Bandit/GSFのバッテリーに合った充電器を自作する

皆さんは、Bandit/GSFに搭載されているシールタイプ (密閉型) バッテリー用の充電器をお持ちでしょうか ?  シールタイプのバッテリは過充電に極端に弱いとのことで、専用充電器を使うことが推奨されており、ホームセンターなどにも「シールバッテリ対応品」などの表示をした専用品が並んでいますが・・た、たかい!! ネットで調べてみても、原付スクータークラス用のもので5,000円あたりから・・大型二輪用バッテリを充電できるものとなると、名の通った物だと最低でも8,000〜12,000円はします  私の場合、完全にあがってしまったバッテリを充電するというより、しばらく乗れない時の補充電程度に使えればいいので、なにか安くて簡単な物はないかと探していたところ、ネットで「シールバッテリ用充電器の基板キット」なる物を見つけたので、あり合わせの部品を足してシールバッテリ対応充電器を作ってみました

もともと電子工作は当家で扱うカテゴリーではありませんし、このレベルの電子工作は多少とも知識がある方なら、それこそ製作・調整とも速攻で済ませてしまうレベルかと思いますが、キット同包の組立説明書通りに進めれば出来るものの、その記述はある程度の知識がある人を対象に書かれているため、私レベルには極めて不親切で、実際に手がけてみると「??」の連続でした そこで、ここでは説明書の不親切な部分をフォローすることを中心に、簡単な製作記としてまとめてみました Bandit/GSFの維持管理に活用する、ということで、参考程度にご覧いただければ幸いです

この工作をお試しになる場合は、下記の点に留意されるとよいでしょう
○ まずは必須の事項・・はんだ付けができること、
○ 電子部品の基礎知識があること・・簡単なラジオを作った経験があれば吉でしょう
○ 基板組立後に自分で調整をする必要がありますので、テスターをお持ちであること


【 まず材料を集める 】

中心となる制御用の基板システムですが、東京の秋葉原にある秋月電子通商の「鉛蓄電池充電器パーツキット」を通販で購入しました 価格は税込み1,000円で、送料が代引き込み800円です 最初は「1,000円の商品に、送料もろもろが800円かぁ」と思って、大阪の日本橋に代理店でもあって、そちらで売っていないか探したのですが、どうやら関西方面でにはその関係の取扱い店がないようです  思えば、東京近郊に住んでいて買いに行っても、電車賃あるいはガソリン代や駐車料金、それに現地でメシを食ったり喫茶店にも入るでしょうから、けっきょく送料の800円以上は使うはず・・と考えて秋月電子の通販で買いました (笑)




キットの中味は上記の通り・・電子部品とそれを取り付ける専用基板、トランジスタの放熱板 ( 左の黒い物 ) が同包されています ただし、基板キットなので電源部や電源用・配線用のコード、バッテリにつなぐためのクリップは付属せず、別に調達する必要があります  組立説明書によると、用意するトランスは「電圧は (充電電池電圧+4V) *1.4・・を目安に、電流は充電設定電流 (Ban/GSFの場合は1A) *1.5を目安とせよ」とありました つまり電圧は、12V+4V*1.4で概ね22V程度、電流は1.5A程度というところでしょうか




キット以外に集めた部品  トランスは実家の物置にあったジャンクで、何に使われていた物か分からないのですが、通電すると一番外のタップに20V出ていたのでOKとしました あとパイロットランプ・フューズケース・大型のクリップ、電源コード類は手持ち品 ( ジャンク ) です 黒く見える4つの物はケースの底に付けるゴム足、バナナジャック類は、バッテリ接続コードをケース外へ引き出す部分に使いました 他に画像に写っていない物として、ケース内での配線用コードや基板を固定するネジ類が必要です あと、ケースは100円店で適当なプラケースを購入しました ちなみに、この程度のトランスの新品は1,200〜1,500円でしたから、画像に見える範囲のものを新品で揃えると、概ね2,500円ぐらいというところでしょうか


【 組立にかかる 】



材料が揃ったら、部品を確認のうえはんだ付けにかかるのですが、このキットの基板は「専用基板」と謳われているものの、実際はなにか別の商品と共通利用しているようで、事前にジャンパーショートさせる部分が8ヶ所もあります ( ジャンパーショートとは、実際に付けない部品もそこに部品があるとみなして、コード等で基板上をつなぐことです ) これがけっこう面倒で、トランジスタなどの知識のない私にはどこをどうつなぐのか分からず( 説明書は極めて不親切 ) けっこう悩みましたが、細い銅線 ( 壊れたインターホンの接続コード) を使ってなんとか接続しました もし基板の仕様が変わらないなら、こちらの拡大画像が参考にしていただけると思います




