●ハイクオリティを極めた7代目カローラ


1991年6月。カローラは空前のバブル景気の崩壊を迎えた直後、7世代目へとフルモデルチェンジを果たした。 6代目カローラでは大衆車の枠を超えたクオリティーアップを果たした事が ヒットしたことを受け、7代目カローラ新型でもキープコンセプトの考え方で 更なるクオリティーアップを目指している。

7代目カローラの開発テーマは、
1・美しさあふれるスタイルと人に優しいアメニティ空間の創出
2・走る、曲る、止まるの全てを一段と進化させた卓越した走行性能の実現
3・心を満たす安心感が得られる徹底した安全性と信頼性の追求
であるという。 開発を担当した斎藤明彦チーフエンジニアは、7代目カローラを物の豊かさから心の豊かさを求める時代に 対応して心に響く感動を与えられる車にしようと取り組んだ。斎藤氏は感動を「本質となるところが極められ、 本物として輝くときに初めて生まれる」と考えた。7代目カローラはあらゆる点で飛躍的にレベルアップを果たし、 カローラユーザー達に感動を与えられる車になるべく開発されたのである。

カローラセダンのデザインは豊かな「丸」をイメージしたものとなった。 車体端部での絞込みが増え、豊かなボディデザインとなった。 エクステリアのデザインテーマは、走りと高級感を表現した「ハイクラスファミリーセダン」のスタイルイメージである。 フロントマスクは、大型異型ランプと横基調のセンターグリルが品格を強調している。 (何故かカローラらしく見えるところがすごい)バンパーは、冷却性能と空力特性を重視したという。 従来のものより一体的に見える形状となった。サイドは後席の居住性を拡大させたことを感じさせない 伸びやかなルーフラインを描き、張りのあるサイドビューはホイールに力点を置いている。 リアではハイデッキを強調しつつもすっきりとした3BOXプロポーションを維持している。 また、ナンバーをバンパーへ移し、横一文字のリアコンビランプとガーニッシュがワイド感を表現している。 徹底したフラッシュサーフェス化の結果、CD値はセダンで0.33となった。 インテリアも丸みを帯びた。従来型の大型メーターバイザーから一転し、デザイン的、材質的にも飛躍的な レベルアップを見せた。インパネは滑らかな曲線で構成されメーターは視認性の良い丸型4眼式。 セーフティパッドは大型一体成形となり見切り線の数が減少した。 スイッチ類のデザインも一新しタッチの良いスイッチへと改められている。 室内サイズは主にヘッドクリアランス(+5mm)、リアレッグルーム(+30mm)、室内幅(+60mm)が大きくなっている。 これにより、室内サイズは初代クラウンを超えたという。後席の居住性を向上させるために、 前席シートレールの配置を見直すことで足元スペースを拡大した。 また、経年変化で樹脂パーツが退色する際にも色ずれが起こらないように素材を統一し、 室内パーツには全て難燃化処理を施した。

レビンのデザインもカローラ同様に丸みを帯びた。 先代もソアラを意識したデザインであったが、今回も一足先にフルモデルチェンジを果たした ソアラをイメージしてスタイリングされた。オーバルイメージのスタイリングは 先代よりスポーティではあるが、若干重く見えるデザインであったことは否めない。 レビンには初の15インチホイールが採用されデザイン的にも走りのイメージを高めた。 インテリアはセダン系とは別系統の低くワイドなものとなり、操作系がドライバー席を囲む様に 配置されている。シートにはレカロ社製を用意しスポーティユースに配慮、更に本革シートまでも オプション設定し、ラグジュアリー志向のニーズにも応えた。

エンジンは、新4E-FE型を筆頭に、パワーアップした5A-FE型、FFに新搭載された4A-FE型などの 第二世代のハイメカツインカムエンジンを採用し、スポーツツインカムエンジンである 4A-GE型は新設計の一気筒あたり5バルブの20バルブヘッドを持つに至った。 足回り、新設計され、アーム取り付けスパン拡大などの改良を加え、更に スーパーストラットサスペンションを新たに開発して高性能エンジンに対処した。 ブレーキも全車サイズアップされた。

大衆車では十分に行えなかった方法を使い、耐久性の向上も図った。 例えば、EFIの回路の配線に金メッキを施して耐久性 を向上させ、ケーブルの無い電気式メータを採用するなど大幅なクオリティ アップに取り組んだ。安全性に関しても4輪ABSやSRSエアバッグの設定も全グレード拡大されたほか、 前席のシートにダイレクトに取り付けられたシートベルトバックルや 後席3点式シートベルトなど様々な安全装備が充実したのも7代目カローラからである。

そんな7代目カローラであるが、販売は低迷してしまった。 力作であった7代目カローラの失敗の原因は時代情勢にあった。 ヒット作である6代目カローラのモデルライフ中は完全にバブル景気の真っ只中にあった。 GDPにおいてもアメリカを抜き、日本は世界一豊かな国となった時代である。 しかし、そのような浮かれた状態が長く続くことも無く1991年を境に悪夢のようなバブル崩壊を迎えた。 バブル期間に企画・開発された7代目カローラであるがゆえ、 バブル崩壊により一気にカローラの売り上げは落ち込んでしまった。 そうなると、それまでは何も言わなかった販売店から次々に不満が出る。 「大きすぎる」「値段が高い」など、豊かさを追求したことへの不満が多くを占めた。 大きくなり、装備も充実した。 その結果、価格は確実に跳ね上がり中でも若者のスポーティカーとして好評を博していた カローラレビンに至っては220.7万円という高価なプライスタグが付けられていた。 上昇志向を反映してか、グレード名称もSE-LimitedからSE-Lと名乗ったが、 後に独メルセデスベンツ社からクレームが入りSE-Limitedに名称を変更するというエピソードもある。 そのような7代目カローラであったが、数々の意見を次につなげるにしても 7代目の時点では大きな見直しをすることが出来なかった。 マイナーチェンジである程度は見直したものの、世間からも「バブルカローラ」 と称されバブルの遺産ともいわれてしまった。 もしもバブルがあと4年続いたら・・・、豊かな7代目カローラはきっと大ヒットを記録したに違いない。 しかし、そうなると、カローラは大衆車であることを忘れてしまっていたかもしれない。 もしもバブル崩壊が予見できたなら・・・、そんなことは不可能である。 7代目カローラは、素晴らしい完成度をもった素晴らしい車であったが、 時代情勢によっては、その魅力を魅力として見てもらえないことを痛感せざるを得なかった7代目カローラである。 やはり時代の空気にマッチしないと大衆車は大衆車となりえないのである。

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