごく僅かな玉と比較して値段は大差ないことが確認できた。
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