●7代目カローラのメカニズム

7代目カローラのボディシェルは初代から伝統のモノコック構造である。 ホワイトボディの重量は7kg増えたが、前方投影面積比で考えると逆に7kg軽くなったという。 軽量化の観点から高張力鋼板の採用を拡大し、従来の重量比24%から38%へと向上した。 また安全性確保のため、結合部にリインホースメントを配し、強靭なボディとすることで 操縦安定性、静粛性などを基本からレベルアップさせた。 剛性を向上させるために各ピラー結合剛性を向上させ、閉じ断面のリインホースメントを追加した。 防錆性も7代目で大きく向上した。 錆が発生しやすいフロアやエンジンコンパートメントに防錆鋼板を採用したほか、 ドアやフード、クオータパネルなど見栄えに影響を及ぼす部位には防錆性能と共に塗装性にも優れた 亜鉛・鉄合金二層メッキ鋼板を採用した。亜鉛・鉄合金二層メッキ鋼板は、鋼板の上に亜鉛成分の多いメッキ層を薄く (3μm)施して防錆性能を確保し、更にその上層部に更に薄い(0.4μm)鉄成分の多い亜鉛メッキを施して塗装性を高めた。 このほか、シーリング、防錆ワックスの塗布を徹底したほか、サイドアウターパネルを一体化してパネル接合箇所を 減らすことで根本から防錆性能を高めた。 空力を考慮して平面絞りを増やし、ピラーなどの段差を減らすフラッシュサーフェス化を徹底したほか、 フードやドアの見切り幅(部品同士の隙間)を極力少なくなるようにするとともに、幅の統一化をはかった。 これにより見切り部への風の巻き込みを減少させ、風切り音を低減させると共に見栄えを向上させた。 遮音性能も高められ、サンドイッチ制振パネルの採用のほか、樹脂拘束層付きアスファルトシートを採用した。 樹脂拘束層付きアスファルトシートとは鋼板と樹脂拘束層の間に熱硬化性アスファルトを挟み 応力がかかった際、鋼板と樹脂側でアスファルトの伸び量がずれ、この歪みで振動エネルギーを吸収する。 特に、熱硬化性アスファルトシートは熱を加える前は柔軟性があるためにどのような複雑な形状でも対応できるという メリットがある。この他、閉じ断面の部位には発泡剤を詰め透過音、空気流出音の室内への侵入を低減させた。 この他、レビンではドアのウェザーストリップを二重化して気密性を向上させて高速走行時の 風切り音を低減させている。また、従来ドアを二種類のブランクを溶接して製造していたが、 今回のフルモデルチェンジで一体で製造する方式に変更した。余談だが、デザイン段階では セダンのドアもプレスドアにしたかったそうだが、カローラを生産する世界各国の条件が整わないとして 国内専用のスプリンターセダンのみに採用された。

7代目カローラのサスペンションは先代を踏襲した前:L型ロアアーム/後:デュアルリンクの4輪ストラット式である。 ただし構成部品。特性を見直して操縦性安定性を高い次元でマッチングさせたという。 また車両サイズ拡大によりトレッドも大きくなり、基本性能を高めている。 フロントサスペンションはロールセンターを重心に近づけロール剛性を高めた。 また、ロアアームの断面形状を変更して軽量化と剛性強化を実現した。 またブッシュも取り付け方法を変更したことで直進性および旋回時の手ごたえとリニア感をアップさせた。 リアサスペンションは二本の平行リンクの間隔を120mmから150mmに拡げた上、 メンバー、アクスルキャリアの取付け部を通しボルトにすることで サスペンションのねじり剛性を高め、安定性を向上させた。 このほか、ショックアブソーバーに発生する摩擦を減らすためにスプリングと ショックアブソーバーはオフセットしているが7代目カローラではその量を増やし、 ショックアブソーバの横力を減少させスムースに作動できる。 また、前後共に、スタビライザー接続リンク等にボールジョイントの採用を拡大しロール初期の応答を高め、 微小なロール時にも有効に作用するようになった。また、上級車種にはTEMSが従来から引き続き採用されているが、 従来の2段階式からよりきめ細かい3段階切り替えとなった。従来と比較してMEDIUMという減衰力が追加され、 スイッチをSPORTにするとMEDIUMとHARDを状況によって切り替えられるようになった。 これとは別に、スーパーストラットサスペンション(SSサス)が新搭載された。 これはストラットながら、ダブルウィッシュボーン並の高いコーナリング性能を得ることが出来る ものである。(詳しくは画期的なスーパーストラットサスペンション」参照)

