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その事件とは、左にはビニールハウスが並び、右には畑が続く、のどかな緩やかな右カーブの道を走っていたときのこと。交差点で左から一旦停止をした車が来ているのを発見したので、ちょっと用心してスピードを落としてやや中央に寄り通過しようとした。
こちらは優先道路だしきちんと一旦停止しているので、安心だったのだが、ちょうどその車の前に来たときにその車が動き出していた。「冗談だろ」と思っているとますます近づいてくる。そして避けきれなくなり私のバイクへ。私はバランスを失い、みるみるうちに目の前に対向車線の標識が近づいてくる。そしてその標識へ。私の体はバイクの上から前へ放り出された。
次の瞬間、私は道に倒れていた。足が痛くて動けない。でもバイクは体の上にはない。骨が折れたのかと手を伸ばし触ってみるが、痛みは変わらない。でも、だんだん冷静になってきて、どうやら右の足だけらしい。血も出ていないようだ。スキーでひどいこけ方をしたときの痛みに似ている。捻挫をしただけで済んだのか。ここまでわかってきてやっと回りが見れるようになってきた。さっきの車と思われる所から「救急車を呼ぶか」と聞いてくる。私は「いいけど...」と答えるが、「警察を呼んでくるから」と言い残して、その車が走り出してしまった。犯人に撃たれた刑事のような思いで、必死に車のナンバーを覚える。
ぽつんと残され、痛みが引かないので、座り込んだままでヘルメットをやっとの思いで脱ぎ、手袋を外す。バイクは後ろで標識にぶつかっている。何台か車がこちらを見ながら通過していく。が、一台のワゴンが止まって「大丈夫か」と声をかけてくれた。「今、警察を呼びに行ってもらってますから。大丈夫です。」置いていかれたかもしれないのに、なぜこんなことが言えるのか自分でも不思議だった。そのワゴンにも行ってもらった。
携帯電話を持っていたことを思い出し110番へ。場所を告げると既に連絡が入っていた。これで一安心。何とか立ち上がることも出来るようになり、無残なバイクを見ながら車を待った。「あぁ、かっこわるいなぁ。またこれで笑い者やなぁ」と思いながら...
やがて相手の車が戻ってきた。「救急車も呼んだ。寒いから車の中で待ちな。」と案内される。そして救急車も到着。足を引きずりながらも歩けるので、大袈裟なことになったと思いながら、隊員さんに支えられながらも自分の足で救急車に乗り込む...
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