牧場主の乗牛日記

 

1.北海道夜間耐久


1.北海道夜間耐久

わたしは車に乗るのが好きである。わたしはナイトランが好きである。道が空いてて走りやすい。「暗くて走りにくいだろ!」という話もあるが、どうせヘッドライトがあるし、わたしは国道を主に使うので山間道路でない限り街灯はあるもんだ。夜といえどそれなりに道が見えるのである。
そんなわたしは、夜中すこぶる暇なとき、「ちょっくら散歩」するが如く車で遠出をするのだ。その「ちょっくら散歩」が500kmだの800kmだのになるのが玉に傷だが。
というわけで、過去にわたしがやったナイトドライブを紹介。

・第1戦:日高半島一周(札幌−えりも−帯広−札幌)
「襟裳岬へ行ってみたい」。夜中テレビを見ながらいきなり思った。ちなみにその時見ていた番組は「夜もヒッパレ」である。
以前友達に聞いた話では、札幌−襟裳岬間の所要時間は6時間と聞いた記憶がある。昼間出たら、襟裳岬行って帰ってくるだけで1日仕事。そりゃたまらん、道が空いてる今しかない!ということで、すぐに支度をして車を出す。食料をコンビニで買い込んで、いざ襟裳へ出発。

札幌から苫小牧までは街中の幹線道路を走るため、夜中といえど交通量は比較的多い。途中空くポイントもあるのだが、たいがいそういうところはネズミとりがいるのである。案の定捕まってる若いのがおった。
苫小牧を抜け、襟裳方面の国道へそれると途端に田舎道になる。さすがに家も少ないし交通量はガクンと減る。たまに見る家の明かりはすっかり消えている。田舎の夜は早い。苫小牧から襟裳へ向かう道路はカーブも少なく、見通しのいい(夜だから見通しも何もないが)走りやすい道である。2時間も走るともう静内へ到着。昼間なら馬でも見ていくところだが、いかんせん夜中に放牧されていない。そのまま通過する。

札幌から走り続けて4時間。第一休憩ポイントの「道の駅・みついし」に到着。海に面しており、キャンプ場もあるところで、道の駅としては設備が揃っている。ここではトイレ&煙草タイム。4時間も乗りっぱなしだと体伸ばしたくなる。外で思いっきり背伸びしてリフレッシュし、再び襟裳へ向け出発。

道の駅から1時間半。目的地襟裳岬へ到着。襟裳の町に入ってから岬の突端まで行くのにもわりと距離があった。
観光名所だけに昼間は土産物屋もやってるし、ずぅ〜っと森進一の「襟裳岬」がエンドレスでかかっているらしいのだが(このへんは富良野駅の「北の国から」といっしょである)、夜ともなればそんな物は何もない。ただ、不思議なことに同じことを考える人はどうやらいるもので、駐車場に止まっている車が何台かいた。人の気配がないのが妙ではあったが。
灯台の麓まで行き、岬の先っぽから眺める、月明かりに照らされた海はなかなかによい。ちと風が強かったが、まあ断崖絶壁の岬だからそんなもんだろう。

ひとしきり景色を眺めたあと、車を帯広方面へ向けて走らせる。襟裳から広尾まで続く道は通称「黄金道路」と呼ばれる道路。日高側と違い広尾側の海岸線は入り組んでいて、道路工事するにも難所がたくさんあり、「道路に黄金を敷き詰められる」ほど総工費用が巨額になってしまったことから名付けられたんだそうな。そんなに金かかったかどうかは知らないが、確かに道はぐねぐねしてるしすぐ脇が絶壁だから、工事は大変だったことだろう。そんな道であることもあってか、広尾へ行くまでは海を見ながら走ることができた。はいはい、脇見運転は危ないね。

広尾を過ぎ、大樹へついた頃にはたと思い出したことがある。
「あ!TIS!」
お笑いのTIMではない。TIS。十勝インターナショナルスピードウェイ。北海道唯一の国際自動車連盟公認サーキットである。真夏には日本で24時間レースを開催するサーキットとあっちゃ、モータースポーツ好きのわたしが寄らないわけにはいかない。しばらく走った先にある「道の駅・忠類」で、トイレタイムも兼ねてTISまでの道をチェック。コース確認して出発。
だだっ広い畑の中の道をひたすら走るといきなり林が出てくる。ここからがTISの入り口。看板も立っているのでここまでくれば迷うこともない。
TISの正面入り口、ピットの真裏に到達。さすがにようやく日が昇りかけてきた時間だけに開いてるわけはないが、産まれて始めてサーキットというところにきたから、中に入れなくても十分満足だった。ここでスカイラインやNSXが夜通し走るのだ。それを考えただけでもじぃぃぃぃぃんとくる。

しばし妄想に浸った後帯広へ向かう。途中帯広空港と幸福駅に立ち寄る。幸福駅は以前バイクできたことがある。「へ?TISと幸福駅ってば、目と鼻の先だったのねん」。バイクできたときに行っときゃよかった。
帯広の街についた頃にはすっかり日が昇る。時間は午前5時半。他に寄り道するところもないし、さあ札幌へ帰ろう。が、実はここからが試練である。
車を走らせる目的も失い、ただ家に帰るだけの車の運転とはかくも退屈なものである。しかも夜通し走りっぱなしゆえ、緊張感が解けた瞬間眠いのなんの。しかも日勝峠でコンクリートポールを積んだトレーラーが前走ってるもんだからちっとも進みやしない。こういうときが一番イライラする。何とか峠を越えたが、精神力はもはや限界。「道の駅・マオイの丘公園」で仮眠をとることにした。しかし、季節は夏。窓を開けてても日差しが強くて暑くて眠りきれない。
2時間ほど仮眠して再び車を動かし、何とか家に辿り着く。ついたのは昼間の1時半。出発が前日の夜11時、12時間半のロングドライブであった。家に帰り着いたときはへとへとだったが、実はこれでナイトロングドライブの味をしめるのである。


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