●7代目カローラのチーフエンジニア語る

CG誌に7代目カローラの開発を担当した斎藤明彦チーフエンジニアへのインタビュー記事が掲載されていましたので 抜粋して掲載します。

―カローラのモデルチェンジにしては、大型化したボディにしろ、重くなった車重にしろ、 省エネや環境重視といったこのところの時勢と少しずれていませんか?
「これからは多分そのへんがポイントになると思います。仰るとおりスタートした時点ではこれほどではなく、 正直いって今回はちょっと追いつけなかったなァという思いはあります。例えば燃費の面ではそれなりに努力しました。 重くはなりましたが、にもかかわらず10モード燃費の数字は旧型とほとんど同じですし、それより意味のある実用燃費は 相当良くなっています。―(中略)―(燃費に対して)一番効くのはエアコンそのものの省動力化ですが、そのほかに 例えばアイドル回転の制御なんかでも、今までだとエアコンが入ったら単純にポーンと上げてやっただけですが、 それを負荷に応じてキメ細かくリニアにやるだとか、ノックセンサーを使って制御するだとか、とにかくいろんなことを やっていますよ」「あとはリサイクルがらみの話が出てきていると思うのですが、―(中略)―例えば樹脂部品の 材質名を表示してあるだとか・・・・・・。もっとも、これはもう10年くらい前からやっているんですけれども、 今回は完璧とまではいえないまでもそれに近いくらいまではやりましたし、もちろんモデル期間中でもやれることは どんどんやって行きたいと思っています。」

―新型の開発では北海道の士別にあるテストコースで合宿までしたとか。 これには何か特別な意味があるのですか?
「ふつうだとサスペンションの実験屋というのは、自分の守備範囲だけしかやらないわけで、 エンジンのことだとかブレーキのことだとかは専門外ということで。まァ文句はいわないんですが、 今回はそういう垣根を取り払ったんです。自分が直接その分野の担当ではなくても、走ってみてエンジンに不都合があるなら エンジン屋に文句をいえ、シートの出来が悪いんならシート屋に文句をいえといって、 例の“走る、曲がる、止まる”にもうひとつシートを加えた“四位一体”の走りを徹底して追及したわけです。 ヨーロッパの車は曲がりくねった生活道路のようなところでも、そこを走らせたら天下一品というような車がありますが 、士別の第5周回路というのがまさにそんなコースで、そこに実験の連中が延べ半年、長い間だと一回当たり2ヶ月も泊り込んで 熟成したのです。仲間うちでは“士別の合宿”という言葉が生まれたくらいです」

―カローラに代表される“豪華な”日本車とゴルフのような“実質本位”のヨーロッパ車と いまだに車の性格や作り方が違うわけですが。どちらもワールドカーである以上、今後は両方が歩み寄っていくような 方向になるんでしょうか
「だんだん近づいていると思います。最初は向こうの車を見ると素っ気ない代わりに合理性、ハンドリング、走りなどの点 については大変素晴らしいと思いました。突出していたんですね。じゃあ振動騒音はどうかっていうと、 あれじゃちょっとねって言うところがあったんです。クラッチペダルは重いし、てなことを平気でやってたんですね。 それに対してこちらは見栄えだとか振動・騒音だとかを一生懸命やってきました。それがここにきて、 向こうは向こうで見栄えというのを相当考えてきているし、われわれも走りだとか・・・・・・、実は今回 質感も大事だし、まァいろんなことを含めて大事だといっているんですが、そういう意味からすると まだわれわれがやり足りなかった走りというものを突っ込んでやったというのは、やはり ヨーロッパ車の走りには見習うべきところがあると思ったからです。」 「ただですねえ、基本的には今申し上げたとおりなんですが、ちょっと悩むのは、カローラというのは 確かに世界中に出していますけど、実は半分以上が国内なんですね。ですから、私自身としてはやはり国内を 大事にしていきたいと思っています。確かに近づいてはいるんだけど、だからといって足して2で割ったような 車になるかというと、私はそうじゃないと思いますね。どうしても相容れなければ、国内と専用のカローラと 海外を分けざるを得ないんじゃないでしょうか」

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