ステアリング装置は従来からのラックアンドピニオン式であるが、ステアリングギア取り付け部 に突起を追加して位置決めをしっかりとることで剛性向上を実現した。 またパワーステアリングを二種類設定した。一種類は従来どおりのエンジン回転感応型パワーステアリングで、 1300や1500とディーゼル、スーパーストラットサスペンション搭載車に採用されている。 特にSSサス搭載車ではシリンダー油圧が低い状態でリニアな特性になるように ロータリーバルブ形状を変更している。そして1600のノーマルストラットサスペンション車には 新プログレッシブパワーステアリング(PPS)が新採用された。PPSはハンドル操舵力を車速、路面反力に応じて 制御するもので、油圧反力を作り出す部位を持ち、低速では指一本で回せるくらいに軽くしつつ、高速走行時の 手応えを犠牲にすることが無いという点がメリットである。

マニュアルトランスミッションは 従来型のキャリーオーバーであるが4A-GZE型に組み合わせられる5速マニュアルミッションは トリプルコーンシンクロを採用してシフト操作力の低減を実現した。またビスカス式LSDも採用された。 4A-GE型、4A-GZE型エンジン搭載車のクラッチペダルには 従来からのターンオーバー機構を予圧してあったコンプレッションスプリング型からテンションスプリングを 使用したものへ変更してより補助作用を向上させた。 また全車のシフトレバーは従来からのケーブルによるリモコン式ではあるが、 従来トランスミッション側にしかなかった節度機構をシフトレバー側にも設定することで、曖昧であった 節度感をよりしっかりしたものにしてシフトフィールを改善した。またシフトノブも 敢えて重く作ったマス付きノブをトヨタ車で初めて採用して振動の軽減を図りシフトフィールの向上を図った。

AT車は従来どおり全車ロックアップつきの3速ATと4速AT、ECT-Sが採用された。 全車のトルクコンバータ(トルコン)に小型、高性能、高効率な 新開発スーパーフローコンバータを採用した。 これは内部のATFの流れを厳密に数値解析し、羽根形状を最適化したことで 高トルク交換比を達成した上で高レベルの伝達効率を実現したトルコンである。 力強い発進性能と加速性能に加え燃費の向上に大きく貢献している。 ECT-Sは新たにエンジントルク制御が組み込まれた。これは変速時にエンジントルクを一時的に低下させて ギアの切り替え、クラッチのつながりをスムースに行い滑らかな変速フィール持たせた。 また、シフトノブは人間工学に基づき形状、取り付け角度を工夫して操作性を向上させた。

ブレーキは、全車の前輪ブレーキに通気口のあるベンチレーテッドディスクが採用され、とりわけ 4A-GE型エンジンのABS装着車と4A-GZE型エンジン搭載車には専用の15インチ大径ロータが採用された。 スポーツ系のフロントブレーキは全車ツインピストンのディスクブレーキとなっている。 またモデルチェンジに際してマスタシリンダーの最適化が行われたほか、 パーキングブレーキの引き代調整が室内から出来るようになったり、 ブレーキブースターの負圧が低下した際にブザーが鳴るシステムが追加されている。

電装関係の装備も色々と追加されている。 最上級グレードのSE-Gには様々な電装系アクセサリーが設定されている。 標準装備されたのはコンライトなどがある。 これはライトコントロールスイッチをAUTOにしておけば状況に応じて自動でヘッドライトを 点けたり消したりしてくれる装備である。 7代目カローラでは感度調節をインパネに設置されたセンサを直接回すことで 調節が出来るように改良された新しいものが採用されている。 また、運転席にはパワーシートまでが奢られた。これは前後スライドと背もたれのリクライニングを 電動で行うものである。 この他オプションとしてタコメータをアナログ、スピード計をデジタルとした専用のコンビネーションメーター、 障害物を超音波ソナーで検知するクリアランスソナー、キーレスエントリーが設定されていた。 また、ディーラーオプション設定ながら未だに語り継がれる迷装備「エアファンタジー」についても 触れねばならない。エアファンタジーは香りコントローラという装置でエアコンの吹出し口から の送風に芳香剤を混ぜて流し、室内環境を整えようとしたものである。 森の香りなど数種類の香りがあったようだが7代目一代限りで設定がなくなり、 現在香りのカートリッジが供給されているかどうかもわからない。 この他、上級グレードではオートエアコンを標準装備するなど装備の充実が目立ったのが7代目カローラの特徴である。

7代目カローラ目次
トップページ
画期的なスーパーストラットサスペンション