発端は平成16年の春です。
弊サイトをご覧の方から、広島県の三原市方面で、「旧山口市営のバスらしきものを目撃した」というお話を伺ったことでした。
そのバスとは、防長交通には編入されなかった不運の貸切エース2303、2304号 、「エアロバス」。
三原市は、私の住む地域から比較的近かったものの、半信半疑で、多忙も重なり、なかなか調査に出かけることが出来ません
でした。
 
漸く出発したのは、同年の7月。
このときの情報には曖昧な部分もあり、「もしや」と思うバス会社は発見しましたが、確証には至らなかったので帰宅し、このことを
発見者の方にご報告したうえで、再度挑戦する機会を待つことにしました。
そして、さらに数か月後の9月下旬・・・。
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旧・山口市交通局、2303号。
「城南観光」社車庫、平成16年9月20日。
「山口市観光」のエースは、三原市本郷にて
ひっそりと余生を送っていたのであった。
 
購入時の状態は悪くは無かったようで、走行距離も少なく、
「お買い得だった」という。
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左写真
7月の調査時点で「もしや」と思っていた「城南観光」社の車庫の一つ。
目撃情報に似たような配色の塗装パターンではあるが、古いバスは
おらず、諦めていた
9月20日。
7月の調査では、三原市の辺境付近までしか行っていなかったので、今回は三原市中心部を探検することにしました。
その途中、気が付けば私の車の5台前を、城南観光色のエアロバスが走っているではありませんか。
 
前回はエアロバスのような古い車は車庫に居なかった為、今回のこの発見は、大いに希望が持てるものでした。
しかし追跡しようにも、当時の私の自家用車は極めて古く(昭和53年式)、出力が不足しており、結局振り切られて見失いました。
 
気を取り直して再び三原市内方面を流しますが、市内では何も見つかりません。
結局三原市内から引き上げ、城南観光の車庫に先ほどのエアロバスが帰投していなければ、「今回も諦めて帰ろう」と思いかけていた
そのとき、赤い城南色のエアロバスが対向車線に出現。
でも改めてよく見ると、雰囲気として「旧山口市営ではないような・・・」と感じました。
 
しかしその車に続けて、もう一台の城南エアロバスが出現すると、今度はシートの色が明らかに赤い・・・。
ここで初めて「間違いない、旧・山口市営の車だ」と確信するに至ったのです。
 
直ちに城南観光の車庫・営業所に向かい、意を決して社員の方にお話を伺うことにしました。
2004/10/7   2017/1/24
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社員の方は、私の訪問でも瞬時に事情を悟って下さったのか(この種の来客は頻繁にあるのか)、在籍する3台のエアロバスは全て中古車で、
1台は元「中国バス」、残る2台は、「山口市営さんです」と教えてくれました。
 
「山口市営」。
広島の郊外で聞くその単語に、思わず身が引き締まります。
さらに、写真撮影の許可が得られたばかりか、車庫の方まで案内していただき車庫から車を出していただく、という極めて有り難い心遣いを
いただきました。
  
車庫から出た旧2303号車。
その表情は少しもやつれることなく、堂々と美しい姿を維持したまま、城南観光社で元気に働いていました。
 
色々お話を伺っていると、本車は岡山の中古車業者を経てここにやってきて、暫くは旧塗装(=市営観光塗装)のまま運用されていたそうです。
その後、塗装を城南観光仕様に近いものに改め、さらに最近になって、本来の城南観光の塗装に改められたといいます。
 
このほか、ホイールは変わっていましたが、車体側面の「貸切」という金文字や、車内が完全にオリジナルのまま、というのが嬉しいところです。
 
元の登録番号が是非とも知りたく、「何か遺留品はありませんか?」と軽い気持ちでお尋ねしたら、その社員さんは本気になって探して下さり、
軽率な発言で申し訳ない思いがしましたがそこで出てきたのが、下写真の「車止め」でした。
「2303」とはっきり書かれた車止めの存在は、この車が間違いなく山口市営に存在し、そして、その事実を留める唯一の物証として、私が
来るまで残されていたような気がしました。
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車内はオリジナルが保たれている。
「星柄」のシートカバーは、あまり公営らしく
ないが、市営時代のオリジナル品。
 
「貸切」の金メッキ飾り文字は、撤去せず、
オリジナルをそのまま使用していた。
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平成11年の山口市営解散時には、6台の貸切車が中古車として岡山県の業者に売却されました。
今回は、そのうち2台の姿を追ったドキュメンタリーです。
 
 
■更新履歴:2014/1/1 一部情報更新
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旧2303号の写真を一通り撮り終え、そろそろもう一台が運用から帰ってくる、
ということでしたので、再び事務所の方へ戻りました。
つまり、先刻三原市内でどすれ違ったエアロバスです。
 
事務所の方へ戻ってみると、既に同車は帰って居ました。
それが、旧・2304号です。
 
運用直後ということもあり、車内清掃が行われていたので車内の撮影は
諦めましたが、他のバスが詰める車庫では十分に撮影は行えず、少数に
留めました。
 
その間も、さっきまで車庫を案内して下さった社員さんは、私の為に本型式の
遺留品を倉庫から探して来られ、岡山の中古車業者の連絡先まで教えて
いただきました。
さらに倉庫からは、旧・2304号の車検証入れ、そして市営時代の
「運行注意規則表」まで譲渡していただけたので、もう感謝しても
足りないくらいの思いでした。
 
旧2303、2304号は当時、本郷駅と「サテライト山陽」間の、いわゆる
「競輪輸送」をメインに行っていましたが、旧年式ということもあり、なかなか
本格的な長距離運用は、既に厳しくなっていたようです。
防長交通には編入されなかった悲運の貸切車2303、2304号は、不覚にも、私の住む地域の近くに確かに現存していました。
 
その後も、両車は「サテライト山陽」便を中心に運用されていたようですが、岩国の航空ショーや、広島県内のイベントなどでも
見かける機会は多くあり、汎用的な貸切車として、エアロバスが続々と姿を消すなか、長い間活躍していたようです。
 
平成21年11月には、私の勤務先のイベントで貸切車が必要になった際、迷わず城南観光さんと、この2車を指名して依頼。
やっと城南観光さんへの恩返しが少しでも出来たと思うと同時に、2車への感謝の気持ちをも込めることが出来ました。
(※そのときの様子 (東広島市内))
 
その後、2304号は平成22年中に廃車されたようで、城南観光を離れて行方不明になっていましたが、1年後の平成23年4月に
インターネットのオークションに中古車業者の手で出品され(車体表記は消去済)、落札されていました(その後解体された模様)。
 
ちょうどその頃、2303号も一時的に登録を抹消され、車体は留置されていましたが、奇跡的に復活を遂げ、平成24年の春頃まで、
再び活躍を続けたようです(留置中の様子)。 
 
しかしその後の情報では、平成24年3月に抹消されたあと、廃品リサイクル業者に引き取られといわれています。 
転売されたとも考えられますが、解体されてしまったかも知れません。
なお、この業者は平成24年中に倒産してしまったため、詳細は把握できていません。
 
最後になりましたが、本車の目撃情報を下さった方、そして写真撮影に快く応じて下さった城南観光社の社員の皆様には、
厚く御礼を申し上げます。
 
 
  ※本型車の平成24年以降の目撃情報、動向情報がありましたら、是非ともお寄せいただければ幸いです※
城南観光の離れの車庫。
一番左のブルーリボンは、
富士急行からの移籍車とのこと。
 
様々な経歴を持った車が並んで
いた。
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