全体の回路図は上記の通り・・緑の線で仕切っている範囲がキットに入っている部分です キットには白いセメント抵抗が2種類入っているのですが、これは充電するバッテリの容量に応じて選択・・1〜6Ah( 主に原付やオフ車 )の場合は5オームのものを、6〜10Ah ( Ban/GSFバッテリーは10Ahなのでこちら) の場合は1オームのものをつけます なお、この回路で20Ahのバッテリーまで充電できるらしいですが、消費電力が7Wを超える場合は別にトランジスタを用意して、ダーリントン接続でパワーを上げよ、とのこと。 ダーリントン接続とは、トランジスタから出た出力をさらにトランジスタに通すこと・・簡単に捉えていただくなら、蒸気機関車が坂でモアパワーが必要な時、もう一両の機関車を増結して重連で登っていく・・というイメージで考えていただくと、分かりやすいと思います。
さて、ここからしばらくは「片手が部品、もう片手ははんだごて」の状態ですので、組立中の画像がありません 基板を組んだ上で、はんだ付けの不良をもう一度確認し、電源部 ( 必ずフューズを! ) とアウトプット用の配線を付けて調整に移ります

----- ここでの注意点 -----
部品のうちICから出たきた電圧電流を絞る半固定抵抗について、説明書に全く記述がないので触れておきますと、上面に 「 502」 と記された物が5kオーム該当品、「102」 と記された物が500オーム該当品ですので、それぞれ説明書所定の位置に付けて下さい。


【 充電電圧と電流を調整する 】



ケースへ組み込む前に、充電時の電圧と電流を設定します この段階では電源部むき出しですから、感電やショートにご注意下さい。 さて、まず電圧ですが、鉛バッテリというのは満タン充電時の電圧が1つの電池区画あたり2.28Vと決まっているそうで、区画が6つある12Vバッテリの充電電圧は6倍の13.68Vで設定するとのこと・・実際に走っている時は15Vぐらいの電圧がかかっているので、もっと高くても大丈夫は ? ・・と思うのですが、ここはそういう理論らしいので13.68Vとしておきましょう  調整はバッテリをつながずに電源を入れ、充電出力側にテスターを付けて「502」と記された半固定抵抗をドライバーで回して合わせます 画像はアナログテスターで合わせているところですが、50V測定モードで小数点以下「コンマ68」なんてわからないので (笑) 適当に13.7くらいにしておきました




続いて電流のほうは、バッテリ容量の1/10にせよとのこと Bandit/GSF用バッテリは10Ahですから、充電電流は1Aになります 実際の調整は電流値を測るのではなく、白いセメント抵抗の両端に出た電圧で設定・・ ここを「バッテリ容量/10*白い抵抗のオーム数」にせよ、とのことです つまりBan/GSF用では 「 10A/10*選んだ抵抗は1オーム 」 ・・で1Vが妥当となります
調整手順は、先に電源を入れてから、ある程度消耗したバッテリを実際に接続して、白い抵抗の両端で1V出るように「102」と記された半固定抵抗を回して調整します  

----- ここでの注意点 -----
(1) この基板キットには、バッテリから基板への逆潮流を止める機構 ( ダイオードや継電器 ) が入っていないので、電源を入れる前にバッテリをつなぐと、基板へ逆流した電気でIC ( 黒いゲシゲシした部品) が壊れる場合があるそうです 必ず電源を入れてからバッテリをつないで下さい ( 切る時も、バッテリのクリップを外す→それから電源を切る )

(2) 半固定抵抗を回しても、セメント抵抗の両端に電圧が1V出ない場合、バッテリに電気が十分残っていて、充電器からはあまり電気が流れ込んでいってない状態が考えられます・・というのも、この時点で基板はすでに充電器として生きていますので、そこそこ充電されたバッテリをつなぐと、ICが必要な分を検出して少ししか電気を流さないのでしょうね ここはシケシケしたバッテリで試しましょう

(3) セメント抵抗両端の電圧を測る時、回路の途中にあるのでどちらがプラス側かよくわからないのですが、セメント抵抗が自分の側になるように基板を置き、抵抗の左側へテスターの(+)を当てて下さい ( 上の画像の状態が正解です、私・・最初はシッカリ逆接しました)

(4) もし調整しても所定の電圧電流にならない時は、はんだ付けを疑いましょう というのも、私はこんな簡単な基板なのに、はんだ付けミス ( 見かけ上は付いているのに導通不良 )で時間を喰いました、 ご参考までにそのパターンは・・

○ 電圧調整時に、無負荷なのに20V以上の電圧が出ていて半固定抵抗を回しても電圧が下がらない→ 半固定抵抗へ至る手前の、ジャンパーショート部のはんだ付け不良
○ 基板が完成してケースへ組み込んだ後、最終チェックで出力電圧を調べてみると、今度は逆に10Vぐらいしか出ていない→ コンデンサ取付部が、見かけ上きちんとはんだが乗っているのに実際は導通していない


【 ケースに組み込む 】
基板の調整が完了したら、ケースを加工して組み込みます 本当は金属製のケースがほしかったのですが、少しでも安くあげることと加工の手間を考えて、100円店 ( ダイソー) で売っている食品用ケースを使いました 加工は3mmのドリルで穴をあけ、必要に応じてリーマーで広げました




組み込み中の基板・・ 基板や電子部品にあらかじめ開けられている穴は、このキットの場合すべてM 2.6サイズでした もう少し大きければ・・3mmならホームセンターで大量にバラ売りしているM 3のネジ類が使えるのですが・・
トランジスターは放熱板へ付けて設置しますが、基板そのものも放熱が必要だと思いますので、画像のようにハトメの玉をかませて5mmぐらい浮かせてあります




上から見たケース内 画像の下中央近くにあるトランジスタ放熱板 ( 黒い四角いもの ) は、組立説明書によると大型バッテリ充電時にはキャパ不足のように書かれているので、念のため物置にあったL型のアルミ材の切れっぱし ( たぶん建築廃材だと思われる ) にまたがせて固定したうえ取り付けてあります  整流器 ( 画面上中央の四角いもの ) は基板を固定するネジで共締めしておきました




最初は電流計を付けて充電の進み具合が分かるようにしようと思ったのですが、電流計って意外と高いんですね(汗)  そこで白いセメント抵抗の両端からコードを延長してきて、ケース外に出した端子 ( 指さしているところ) につなぎました 基板にアクセスしなくても、ここにテスター棒を当てると充電が進むにつれて低減していく充電電流 ( 実際には電圧) を読むことが出来るのでこれでいいかと・・ ちょっと面倒ですが、充電前にバッテリの電圧を測るためテスターを用意しているでしょうから、これぐらいの手間ならヨシとしましょう  赤いパイロットランプ下のグレーの四角い部分は、間違って開けた穴をふさいでいるテープです




完成した外観  実際のところ、上から写した画像をご覧いただければお分かりの通り、中味は少しですからもっと小さなケースで十分なのですが、このケースはフタの一部が車のボンネットのように開くのでケースに放熱穴の加工をする必要がなく手間が省けること ( 使用中は放熱のためフタを開けておく)  また、何より 「同じ税込み105円なら、大きいものを買わないと損 」 という貧乏性が、このケースを選んだ要因です
しかしこのケース・・「米びつ4kg用 」 とシールが貼ってあるのですが、米びつとして使うには、独身者用としてもちょっと小さすぎるような・・ キャンプに行く時や、災害などの非常時に、米を持って出るため使うものなのでしょうか ( 謎 )



【 使ってみて・・ 】

完成したら 「 さっそく使用開始 」 となるわけですが、ここで念のため、もう一度出力される電圧と電流をチェックしておくことをお勧めします というのも私の場合、使う前に充電電圧を再チェックしたところ、13.7Vに合わせたはずなのに10V以下しか出ていません チェックすると、基板をケースへ付ける時の力のかけ方が悪かったのかして、基板組み立て時に導通不良ではんだ付けしなおしたコンデンサの足が、また外れていました 低いほうは実害がないものの、高いほうへ支障が生じているとバッテリに悪影響がありますから、老婆心ながら組込が完了し、実際にお使いになる直前に最終チェックをなさるのが吉かと思います

さて、説明書によると、この充電器は充電電圧はずっと一定で、充電が進むにつれ電流が低減していき微弱電流に至る、とあるのですが、2週間乗らなかったGSFのバッテリをつないで試してみると・・
○ 充電器にバッテリをつないだ直後→ 充電電流は0.95A ・・( 急速に低減してゆく )
○ 約2時間経過後→ 25ミリアンペア ( 0..025A) まで低減していました
この間、電圧の方は13.7Vのままで不変です まずは所定の性能が出ているようです

基板部分について、私はキットのまま組み立てましたが、ちょっと工夫すれば応用が効きそうです・・例えば、充電の進み具合を調べるには、電流計でなくてもセメント抵抗の両端に豆球かLEDを付けて 「消えれば完了」 としてもよさそうですね  また、電源OFF状態でバッテリをつないでしまった時の保護回路として、ダイオードや継電器をいれるのも実用性が高まると思います さらに、電圧計と電流計をつけたうえ、半固定抵抗を可変抵抗器に付けかえると、充電するバッテリの容量に応じて、そのつど充電条件を替えられそうです  このページをご覧のかたは電気・電子の専門家が多数おられる思いますので、つかえそうなカスタマイズや改良ポイントがありましたら、ぜひご教示をお願いいたします




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シールバッテリー用の充電器をつくる  2006 Ts-Net